人に話すだけで心が楽になるような気がする
「ところでアルノイド様は、どうして人里離れたこの村に住んでいるんですか?」
やっぱり聞かれるか‥‥‥。
まぁ、嘘をついてもしょうがないので正直に話した。
俺の話を聞いていたフィリアはウンウンと頷いてくれていた。
そういえば、こうやって人と話すの何年ぶりだろうか‥‥‥。
城にいた頃は話し相手なんて誰もいない。
小さい頃、父上や母上に報告に行ったがリアクションは無く、ルーチェルだと褒められていた。
幼心にアレは傷ついた。
冒険者になった時も身元がバレない様に余りコミュニケーションをとる事もしなかった。
「だ、大丈夫ですかっ!? 涙流してますよっ!!」
「えっ‥‥‥、いつの間に‥‥‥。」
知らないうちに俺は涙を流していた。
「ははっ‥‥‥、男なのに泣くなんて情けないよな‥‥‥」
「そんな事はありませんよ。泣きたい時は泣けば良いんです。」
フィリアはニッコリ笑ってくれた。
流石は天使だ、その笑顔を見ただけで心が癒される。
「でも、おかしいですよ。弟さんだけ注目されて、アルノイドさんが無視され続けているなんて。」
「小さい頃は俺もおかしいと思って頑張ってはいたんだけどな‥‥‥。でも、結局は直らなかったよ。」
フィリアは腕を組んで考えていた。
「女神様に報告しないといけませんね。」
「女神様に?」
「えぇ、女神様の像はありますか?」
「小さいのならあるけど。」
フィリアは棚に飾ってある女神像に手を伸ばしてギュッと握りしめた。
「スクワル様、フィリアです。聞こえますか?」
『えぇ、聞こえますよ。』
えぇっ!? 女神像から声がしたぞっ!?
「この像には女神様の力が宿っているので女神様と通信が出来るんですよ。」
「そんな力があったのか‥‥‥。」
『フィリア、そこに誰かいるのですか?』
「あっ、はいっ!実は‥‥‥。」
フィリアは俺の事を話してくれた。
『そうですか‥‥‥、アルノイドさんと言いましたね?』
「あっ、はいっ!」
『よくこれまで我慢してきましたね。これからは貴方の人生に幸がある事をスクワルの名の元に保証致しましょう。』
「あっ、ありがとうございますっ!」
『フィリア、貴女はイスタイル国の調査を命じます。それからアルノイドさんの生活をサポートしてあげなさい。』
「わかりましたっ!」
‥‥‥あれ、何か凄い話になりつつある?
まぁ、実際俺の想像していなかった事になるなんてこの時は思っていなかった。