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FAMILIAR SIGHT ~三下シーフ、翔んでみせろ~  作者: のうき
■迷いの森(人災)と、神の僕(しもべ)■
19/33

時には昔の話を

 真っ白だった視界に、やがて少しずつ元の森が戻ってきた。

 見えては来るが、相変わらず3人の周りは白いままだ。


「な……に、これ……」


 3人の周りを、白い光が包み込んでいた。よく見ると、光の外側は木が倒れたり、草が焦げたりと魔法の攻撃を受けた様子が見て取れる。光が盾になり、周りだけ被害が及んでいるのだ。


 光は3人、いや正確にはセスの持っているプレートから発せられている。


 恐る恐る手を開くと、光が一瞬強くなって、霧散した。


 ハッと気づいて、森の方を見るともう人影はいない。

「ランス、跡を追えたりしない?」

「いや、ちょっと無理だ……」

 またこの男は腰が抜けている。仮に追えたとしても、あんな魔法撃ってくる相手にどうしたものか。


「こいつか……こいつが多分お前らを守ってるんだな。っていうか……」


 2人に向き直り、セスが怒鳴りつける。


「お前らバカか! 大バカか! なんでかばったりしたよ? 特にシャム、お前魔法相手に何できるんだよ!」

「人間より多少魔法には強いわよ! 目の前で黒焦げになるヤツ見るのイヤじゃないの! ランス、アンタは抵抗の魔法とか使えるでしょうが!」

「間に合うかあんなの!」

「「じゃあ来るな!」」


 ひとしきりケンカした後、シャムがものすごく悪い笑顔で呟いた。


「てことは、あの女(ノルト)、ちゃんと鑑定できてないじゃない。なーにが“4つ集まって初めて何らかの効果があるもの”よ! あはははは!」

「薄々思ってたんだけど、あいつ根に持つタイプだよなあ」

「俺はハッキリとそう思う」



 その後3人で、プレートの魔法防御効果について実験を始めた。

 結果としては、シャムが持っているときはシールドが張られる。

 セス、効果なし。ランス、自分で自分に攻撃できずよくわからない。


()っつ! ()っっつ!」

「焦げ損だったな」

「治せよ!」

「てことは、アタシが持ってるのが一番いいのかしら」

「シャム、昔同じもの持ってたんだろ? その時に魔法攻撃されたりしてなかったのか?」

「んー、肌身離さず持ってたわけじゃないし、うちの家族はモンスター相手の方が多かったからなあ……あと、魔法使いは敵にそれっぽいのがいたら素早く斬り殺せって家訓が」

「えげつねえ家訓だな!」


 そういや、拾われたとき、周りに戦いの後があったって言ってたな。もしかしたら、その時に発動してたのかもしれない。今となっては確かめようもないことだけれど。



***



 一行はシャムの住んでいた、村、というより集落規模の場所に向かうことにした。

 途中で夜になってしまい、野営の準備をしている。



「俺はお前らを利用する、ってさっき言たけど、大間違いだったかもしれない。悪かったよ、エルフ扱いしてさ」

「何……よ、今更……」


 冷たい目をしたセスと、項垂れているシャム。目を閉じてあきらめの表情をしているランス。


「まさか、エルフが……」






「森で道に迷うなんて思わなかったもんでなあ」


「あーもう、ゴメンって言ってるでしょお! いつまでもグチグチグチグチと!」


 シャムの道案内で実家参りに出かけたわけだが、何度も道に迷い、行き止まったり危険そうなモンスターの生息地に迷い込みそうになったりで、比較的安全そうな場所まで避難する羽目になったのだ。


「まあ一応道はあるんだし、いずれどこか人の住んでるところに着くんじゃないのか?」

「お前、ドリカを出てからちょっとキャラ変わって気味悪い」


 セスが悪態をついていると、シャムが毛布を投げつけながら言う。

「もうっ、今夜はアタシが責任取って夜番するからとっとと寝なさい!」

「お前、寝ないと魔力が回復しないだろ……」



「コドモはね、早く寝ないと空から悪魔が攫いに来るんだからねっ!」

「「何それ」」


 セスとランスがハモる。

「え?」

 シャムは心底意外そうだ。


「だ、だって親からよく言われなかった? “空から悪魔が来て”って……」

「その“空から”って変じゃね? 地下から来んだろ悪魔は。フツー」

「そうだな、“地下の悪魔が起きだして、この国を沈めてしまう”なんて脅されたな。懐かしい」

「大体空に居んのは神様とかだろ?」

「ああ、空に浮かぶ“神の城”があるとかいうお伽噺か」

「そ、それも聞いたことあるけど、アタシのも……」


「言わない言わない。――あ、わかった、俺たちとはお伽噺の伝わってる世代が違うんだぁ!」

「やかましい、寝なさい!!」


 鉄拳制裁が来そうだったので、命が惜しい男2人は先に寝ることにした。勿論、適当な時間に交代する構えではある。



***



 野外で寝るのはセスは特に慣れている。商隊、フィールドワークの経験から、横になっていなくても寝つきはいい。大きな木にもたれて眠ってからどれくらい経ったろうか。ふと、顔に手を当てて目を覚ました。


 顔の傷が痛む。こんなことは、傷がついた時以外は、ノルトの鑑定を受けた際だけだ。

「あー、なんだっけ。これ、確か……」

 ふと、思い出した場所があった。

ランスはよく腰抜かすなあ

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