迫りくる確信
ミフェイとディル、ふたりっきりの寝室で、
ミフェイは苦しそうに言葉を並べる。
「その男は・・・私に“ツェイロン”の出身ではないかと、
・・・しきりに問いかけました。
私はとっさに、“ランディア”だと答えました。
出身であることは間違いありません。
急いで、ランディア本国からの情報を調べました。
私の国籍は、“ランディア”、弟も“ランディア”でした。
つまり、私が、ツェイロン国籍であれば、
その男に命を狙われたかもしれないのです」
「・・・それで・・・止めたのか・・・
しかし、何故、ミフェイを狙う・・・?
それに、国籍の件はどうなっているんだ・・・?」
「私がミーナと言う女性の血縁者である可能性を、
危惧したのではないでしょうか。
死んだはずの女性と、同じ顔をした、私に出会ったのです。
取り乱したとしても、不思議ではありません」
「・・・ミフェイは、ミーナと言う女性に、心当たりはないのか。
お母君の、姉妹や、親類など」
「・・・母は、身寄りがありませんでした。
けれど・・・それは嘘ではないかと、思っています」
「どう言うことだ・・・?」
「母が何故、城から逃げ出して、
国境を越えて、ツェイロンとランディアの国境の街に移り住んだのか・・・
何故、母は身寄りのない流れの踊り子を、演じていたのか・・・
母も、ミーナと言う女性に起きたことを、知っていたのではないか・・・
全てではなくとも、何かきっかけがあって、知ってしまったのではないか・・・
今となっては・・・わかりません・・・実の父は、既に他界しています」
「・・・全ては、その男しか知りえない・・・か」
「ですが・・・相手は、竜帝陛下にとって、唯一無二の・・・」
「父がそれを知って、どうするかは、俺にはわからない。
だが・・・その男を断罪する材料なら、現状ひとつ、心当たりがある」
「それは・・・?」
「・・・故メイファ妃の、第2子だ。彼は確実に、生きている」
「・・・どうして、それを?」
「・・・メイリィとルゼが、その第2子に、捕らえられた。
ふたりは助けたが、彼のことはわからずじまいだ・・・だが・・・
彼が故メイファ妃に手を出し、
子を孕ませ、その上殺したとなれば・・・」
「メイファ妃を殺した証拠は、ありません」
「・・・だが、確信なら、あるんだ」
「それは・・・?」
「俺は昔、元皇后に幽閉されて育った。力を暴走させるたびに、
罰を与えられた。それに、毎日の食事は、
何故か舌がヒリヒリしていた。
俺はそれが・・・メイファ妃が飲まされた、
邪竜の血だったのではないかと・・・思っている」
「そんな・・・殿下が・・・?それに、邪竜の血を・・・?」
「俺に毒は効かない。そう言う体質だからだ。
食べたとしても、舌がヒリヒリする程度で、他に影響はない。
何故、そんなものを食べさせられたのか、
理由は今となってはわからない。
だが、俺の体には・・・邪竜の血が蓄積されていたそうだ。
それは神龍から聞いた。
まぁ、そういった毒の類は、体質で体内で分解されてしまうそうだが。
・・・だが・・・昔のことで、思い出したことがある。
今までは、思い出したくもなかった・・・メイリィだけが、
俺の生きる目的だったからだ・・・だが・・・メイリィは、
俺の過去も、現在も、受け入れてくれた。
だから・・・昔ほど、過去に抵抗がなくなったのかもしれない・・・
俺は、見たことがあった・・・元皇后と、その男が、
抱き合っていた・・・幼い頃はその意味がわからなかった」
「・・・まさか・・・とは、おもいますが・・・」
「・・・そう、だろうな・・・
父上の血を継ぐ皇子の俺が邪魔だった・・・のかもしれないな。
結果的には、俺の体質のせいで・・・全く効かなかったがな」
その結論に、ディルは呆れたように苦笑するが、
ミフェイは悲し気な双眸を返すだけだった。




