『変幻の三枚目』【5】
A「三枚目だ」
シオン「…………」
セイ「…………」
シオン「知ってるのか?」
A「正確な居場所までは知らない」
シオン「…………」
シオンは――
ゆっくり。
セイを見る。
セイ「なんで俺見るんだよ」
シオン「別に」
セイ「絶対なんか思っただろ」
A「ただ――」
二人の会話を遮るように。
Aが――
口を開く。
A「手掛かりならある」
シオン「手掛かり?」
A「ああ」
A「お前と別れてからも――」
A「俺は各地を回ってた」
シオン「…………」
シオン「また決闘か?」
A「もちろん」
セイ「相変わらずだな」
A「お前に言われたくない」
セイ「なんでだよ」
A「強い奴を見つけては戦って――」
A「また次を探す」
A「俺はそれでいい」
シオン「…………」
A「その中で――」
A「少し気になる話を聞いてな」
シオン「どんな?」
A「鍛冶師だ」
シオン「鍛冶師?」
A「ああ」
A「武器を扱う奴なら――」
A「一度は名前を聞いたことがある」
A「伝説とまで呼ばれてる鍛冶師がいる」
シオン「…………」
セイ「へぇ」
A「そいつのところに――」
A「少し前」
A「妙な客が来たらしい」
シオン「妙な客?」
A「ああ」
A「持ち込んだ武器が――」
A「普通じゃない」
シオン「…………」
A「巨大な鎌」
セイ「…………」
A「二振りの剣」
セイ「…………!」
A「そして――」
A「巨大な弓」
シオン「…………」
セイ「…………」
一瞬――
沈黙。
シオン「……三つ?」
A「ああ」
シオン「随分――」
シオン「変わった組み合わせだな」
セイ「…………」
シオン「セイ?」
セイ「……No.3だ」
シオン「…………?」
セイ「そいつ――」
セイ「間違いなくNo.3だ」
シオン「なんで分かる?」
A「俺も――」
A「同じことを思った」
シオン「…………」
A「巨大な鎌」
A「双剣」
A「巨大な弓」
A「この三つを聞いた時点でな」
シオン「どういうことだ?」
セイ「No.3が使う武器だよ」
シオン「武器?」
セイ「ああ」
セイ「No.3の武器は――」
セイ「《三相》」
シオン「……三相」
セイ「ああ」
セイ「巨大な鎌――」
セイ「双剣――」
セイ「巨大な弓――」
セイ「三つの姿を使い分けて戦う」
シオン「…………」
シオン「三つ持ち歩いてるのか?」
セイ「違う」
A「一つだ」
シオン「…………?」
セイ「全部――」
セイ「同じ武器だよ」
シオン「……は?」
セイ「《三相》は――」
セイ「戦いながら姿を変える」
セイ「鎌から双剣へ」
セイ「双剣から弓へ」
セイ「相手との距離や状況に合わせて――」
セイ「形そのものを変えるんだ」
シオン「…………」
A「近距離」
A「中距離」
A「遠距離」
A「全てを――」
A「一つの武器で補う」
シオン「…………」
セイ「それが――」
セイ「No.3だ」
シオン「…………」
シオンは――
少し考える。
そして。
セイを見る。
セイ「…………?」
シオン「ってことは――」
セイ「?」
シオン「今回――」
シオン「お前いなくても能力知れたな」
セイ「…………」
シオン「…………」
セイ「今回はたまたまだろ!」
シオン「そうか?」
セイ「そうだよ!」
A「…………」
A「本当に仲良くなったな」
シオン・セイ「なってない!」
A「そうか」
シオン「…………」
セイ「…………」
シオン「それで――」
シオン「その鍛冶師はどこにいる?」
A「ここから北だ」
A「山奥に工房を構えてる」
シオン「山奥か……」
A「ああ」
A「それと――」
A「もう一つ」
シオン「?」
A「《三相》は――」
A「まだ鍛冶師のところにある」
セイ「…………!」
シオン「まだ?」
A「ああ」
A「今も調整中らしい」
シオン「…………」
A「仕上がるのは――」
A「二日後」
シオン「二日後……」
A「そして――」
A「持ち主も」
A「その日に取りに来る予定らしい」
シオン「…………!」
セイ「…………」
A「つまり――」
A「そいつが本当にNo.3なら」
A「二日後」
A「鍛冶師のところへ現れる」
シオン「…………」
セイ「探す必要――」
セイ「なくなったな」
シオン「ああ」
A「行くなら急いだ方がいい」
A「山までは――」
A「ここから一日以上かかる」
シオン「…………」
シオン「なら――」
シオン「今すぐ出る」
セイ「ああ」
シオン「…………」
セイ「?」
シオン「甘いものは諦めろよ」
セイ「…………」
セイ「それは別だろ!」
シオン「別じゃない」
セイ「お前、王子だろ!」
シオン「関係ない!」
A「…………」
Aは――
そんな二人を。
しばらく眺める。
そして――
僅かに。
笑った。
シオン「じゃあな、A」
A「ああ」
セイ「…………」
シオンとセイは――
北へ向かって。
歩き出す。
A「シオン」
シオン「?」
呼び止められ――
振り返る。
A「また――」
A「何か掴んだら教えるよ」
シオン「…………」
シオン「随分――」
シオン「親切なんだな」
A「言っただろ?」
A「面白いからだ」
シオン「…………」
シオンは――
小さく笑う。
シオン「ああ」
シオン「じゃあ――」
シオン「頼んだ」
A「ああ」
再び――
歩き出す。
セイ「…………」
セイ「なあ」
シオン「なんだ」
セイ「その前に――」
セイ「甘いもの」
シオン「諦めろ」
セイ「ケチ」
シオン「うるさい」
二人は――
街を抜け。
北へ。
目指すは――
山奥に工房を構える。
伝説の鍛冶師。
そして――
二日後。
そこへ現れるであろう。
三枚目。
No.3。
三つの姿を持つ――
変幻の武器。
《三相》。
次なるCARDとの――
戦いが。
静かに――
近づいていた。




