651 入ります
『しかし、この迷路、どうなっているのか――ちっ、行き止まりか』
『こっちも袋小路に入っちゃったよ!』
「〖サイコメトリー〗」
私は〖サイコメトリー〗でワイヤーフレームを思い出す。
「右、左、真っ直ぐ――」
『お前は全く・・・・頼りになるぜ!』
『・・・ほんとに!』
「見えた!! タイラント・ケルベロス・・・・! ――行くよ、綺雪ちゃん!!」
「はいっ!!」
「フォックス・ワン!!」
しばらく弾幕を躱して、綺雪ちゃんがミサイルを誘導できるようにする。
「命中しました!」
綺雪ちゃんの言葉と同時に、別の迷路の入口へ逃げ込む。
しばらくして、
『こちら、マイルズ中尉、ミサイルは目標に命中』
『こちら、マリ曹長、ミサイルは目標に命中――目標、尚も健在、繰り返す。目標、尚も健在!!』
「了解しました、スウ機、次弾発射に向かいます!」
『しかし、こちらは機銃も撃ち尽くしてしまった』
『こちらマリ曹長――同じくミサイルも機銃も、残弾ゼロ』
『分断されたことだし・・・・一旦キャンプに戻って機銃の弾を補給してくる――ミサイルはもうキャンプにも無いが』
『そうだね・・・・それが賢明かもしれない』
『スウ、一人にしてしまうが、大丈夫か?』
「た、多分」
『済まない、一旦帰投する』
『ごめんね。全速力で戻って来るから』
「はい!」
ここからは一人か。――私が思った時だった。壁が消えた。
私が一人になったから、分断の必要は無くなったからか・・・・。
でも、なんで消したんだろう――あの壁は、タイラント・ケルベロスも維持がしんどかったのかな?
「いや、そうか――!!」
弾幕が激しくなった!! 弾幕に集中するためか!!
これ、ドミナント・ヴィーナスより激しい!!
しかも、この弾幕――分裂していく!!
「な、なにこの弾幕――こんなの見たことないです・・・!」
「距離を取れば隙間が増える」とかがない・・・・っ!
「か、躱しきれる!?」
「ス、スウさん、大丈夫ですか!?」
「なんとか・・・・っ!」
私はとにかく上昇。
そうして反転、弾幕を躱して、躱して。
ダメだ、こんな弾幕、通常の集中力じゃ躱せない!!
私は歯を噛み合わせて、息を吐く。
「入れ―――ゾーン」
世界が青くなった。
「フォックス・ワン!!」
「はい!!」
よし、命中。
またも上昇!!
にしてもやっぱ、分裂する弾幕がキツイ!!
って、ソニックブームまで飛んで来た――!!
――被弾した!!
2枚有る垂直尾翼の右が、弾け飛んだ!!
(コケッ)
背後の気配が消えた。
綺雪ちゃんが〖アポート〗された。
これでいい。約束通りだ。
約束通り、私が被弾したからリイムが綺雪ちゃんを〖アポート〗したんだ。
さあ、ここから、本当に一人だぞ。
「ボッチのスウ、面目躍如!!」
『大丈夫か、スウ君!!』
通信から聞こえる、柏木さんの心配の声。
「運動性が上がりました!!」
飛行機はバランスが悪いほど、運動性が向上する。
『は・・・・はは・・・流石、君だ』
さらに通信が入ってきた。
綺雪ちゃんだ。
『スウさん!』
「ごめんね綺雪ちゃん、被弾しちゃって!」
『いえっ、それよりここからじゃミサイルに電波が届きません! ――今自衛隊の技術者さんが、真空管を追加しようとしてますが! 私も近づいて――』
「いや、大丈夫!! 来ちゃ駄目!!」
私は、一旦雲に入って、相手を目眩まし。
そして、
「片方の水力尾翼が無くなって、ちょうど良い!!」
失速で反転、相手の予想できそうにない動きで落下していく。
『マジか・・・・水平スピンしているけれど・・・大丈夫なのかい?』
「わざとです!」
『しかし、それでどうやって機銃を当てる気なんだい・・・・』
「機銃を当てる事はできませんが、一撃に掛けます!!」
私はタイラント・ケルベロスの上へ迫っていく。
「フォックス・ゼロ!!」
『フォックス――ゼロ?』
胴体下部のミサイルを、投下。
よし、タイラント・ケルベロスに当たった。
ヤツは消えない炎で燃える。
持続ダメージだ!
『ナパームか・・・!』
だけど、タイラント・ケルベロスが、速度を失った私に迫る。
ヤツが後ろに来た! ――私は燃料を捨てながら、
「アフターバーナー!!」
後方に捨てられた燃料にアフターバーナーの炎が当たって、点火。
『トーチング!?』
後方に吹き出した炎でタイラント・ケルベロスを攻撃。
タイラント・ケルベロス、堪らず逃げ出す。
さらに私は、タイラント・ケルベロスの頭上でチタンの杭を作って落下させる――駄目だ、ソニックブームに弾かれた。
私は、タイラント・ケルベロスが躱すために減速した間に、加速を繰り返す。
「これ以上、被弾するわけにもいかない。―――入れ――」
私が言った瞬間、リッカが叫んだ。
『まて、涼姫!!』
「――セカンド・ゾーン」




