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第5話 その善行、勘違いです! ~煩悩まみれの女子大生に、ぽんこつ神様が憑りついた~

ぽんこつ神様がうるさいから――


そろそろ、

私と“願叶え神 キタのぽん”との出会いを

説明するわ。


それは、二年に上がる前の春休みのある日のことなの。


私が大好きな

“西郷隆盛さまのレプリカ”を買うために――


苦節三か月。


涙とポテチ&コーラを我慢し続け

私なりに壮絶な節約生活を乗り越え


ようやく目標の二万円を蓄えた日。


「ふふ……来たわね、この瞬間が!」


財布の中には、神々しく鎮座する二十枚の千円札。


私は、三か月分の欲望を詰め込んだ勢いで

玄関を飛び出した。


『おい! まのん! やっとワシの出番やないかぁ〜い♪』


『はいはい。願叶え神 キタのぽんこつは――』


『ハウス!』


『犬ちゃうわ!!』


『って言いながら、小屋に入れんでええ!』


ちなみに、私とぽんちゃんの会話は

人に聞こえないように心で会話してるの。


その日の主役は、私と西郷さま。

あんたみたいな“えせ神”に、スポットライトは当たらない。


今回は、売れ残った

【訳ありポテチ】みたいな姿をしてるし。。。


目指すは上野。

一万五千円の“西郷さまレプリカ”を迎えに行く。


残りの5千円で九州醤油ポテチとダイエットコーラ。

チキンナゲットも追加。


宅配ピザも頼んじゃう♪


──節約生活終了。堂々の打ち上げである。


心を鬼にして、オタク聖地・秋葉原をスルー。


「ああ、秋葉原――

 今日はあなたに貢げないの……

 こんな私を許して。」


なぜなら、アニメやゲームと並ぶレベルで

敬愛する西郷さまのいる上野へ直行するの。


「うえのー、うえのー……!」


上野公園の入口に立つ銅像を見上げた瞬間――


胸がきゅんと鳴った。


「西郷さまぁ……

 今日こそ、あなたのレプリカを我が家にお迎えしますわ!」


西郷隆盛さま。私の人生の師匠。


二度も島流しにされても、苦難を乗り越えて

最後は時代のど真ん中に戻ってきた人だ。


『まのんの人生に、苦難なんかあったか?』


『おだまり!ぽんこつ神!』


自分の信念を貫いた西郷さま。


私もゆるふわオタク人生を貫くわ!


精神を家に置けるなんて、それはもう幸福以外の何でもない。


『なあ、まのん。坂本龍馬は知っとるか?』


『誰?』


(……やっぱり、西郷さん以外は知らんのやな……)


上野公園、美術館前。

いつもの外国人のお兄さんが、今日も笑顔で手を振ってきた。


「おう! まのんちゃん、また来たね!」


「やっとお金が貯まったの。今日こそ買うわ!」


「じゃあ特別だ。……1万5千円のところ、1万でいいよ」


「まじ神!! ありがとうお兄さん!!」


シュークリームとチョコポテetc 追加決定。

朝の番組で“運勢最強”って言ってたの、絶対これだ。


そして――


『受けた恩は、今度は誰かのために使いなさい』

西郷さまなら、そう言うよね。


よし、思い切ってコンビニで100円寄付しよう!


目的達成。

あとは打上げ食材を買って、即帰宅!


中央線は座りたいから、山手線で東京駅経由。

運よく座れた私は、袋からそっと西郷さまを取り出す。


ごそ……ごそ……


「うひぃひぃひぃ……♡ 西郷さまぁ〜♡」


「ママ、あのお姉ちゃん、一人でニヤニヤしてるぅ」

「シンちゃん、見ちゃだめ。東京は怖いところよ」


何とでも言いなさい。

今の私には、西郷さましか見えていない。


中央線は案の定、混雑。


『なあ、まのん。そろそろワシの出番ちゃうか?』


『勝手にして!』


『ほな自己紹介や。

 わしの名はキタのぽん。“願叶え神”や!』


『神様なのに、名前ダサッ』


『うるせぇ! 師匠が大阪キタ担当やから、

 弟子はみんな“キタ”付きや!

 で、ワシは神様仮免試験に53回落ちたから“ぽん”やて。』


(どう考えても“ぽんこつ”の“ぽん”だ)


『わろたか!? わろたやろ!?うぇ〜ん……』


(めんどくさ……)


『でな! 1日に三回、ワシが善行と認めたら、

 願いを一つ叶えたる!それが願叶え神や!』


(仮免に53回も落ちたのに神様?)


『なのに……合格した途端、

 騙されて、まのん専属願叶え神になってもうたんや……』


『誰が騙したのよ!

 あんたが勝手に憑りついたんでしょ!』


『神様を背後霊みたいに言うな!』


言い争う中、ぽんこつ神が急に真面目な顔になる。


『ことの次第はこうや!

 上京したわしは中央線で善人を探しとったんや。』


『そしたらな、

 中央線に妊娠三か月くらいの女性が乗ってきたんや。

 誰も気づかず、席も譲られへん』


『そのとき、まのんが──』


『違うから!』


『私が西郷さま見てて、手が滑って銅像を落としただけ!』


コロン♪と軽い音がして転がる。


『あっ、銅像どうぞうが!って言って立ったら、

 その人が「ありがとうございます!」

 って勝手に座ったのよ!』


『……銅像どうぞうかい――』


『でも、ワシには見えたんや!

 躊躇なく席を譲る、百年に一人の善人やと!!』


『だから、あんたの勘違いじゃん!』


『今からでもキャンセルできひんかな……』


(……でもな、わしの勘違いは――

 まだまだ続くんや。

 それが、この物語の始まりやからな……)

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