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《凶宴-CARD》  作者: shogo5


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『すべてを失った日』【3】

シオンは窓際へ駆け寄り、王都を見下ろした。


シオン「…………嘘だろ」


そこに広がっていたのは、つい先ほどまで眺めていた景色とはまるで違っていた。


王都の正門。


何百年もの間、幾度となく外敵を退けてきた巨大な城壁。


その一角が――


消えていた。


崩れた、という言葉では足りない。


巨大な何かに抉り取られたように、門も、城壁も、その周囲にあった建物さえ原形を失っている。


辺りには凄まじい土煙が立ち込め、王都中に警鐘が鳴り響いていた。


シオン「第一守備隊は!?」


兵士「正門周辺にいた兵は……ほぼ壊滅したと……」


シオン「たった十三人に……?」


アルヴェリア王国第一守備隊。


王都防衛を担う精鋭たちだ。


並の軍勢なら、正門へ辿り着くことすらできない。


それが――


たった十三人を相手に、壊滅した。


シオン「……何者なんだ」


その時だった。


風が吹き、正門を覆っていた土煙がゆっくりと晴れていく。


その奥に――


人影が見えた。


シオン「……!」


一人。


二人。


三人。


シオンは無意識に、その数を目で追っていた。


四人。


五人。


六人。


まだいる。


七人。


八人。


九人。


十人。


十一人。


十二人。


そして――


十三人。


間違いない。


軍勢などどこにもいない。


魔物を従えているわけでもない。


そこにいるのは、本当に十三人だけだった。


だが――


奇妙だった。


王国へ攻め込んできた者たちとは思えない。


誰一人として急いでいない。


怒号を上げる者もいない。


勝ち誇る者すらいない。


ただ十三人は、破壊された正門を越え――


ゆっくりと王都へ入ってきた。


まるで散歩でもするかのように。


まるで――


この国に、自分たちを止められる者など存在しないと知っているかのように。


シオン「…………」


背筋に冷たいものが走った。


理屈ではない。


王子として学んできた戦術でもない。


生き物としての本能が告げていた。


――あれを、この国に入れてはいけない。


シオン「全軍に通達しろ!」


兵士「はっ!」


シオン「城下の民を王城の反対側から避難させろ! 戦える者は正門へ集結! 魔術師団には防衛結界を最大出力で展開させろ!」


兵士「承知しました!」


兵士が部屋を飛び出していく。


シオンも壁に掛けられた剣を掴んだ。


その時――


十三人のうち、一人が足を止めた。


シオン「……?」


その人物はゆっくりと顔を上げる。


向いている先は――


王城。


あまりにも遠い。


互いの顔など見えるはずもない距離。


それでもシオンは、窓から離れることができなかった。


シオン「…………」


見られている。


なぜか、そう確信した。


やがてその人物は何事もなかったかのように顔を戻し、十二人の後を追って再び歩き始める。


シオンは剣を強く握り締めた。


この時の彼は、まだ知らなかった。


王城を見上げたあの一人と――


再び相まみえる日が来ることを。

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