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【完結】くじ引きで竜帝国の皇太子妃に選ばれてしまった  作者: 夕凪 瓊紗.com
第6章 忘れられた皇子編

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神弟力


とにもかくにも、キーシャくんが、

ディルたちの本当の兄弟と言うことが判明したわけですが。


「と言うか、キーシャが本当の第2皇子なら、

ぼくの兄・・・になるんじゃないの?」

と、ルゼくんがふとした疑問を口にしました。


「ふえ・・・お兄ちゃんじゃ・・・ない・・・?」

ちょっとぉ、キーシャくんが涙目になってるじゃないですか・・・!


「お兄ちゃんじゃないなんて・・・

いやああああぁぁぁぁぁ――――っ!!!」


ドゴオオオオオォォォォンッッ


ザザザザザザザザザ――――――ッッ


「あれ・・・何でしょうか・・・?」


「雷・・・?」

シアが首を傾げます。


「雨の音もするわね」

と、アナ。


「・・・あぁ、神龍キーシャが泣くと、その感情が天候で返ってくる。

雨とか、雷とか、竜巻とか・・・ひょう、ブリーザード・・・それから」

と、ディルが指を折って冷静に数えておりますが・・・


「冷静に数えている場合ですかっ!!」

一足先に、アナの強烈な張り手が、ディルの背中に入魂されたとです。

さすがは、アナ。

私と同じ貴重なツッコミ要員なだけのことはありますね。


「このままでは、天災などに発展する可能性も、あるのでは!?

ど、どうすればよいのですか、ディル!!」


「・・・泣き止ませればいい」


「どうやって!!」

ルゼくんが狼狽えています。


「・・・そう言われても」

うおぉいっ!ディル!お兄ちゃん全く頼りになりませんよ!?


「えぇと・・・そうだ!こういう時も、なでなで!

なでなで!こういう時こそなでなで、ですよ!ルゼくん!」


「えぇぇっ!?う、うん、わかったよ、姉上」

なでなで、なでなで。

ルゼくんがなでなでしてあげると、

キーシャくんがふと、泣き声を止めて、

うるうる目でルゼくんを見上げます。


ぐはっ


「・・・お兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・ひぐっ

ぼくのお兄ちゃん・・・じゃ、、、ないって・・・ぐすっ」


「い・・・いいじゃないですか、ルゼくん!

年齢的にはレオくんはルゼくんの兄ですけど、

竜皇族的には、弟になるじゃないですか!

弟・・・こんなにかわいい弟なんです!

いざ・・・弟にしちゃいましょう!

何事も、ノリが肝心なのです!」


「え・・・うん・・・まぁ・・・外見は、

年下だし、俺の兄上は兄上だけだから・・・

弟・・・で、いいよ?」

その場合、年齢だけはルゼくんから見たレオくんの定義が

どうなるのか・・・そこがあやふやなようですが、

“取り敢えず・・・兄弟!”そんなノリなので・・・

いいですよねっ!

いろいろとツッコみたいところはありますが・・・

まぁ、仲良しさんなので、いいのです!

ここは、強硬手段に出ましょう!

・・・えへっ!


「・・・じゃぁ・・・ぼくの・・・おにいちゃん・・・?」

キーシャくんが、嬉しそうな表情を浮かべます。


「う・・・うん・・・」


「わぁいっ!お兄ちゃん♡♡♡♡♡♡」

は・・・ハートマークがやばいっ!

これぞ・・・神弟力!!

へにゃりと笑うキーシャくんは、まさに神々しく、

外もきっと、突然の雷雨から、

物凄い晴天に早変わりしていることでしょう!


「・・・それで・・・えぇと・・・」

ディルが私と、アナを交互に見ています。


「まずは、現状の整理ですわ。

メイリィ、ルゼくん、何がありましたの?」

アナがこの場を取り持ってくれます。

さすがは私たちの中の・・・ご意見番!

頼りになりますね。


私とルゼくんは、互いに起きたことを話しました。

私が、突然あの暗闇の中にいたように、

ルゼくんも暗闇の中にいて、

突然あの、キーシャを名乗る少年に動きを封じられ、

一方的に襲われたそうなのです。


「・・・そのキーシャの・・・偽物・・・と言っていいのか?」

ディルの視線が鋭くなります。


「少なくとも・・・神龍だとは信じられませんわ。

キーシャさま、神龍は・・・」


「竜のお姉ちゃん」

キーシャくんが、アナの袖を引っ張っています。

その動作のひとつひとつが、萌えキュンなのです!!

ぐはっと来ちゃうのです!!


「アナ、とお呼びくださいな」


「・・・アナお姉ちゃん、きーしゃって呼んで。きーしゃ」


「ですが・・・」

アナがディルを見上げます。


「キーシャが望むのなら・・・叶えて、あげてほしい」

ディルが困ったように、照れたようにそう告げます。


「・・・わかりました。キーシャくん」


「うん!」

キーシャくんは相変わらず神々しくへにゃりと微笑みます。


ぐはっ


あ、シアもいつの間にかぐはっときていますね。

もはや私たちみんなのかわいい神弟ですね。


「その、神龍とは、おふた方存在することは、

絶対にないと言い切れるのでしょうか」


「・・・ううん、神龍は、唯一無二。

必ずひとり現れる。いつもいるわけじゃないけど。

先代の時代は、いなかったからね。でも、ふたりは・・・いない。

でも、ディルお兄ちゃんみたいに、

たまに神龍に近い強い力を持つ子も産まれることもあるかな。

だいぶ邪竜の血が増えていたけど・・・

でも銀龍の血が入ってるから、平気だったんだね!」

邪竜の血・・・何だか恐そうなものが出てきましたけど・・・


「やっぱりディルも、銀龍さんの血をひいているのですか?」


「うん!だって、毒、平気でしょ?」

と、ディルを見上げるキーシャくん。


「あぁ・・・だが、銀龍とは、何の話だ?」

と、首を傾げるディル。


「言ったことなかった?」


「あぁ、うん」


「もへー」

もへっちゃいました、キーシャくん。でもかわいいのでOKです。

かわいいは正義ですから。


「銀龍は、銀龍だよ~」


「つまり、兄上、俺たちの父上のことを言っているらしい」


「父上が・・・?確かに銀色の珍しい角だが」


「うん!銀龍ってね、毒耐性がすっごくすっごく強いの!

毒は薬にもなるでしょ?だから、毒をお薬に・・・しちゃう感じ!」

よくわかりませんが・・・毒を無害なものに変えちゃうってことですか?

まさかのディルの体質の真実が、今、ここに・・・!


「だから角の色も・・・変わっちゃったの!」

一応、ディルたちに、先ほど聞いたキーシャくんからの、

竜皇族の本来の角情報を話します。


「・・・昔、聞いたことはあるな」

と、ディル。


「えぇと・・・それは・・・」


「俺は、父上と生活するようになって、一度だけ、ちらりと聞いたことがある。

父上の角の色が、本来の竜皇族の角の色ではないと。

そして、父の側近の角を見て、本来の竜皇族の角の色を思い出すと」

それって、ルゼくんが仰った、“ルキさま”と言う、

竜帝陛下の側近さんのことですよね?


「・・・父上は、そんな物は知らないと言うだけだったが。

少なくとも、俺の角が金色になったり、アナの金色の角とは違うものなのだな」


「うん、あれは直系だけしか受け継がないから、

アナお姉ちゃんは、受け継げないよ。

それに、ディルお兄ちゃんは銀龍の血が混じっちゃったから、

角の色、変わっちゃったの」


「神龍の遺伝子よりも、銀龍の遺伝子の方が、強いのか?

神龍は、最強の竜のはずだが」

と、ディル。確かに、先ほどキーシャくんがそう言いましたもんね。


「あのね・・・力は神龍が強いんだけど・・・

子孫は子孫であって、神龍の力をそのまま受け継がないし、

ディルお兄ちゃんは力つよいけど・・・

神龍じゃないから、その力は、その身に余る」


「・・・俺は度々、力を暴走させていたからな。

メイリィと出会って、一度おさまったが、

・・・その後も・・・度々。その度に・・・

メイリィを思い出せば、不思議と気持ちが楽になった」


「うん、つがいだから!」


「私と、ディルがですか?」


「だって、魔力、つないだでしょ?

そうやって、竜の力でつなぐとつがいになるの!」

確かディルは、それが失われた魔法だと言っていました。

それが、つがいに授ける印だったのですか?


「ぼくが、教えてあげたの」


「キーシャくんが・・・?」


「ぼくは竜だから、覚えているし。

その後、ディルお兄ちゃんの弟になったから、

魔力も安定したでしょ?」


「・・・あぁ」

ディルが頷きます。


「ぼくは神龍だもの。それくらいできるよっ!」


「そうだったのですか・・・」

やはりどこまでも神レベル。さすがは神龍です。


「ディルのこと、ありがとうございます。キーシャくん」

私は、自然とキーシャくんを抱き寄せました。

すると、キーシャくんが私に間近でへにゃりと笑ってくださいまし・・・


げほぁっ


・・・し・・・刺激が・・・刺激が強すぎた!?


何だか、ディルに背中を支えられている気がします。


「ぼく、ディルお兄ちゃん、大好きだもん♡♡♡♡♡♡♡♡」

は・・・ハートの数が・・・ヤバいですっ!!

神弟力、ッパネェですっ!!


「メイリィ、疲れているのかも」

あぁ・・・女神さまの声が聴こえます。


「とにかく、休ませないと」

これはアナの声ですね。


「もっふぃセラピーが一番効くんじゃないですか?」

キャロルの声ですね。


『それだっ!!』


どうやら、満場一致のようです。


「むおおおぉぉっふぃぃぃぃぃっ♡♡♡」


おっきなもっふぃのかわいい声と共に、私の意識は・・・


「うん、ポチもそう言ってる!」

え・・・ポチ・・・?

ポチって・・・あの・・・シンシャ兄さまが、

犬を見ると全部“ポチ”と呼んでいて、

“何でポチって呼んでるのですか?”と聞くと、

犬と言えば“ポチ”だろう、と

謎の理論を展開していましたね・・・

強烈にシンシャ兄さま臭がするのですが・・・

・・・気のせい、でしょうか?


まぁ、ひとまず、おっきなもっふぃの

しっぽ枕のもふり心地と、何故かディルの逞しい腕の感触を感じながら、

私の意識は夢の中へとおちていきました。



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