#122 調査
前回までのデミドラゴン───。
海に面した現アズドラーク国は遠征と交易品を兼ねて塩の大量生産を画策。
しかし昔からこの一帯に住んでいる住民からは猛反対。
なんでも海に無礼なことをすると化け物が怒って飛び出してくるのだとか。
それが本当なら塩を作るにも面倒で、海の先を見に行くにも邪魔になってしまう。
そこで選ばれた六人のメンバーは海に赴き、その怪物がいるのなら排除するという事になった。
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「ま、人が集まったからには仕事をしましょう。ジルオさん、ルリアさんは塩って言ってましたけど、この辺って雨降ります?」
「いんや、乾燥期に入ったからしばらくはこのままだ。そうだな……半年くらいか?」
「んじゃ天日干しで塩作りましょう。俺ガキの頃に実習でやったことあるんで」
ここで予めギルドのほうで作ってもらった中華鍋、のようなものが登場。勿論持ち歩けるわけもないので写真から生成だ。
「うおっ、なんだそのバカでかい鍋!?」
「これで作るんだよ。この辺に塩田は無いから煮詰めるんだ」
話に聞く天日塩というものは海の近くの塩田に海水を流し込み、太陽光と風で水分を蒸発させて結晶化させる。
しかし俺たちに時間という縛りは存在しない。この世界には魔法がある、それを代用して短時間で大量に作る。
と言っても流石に自然のエネルギーだけでは短縮しようがないのでまずは炊く。
「ステップ1、鍋の中に海水を詰める。多すぎてもくっつかないからな適度な量だぞ」
「ステップ2、これを水分量が半分になるくらいまで煮る。このメンバーに炎魔法使いはいないから……これで代用する」
こういう時を想定して、火球をプリントした写真を二枚用意しておいた。砂浜に流れ着いた木材を組んで重ね、一番下に置いて着火。
「なぁヒサメ、なんでこっちの木材は使わなかったんだ?」
「それ濡れてるだろ。単純な話だが湿った木は燃えにくいんだ、もうちょっと軽くて乾いてる木材がベスト」
随分昔にボランティアでキャンプファイアーを作った時の知恵だ。人生なんだかんだで意外な知識が役に立つものだ。
「はいステップ3、全力で乾かす。レイラに乾かしてもらおう」
「私のことなんだと思ってるのよ……」
「素晴らしき風魔法使いの誇らしき仲間。これで……」
十分ほど放置。カンカン照りの日光と鍋の上で吹き荒れる小さな竜巻で水分はみるみるうちに減っていく。
「うおおおおおっ!? あんなに水があったのに半分も残ってねぇ!?」
「これを繰り返して完全に水分を飛ばす。これ作ってて気づいたけど別に天日じゃなくて鍋焚きになってるな、まぁいいか」
繰り返すこと数十分。普通に天日干しで作ると数年単位でかかるから凄まじい効率だ。
「この鍋にくっついてる白い結晶が塩か!!」
「かなり大きめの結晶もあるわね。どうする?」
「用途に合わせて砕けばいいんだよ。味は……あれ、意外と磯っぽい風味になるな。吹きかけた風がここのものだったからしっかり味が付いてる」
口に含んだ瞬間に鼻を突き抜ける磯の香り。舌で溶けてじんわりと感じる塩味が心地いい。
「おぉ、しょっっっぺェ!? けどうめェ!!!!」
「ふむ、ギルドで置いてあるものよりも塩味が強くていいわね。キッチンにもこの塩回ってこないかしら」
「ルリアさんに言えば回してもらえるだろ、どうせあの人も食いたい食いたいってはしゃぐんだから」
「あぁー……自然と想像できるわ……」
塩の作成はこれで達成。この作り方と出来た塩を持っていって作り方を教えれば完了だ。
しかしここですぐ帰るわけにもいかない。ある意味塩よりも重要な任務が残っている。
「ジルオさーん、例の化け物いましたー?」
「ヒサメか。塩は出来たか?」
「バッチリですよ。それよりこっちは……」
「残念ながら収穫無しだ。本当に噂話なのかもな」
俺とミズキ、レイラの三人で塩制作チーム、残りの三人は化け物捜索チームとなっている。
噂されている巨大なバケモノ、それを観測するまで不安は拭えないのだ。
「疲れてるなら交代しますよ?」
「まだ一時間も経ってないだろ、問題ない。とは言え、いるかどうかも分からない生物を探すのはかなり精神的に厳しいな」
「元が噂ですからね。もしかしたら本当に何もいないのかもしれない、けど……」
「あまりにも大多数に広まっている噂だ。創作物がここまで人の記憶に残ることもそう無いだろ」
噂の聞き込みは生活水準の高さも出身地域でも変わらずに微妙に効果が出た。
言ってしまえば「どんな場所でも知ってる人は知ってる」くらいのもの。
全く信憑性が無い。しかしデマにしてはあまりに多くの人に伝えられている。
「あァやめじゃやめじゃ、意味のないことに時間を費やせるほど妾は暇ではないのだ」
「カリンさん。……いや、そうはいっても普段から結構暇してません?」
「そういう問題ではない。いや、そういう問題でもあるか? まァいい、調査の結果としては何も収穫無しじゃな」
「魔力感知で探してもみたんですが、その辺りを泳いでる魚くらいしかいませんね」
「イザベラさんも。てか、魚って魔力あるんだ」
「万物に魔力は眠っておる。飯を食えば体が治るのは基本的にその副作用じゃな」
俺の体にも魔力は流れているが使用に適していない体らしく、探知系統の魔法はからきしだ。
この世界の人は体の周りに魔力を固めて他の魔力を探す、という技が誰でも扱えるとのことだが。
勿論魔力とか魔法とかそこら辺を外付けで換装してる俺には不可能、というより魔力のコントロールが出来ない。
だって出そうと思ったらあの黒いのが出るんだぞ、あの黒いのが!!
黒龍の力だがなんだか知らないが、使用者自身に分からないものは他の誰に聞いてもわからない。暴走が起きたら対処できる人間が限られている関係上、なるべく黒龍の力は使わない方針で生きたいが。
そうすると俺はちょっと頑丈なだけの人間になってしまう。この世界での俺を形作っているのはやはり竜の亜人たる力なので悩ましいところだ。
「そうだヒサメ。お前も空飛べるだろ、偵察してこい」
「いや、まぁ確かに……飛べますけど……」
思っていたそばから能力の使用を推奨された。ウチのギルドは亜人が多すぎてこういう時にさも当然のようにやらされる。
俺も竜種の翼を生やせば飛べるがコントロールが効かない、というより慣れない。
人間に翼を操作する部位が存在しないから当たり前だ。肩甲骨の辺りから何かがくっついてる感じがしてすごくもどかしい。
「俺が捜索する分にはいいですけど、俺がもし暴走状態になったら止めてくれるんですよね?」
「その時は素直にルリア呼ぶぞ」
「ノータイムで呼ぼうとしてんじゃねェ!! あの人忙しいから今日いないのに呼んだら元も子もないだろ!!」
「どうせアイツのことだ、呼んだら仕事なんて投げ出して走ってくるぞ」
「容易に想像が出来る……ひとまず休憩しましょう」
湾岸探索チーム、早くも休憩。
化け物捜索チームの成果は今だ無し。
すげ~~~お久しぶりでしょう。私もです。
3年です、3年。ギリギリ3年に間に合わなかった。
前回の投稿が2020年の5/16、この小説が更新されなかった期間が3年。
まさかこんなに先延ばしになるとは誰も思っていなかったことでしょう。
はい。上記の訳で。超お久しぶりです、皇 咲麻です。
……なんじゃこのハンドルネーム、普通にダサいな。
でも面白いのでそのままにしておこう。
この小説が更新されなかった期間が3年、そして今年の秋頃に
この小説が初めて投稿されてから6年が経過しようとしています。
祝わなくていいです。半分くらいは投稿してなかった期間なので。
なぜ今になってこれが更新されたのか、なぜ今まで消えてなかったのか。
謎です。書いてる私が一番の謎。
更新が止まってから様々なことがあったと思います。
なんかよく分からん菌が蔓延してたり、学生は卒業式が潰れたり。
私もいろいろありました。仕事があったりなかったり、結局なかったり。
それでも今、こうして何とか書けてます。クソッタレな人生、一筋の光。
今の仕事がまあまあ暇な時間が出来るもので、その時間にこれを書いています。
少なくともまた仕事が忙しくなるまでは、ぼちぼち続けていきたいです。
急に更新が無くなったら仕事が忙しくなったその時。頑張れ私!!




