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【完結】くじ引きで竜帝国の皇太子妃に選ばれてしまった  作者: 夕凪 瓊紗.com
閑話集 その2

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第3妃と第4妃の策略と反省会


「では陛下。夜会中は、夫婦円満に見せる会話集の通りに、発言なさってください」

ソシエは、竜帝にエスコートされ、

入場直前に念のため、再度声を掛ける。


「わかった」


「では、参りましょう」


「わかった」


「え・が・おっ!薄ら笑いっ!!ですわよ、陛下」


「わかった」


・・・にこっ


・・・にかっ


口元だけ口角を上げた竜帝陛下のふたつの笑み。

これは、毎日コツコツと訓練した結果の賜物である。


「今日は・・・にこっの方でお願いします」


「わかった、第4妃」


「夜会中は、“ソシエ”とお呼びください、陛下」


「わかった、第4妃」


「猫耳しっぽ萌えなめないでくださいます?」


「わからない、第4妃」


「ソシエ」


「ソシエ」


「はい、行きましょう」


「わかった、ソシエ」


そうして、ふたりは入場した。


いつも通り、シャクヤ王夫妻を一番近くの席に座らせつつ、

竜帝はソシエと共に席に着く。


真っ先に、シャクヤ王夫妻が挨拶をする。


「今日もよく来てくれた、シャクヤ、シャクヤの妃」


「本日はお招きいただき、ありがとうございます」

シャクヤの礼に続き、シャクヤの妃・リィリエが礼をする。


「では、今夜も楽しんで・・・」

と、竜帝が言おうとしたその時、

ソシエが、竜帝の腕を少しくいっと引っ張る。


そして、満面の笑みで、手に持ったレザーカバーに包まれた

ルーズリーフに書いたメモを見せてくる。


「妃のソシエだ」


「あぁ・・・お初にお目にかかる。ツェイロン王・シャクヤと申します。

こちらは妃のリィリエと申します」


「よろしくお願いいたします。ソシエ妃殿下」


「こちらこそ、よろしくお願いいたします。シャクヤ陛下、リィリエ妃殿下」

ソシエは流れるような動作で挨拶を済ませ、

早速竜帝は、ソシエと席に着いた。


「・・・陛下、笑顔」


「・・・忘れていた」

早速ミスをおかしまくる竜帝であった。


そして、彼らの元には、いつものように多くの挨拶客が訪れる。


その中で、ソシエが夫婦円満を訴えるため、

徹底的に叩きこんだことがあった。


それは・・・


「竜帝陛下におかれましては、ご機嫌麗しゅう・・・

・・・で・・・ですね、やはり隣に竜族の妃がいないのであれば、

ぱっとしないでしょう、私が竜帝陛下に相応しい竜族の姫を・・・」

と、でっぷりとした竜帝国の貴族が言った途端、

竜帝の表情がぐっと険しくなり、

ブリザードが吹き荒れる。

その様子に、目の前の貴族、周囲が凍り付く。


「私の妃に、何か文句があるのか」


「ひいいぃぃっ!!あ、ありません、申し訳ございませんでしたぁ―――っ!!!」

そう言って、貴族は平伏した。


そしてその後も・・・


「うんたらかんたら・・・獣人族の妃など野蛮・・・」


「私の妃に、何か文句があるのか」


「そのような末席で余り物の妃よりも、もっと若くて見目麗しい妃を・・・」


「私の妃に、何か文句があるのか」


そうやって、貴族王族を撃退することかれこれ。

会場内では、竜帝が突然連れてきた第4妃に文句をつけてはいけない。

その前で妃の話をしてはいけない・・・そう、

あっという間に広がることになった。


「それにしても、突然妃を連れてくるとは思わなんだ」

と、シャクヤが口にし、この日はリィリエも、

妃間の交流のため、席についたままであったが・・・


「私の妃に、何か文句があるのか」

竜帝は、シャクヤに対してもこのセリフを言った。

※なお、不機嫌、ブリザードなし。笑顔、思い出した。


逆に恐怖で会場が震撼したのは、言うまでもない。


―――


そして夜会の後・・・


「で、どうだったのよ、ソシエ」

この日も妃たちふたりは、酒を飲み交わしていた。


「・・・何故か、あのセリフ・・・シャクヤ陛下にも言いやがった」


「え・・・で、どうなったの?その後」


「シャクヤ陛下が“仲がいいようで何よりだ”と微笑まれたわ。

そして竜帝陛下から、何故か嬉しそうなお花が咲き乱れたの」


「シャクヤ陛下に褒められたからね。あ、シャクヤ陛下の妃殿下とは?」


「竜帝陛下の監視をしていたから、ひとことふたことだけね。

少し話せたわ。とてもキレイで素敵な方ね。

それで、シャクヤ陛下との会話で言っていたのだけど・・・

そもそもの原因、何だったと思う・・・?」


「え・・・なぁに?」


「・・・皇太子殿下が、シャクヤ陛下の末姫を婚約者に迎えたいから・・・らしいわ。

でも、陛下は完全に、シャクヤ陛下に褒められたいだけだわ」


「絶対そうね・・・そうとなれば・・・ソシエ」


「えぇ、もちろんよ、ユリアナ。

シャクヤ陛下に怒られないように少しでも・・・

皇太子殿下を軌道修正させとかないとね」


「怒られたら号泣しちゃうもんね」


『あ~っはっはっはっはっはっ!!!』

と、こんな彼女たちが竜帝陛下をマジで号泣させたうえ、

前代未聞大惨事に巻き込むのは、まだまだ先の話である。



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