とっておきグッズ
「その・・・いくら父さまに頭が上がらないとはいえ、
これが本当に効くのですか?」
私は半信半疑でした。
「だけど、他に手だてがないわ」
と、ミフェイさま。
「まぁ・・・ぐちゃぐちゃになる可能性はあるけど・・・平気?」
と、アナ。
「あぁ、それは全く心配ありませんよ。
全く・・・親バカ妄想が全体の9割を占めるんですよ?
大事なとこだけメモっておけば大丈夫です」
ケロッと言ったところ・・・
「ディランさま、大丈夫です。
ディランさまのお手紙は私たちが添削しますから」
と、シアがディルを慰めておりました。
何故かディルがしゅーんとしておりました。
はて、どうしたんですかね?
まぁ、とにもかくにも、実践です。
「父上、こちらを」
ディルが、例の物を、竜帝陛下の顔にちらつかせます。
酔っ払いあるある。
竜帝陛下は、近衛騎士たちやディル、ルゼくんに抱えられながらも、
移動される途中だったのですが、途中で暴れ、
魔法弾を放ったり、どこからか銀色の双刀を取り出して、
泣きながら暴れたりしたので、
先ほどディルが本気で鎮めたところです。
今のところ、鎮まっておられます。
「・・・ひぐ・・・っ、シャクヤ・・・」
「ほら、父上。そのシャクヤ王からのお手紙ですよ」
それは、父さまが私に送って来たお手紙でした。
こんなもので本当に効くのでしょうか?
しかし、他に方法はありません。
運ぼうにも、その度に暴れられては、
竜帝国城の損害もさることながら、
ディルの体力と精神力もさすがに持ちません。
万が一、竜帝陛下の御身に何かがあっても困りますし。
ここは、大人しくなっていただくしかないのです。
「・・・しゃく・・・や・・・」
カサ・・・ッ
ディルから、父さまからの手紙を受け取った竜帝陛下は・・・
それを顔面に擦り付けております。
「・・・シャクヤの匂いがする・・・」
え・・・マジで・・・?
ちょっと父さま・・・何で私宛の手紙に、
自分の体臭つけてんですか!?
ちょっと・・・もう父さまからの手紙、
受け取りたくないんですけど・・・
後で母さまに通報しなきゃですね。
「ほら、父上。だから、お部屋に戻りましょうね」
「あの、ディル、よければこちらも」
私は、とあるものを差し出しました。
「メイリィ・・・これは?」
「何かのお役に立てばと思いまして」
私は、父さまから、寂しくなった時のために、
持っておいて・・・と、押し付けられた、
父さま愛用の万年筆を差し出しました。
手紙の件がありましたので、
ぶっちゃけ持っているのが恐ろしくなったとです。
これが少しでも、竜帝陛下の慰めになるのなら・・・と。
「あぁ、ありがとう・・・だが、酔っ払いにとがったものは・・・」
「あ・・・そうですね。
では、後でお渡しする・・・と言うことで、今のところは、これで」
私はディルに、もうひとつのものを差し出しました。
私は祖国から届いた仕送りの中から、
父さまが送って来たものを取り出しました。
「あぁ、すまない」
ディルは受け取ると、竜帝陛下にそれを差し出します。
「・・・シャクヤ王から送られた、ぬいぐるみです」
猫耳しっぽ萌えですよ、良かったですね。
「・・・えぐ・・・っ、うん・・・シャクヤの匂いがする・・・」
竜帝陛下がそれを受け取り、抱きしめられました。
やはり、竜帝陛下にお預けして、正解だったようです。
ディル「シア!早速メイリィへのラブレターを書いてみたぞ!添削してくれ!」
シア「はい、ディランさま。・・・そうですね」
ディル「どうだ?」
シア「・・・3点ですね」
ディル「・・・んな・・・っ!?何故だ・・・!!」




