第7話 スタミナ特盛、時々キュン。~パンツ一丁の幼馴染に推しの格言を添えて~
今日は、日曜日♡
それだけで、世界は少し優しい。
クセ強新入生と行く池袋のコスプレイベント。
正直、憂鬱だったはずなのに――
今の私は、超! 機嫌がいいの♡
なぜなら。
『願叶え神』が、私の願いの詳細を
今日、聞きに来るって♪
イケメンエリートと結婚して、
三食昼寝付きニート主婦生活が――
100%実現するのよ♪
無職ニートで村への強制送還――
《《回避ぃ》》!!!
私の願いの詳細は、もう決まっている。
さて。 旦那様候補は――
え? 悠斗くん?
無い無い無い!
あんな口うるさい幼馴染、絶対ナシ!
実はもう、相手は決めてるの。
「うふふふ♡」
――さぁ、コスプレイベントに行きますか~♪
「悠斗ぉ~! そろそろ行くぞ~!
トイレ終わったかぁ?」
「まのん! またペーパー補充してねーじゃねーか!
持ってこい!!」
「あいよ~」
廊下を歩きながら、私はニヤリと笑う。
「ってか、何で鍵を掛けてんだよ!」
「お前が開けるからだろ!
そこにペーパー置いて、向こう行け!」
「ったく……あいよ!!」
――で。
ドアが、開く。
「うっひっひっひっひ♪」
「まのん、居ないだろうな?
……ん? 珍しく素直に置いてある!?」
悠斗が、ペーパーに手を伸ばした瞬間。
――逃げた!
「ちょ、待て! ペーパー!!」
「おい! 何で動いてんだよ!!」
「ペーパー! 待てって――」
……どてぇ!!
次の瞬間。
パンツを膝まで下ろしたまま、
悠斗がリビングに転がり出てきた。
「あらぁ~♡
露出狂の悠斗くん、ど~したのぉ~?」
「犯人はまのんかぁ!!」
「何のこと~?」
「ペーパーに糸ついてんじゃねーか!
やりやがったな!」
「いいじゃん。
悠斗だって、私のノーブラTシャツ&パンツ姿――
見てるでしょ?」
「あれはお前が勝手に見せたんじゃねえか!!」
「タダでセクシー巨乳見れたんだから
感謝しなよ♡」
「俺はな!
お前にもっと自分を大事にしてほしいんだよ!!」
……来た
――『きゅんきゅん乙女』推しキャラ七兵衛の格言
「(キュン) ……もう、しない……
ねえ、悠斗。行こ?」
「……その前に、トイレ戻らせろ!」
ほんと。
悠斗って、怒ってもすぐ許すんだよね。
だから―― また、やりたくなっちゃう♡
朝から悠斗をからかい倒して、イベントへ向かう。
部長と副部長が集合時間に遅れるとまずいしね~。
「ねえ、悠斗。 松牛で朝昼兼用、食べていこうよ」
「そうだな」
「俺は大盛で」
「私は~……スタミナ超特盛丼。」
「はい! よろこんで~♪(逆じゃね?)」
「まのん、お前、金欠って言ってなかったっけ?」
「あ~露店のお兄さんが、
1万5千円の西郷さん銅像レプリカを五千円もさぁ
まけてくれたんだよね~♪」
「……そりゃ、よかったな――」
(あれ確か、上野駅の売店で五百円で売ってたぞ。)
「って、その前に。
そんなに食ったら、また太るぞ?」
「いいの♪ 今日は歩くからプラマイゼロ♪
むしろ痩せるぅ~」
「……そっか」
(日に日に巨大化してるけどな)
「お兄さ~ん!
『並盛つゆだく』追加お願いしまぁ~す」
「カロリー超過だろ……」
「なんでよ!
スタミナ丼は朝、並盛がお昼
逆に不足よ♪」
「あ~満足じゃ♪ さぁ悠斗、行こ~」
「はいはい」
(レプリカの真実が分かったら修羅場だな…)
新宿で乗り換えて、久々の池袋。
乙女ロード、帰りに寄ろうかな~♪
「あ、守乃ちゃん。
先に会場入って着替えるってさ」
「こんにちは~
今日はよろしくお願いしますぅ」
――ぶりっ子代表・香純ちゃん。
「君たち、早いね。
悠斗さん、今日もよろしく」
――男装が似合いすぎる・彩夏ちゃん。
「ちわっす」
――モブ厳蔵。
「じゃあ、まのん。
全員揃ったし、守乃ちゃんと合流するぞ」
「あ~い。『七兵衛さまコス』とか、居ないかな~」
サンシャインシティ。
会場で、守乃ちゃんと合流――
……した瞬間。
全員の視線が、一点に集中した。
――息を呑むほど、完璧なコスプレ。
清楚で、凛として、 なのに守りたくなる。
『……来た』
わしは、震えた。(キタのぽんもこっそり同行中)
『あかん…… これは……一波乱起こるやつや』
『どんなことがあっても、
わしが守るからね! 守乃ちゃん!!』
――タワマンニート実現の匂いが、
確実に近づいていた。




