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32話  その言葉を待っていた。

「自分に嘘つくのやめない。」

「どうゆうこと。」

「分かっているくせに。」


 廊下で優妃がそういうと、話は終わった。と去っていった。


 うつむいた悠に見かねたのか、後ろから天使がやってきて云った。

「いい加減、あなたも好意を見せることですよ。」と、少しきつめの声で話した。

 夢に出てきたメメ似の人のことを思い出した。



 そうだ、悠はやっと自分がどうしたらいいか分かった。

 自分からも、好きと伝えないといけない!

 もうあんな後悔はしたくない。

 たとえ彼女が自分の身の丈に合わないように思えても、自分から身を引いて気持ちに嘘をついてはいけない!

 


 確かに、自分に走る才能はない。だけど走るのは楽しい。


「悠とは話してるだけで生きててよかったって思えるの。本当だよ。こんなに明るい気持ちになっていいんだって……。」


 昨日電話で優妃が言っていたこれが答えだ。


 俺は、愛する人に今、好きと伝えなきゃいけない。


 放課後、久しぶりに悠は陸上部に顔を出した。

「久しぶり。今日走っていいかな。」

 男子部室で、後輩たちにそう言うと、唯一の先輩が戻ってきたことで、後輩たちは喜んだ。

「よかったー……。このまま卒業されちゃうかと思いましたよ!」

「そうですよ。大会前にいなくなっちゃって心細かったんですよ男子は!」

「悪かった。ごめん。」


 部室から出て女子も集まって挨拶をして始めるのだが、その時に優妃がいることは知っていた。

三年生にも関わらず、途中まで参加してから、勉強をしに帰ると聞いていた。


「悠!!来てくれたの!?」

優妃が目を真ん丸にして悠の手首を掴んだ。


「うん。終わったら一緒に帰ろう。」

「うん。うん!」

「俺、優妃と一緒に走っておきたい。」

「もちろん!」

 

 二年女子キャプテンは、騒ぐ女子たちを遮って、「長距離は校外3㎞ランニング!それ以外は1㎞!はい、スタート!!」と部活を仕切った。


「私は、受験あるから1㎞なの。ゆっくり走ろ。」

「おお。」


「私、大学で駅伝出るんだ。」

「そうか。絶対出れると思う。」


――それから二人は沈黙のまま走り続けて、校舎に一番に戻ってきた。

 悠と優妃は陸上部ジャージのままカバンを持って二人で売店まで行った。



「悠、久しぶりすぎて、ヘトヘトでしょ。まあ、私は余裕だったけど。」

「さすがだな。」

「あ!……これ、あげる。」

 優妃はカバンから小さな細い紙袋を出した。

「なにこれ。」

「いいから開けて。」

 中には陸上の全国大会で行った沖縄のご当地ストラップが入っていた。


「ずっと渡せなかったんだ。でも、今の悠なら大丈夫だね。」

「ありがとう。大切にする。ってなんだか女の子みたいだな。」

「あはは!いいの。悠は悠だよ。」


「俺も、東京の学校に行くよ。専門学校でて、調理師になる。」

「本当に!?そしたら、私のご飯もいつか作ってね。」

「だったら栄養士にもならないと。」

「うん。頑張って。」


 何故か誰もいない学校の廊下。卒業式に向けて壁に桜の花びらの形をした紙が貼られている。

 外から、後輩たちや、他の部活の人たちの声が聞こえる。


 二人で歩くことがこんなにも幸せなのか。


「優妃、好きだよ。」

「うん。その言葉をずっと待ってた。」


 雨上がりの空で灰色を青が追い出していた。







ありがとうございました。


最初の終わり方も掲載しておきます。


シャー###################シャー



「自分に嘘つくのやめない。」

「どうゆうこと。」

「分かっているくせに。」


 廊下で優妃がそういうと、話は終わった。と去っていった。


 うつむいた悠に見かねたのか、後ろから天使がやってきて云った。

「いい加減、あなたも好意を見せることですよ。」

と、少しきつめの声で話した。夢に出てきたメメ似の人のことを思い出した。


今日はしょうがのはんぺんで、その淡くもキツイ辛みが、どうしていいのか分からなくて、小学生に戻ってしまった。



誰のための、恋心。

もうそんなもの持ち合わせていなくて、ただ執着していた。


一人、思考の銀河が気持ちよくて、周りと溶け合うことを拒否する。他者の認知を認められないに。


あす、あずにゃるがの峠で、綺麗にめそめそしやあ。


もう無理、体は欲を燃やすのに、心が追いつかなくて、出せなくて、紅ショウガごときに小学生に戻される始末。


いつまでも、子供をやっていなさい。そうやって、そのうちしわしわでも守られる愚かさ、外に出られない恥ずかし身で焦げていくがいい。


はっ。


やはり、危ない。俺はどうしようってんだ。



助けてくれ、人を前にすると、すべての孔を閉じて透明になろうとす、すればするほどおかしき色濃き。


授業中に

頭を打ちつけていたら、

知らないうちに母親がいて、保険室だった。

白いシャツを着ていて、保険の先生は白いシャツを着ていた。白衣。



もう頑張れない。どうして演じるようになった。どうして考えすぎるようになった。


どうやったら偉そうに見えない。


困っちゃった。僕。お休み。



気を抜くと、小学三年生に戻る。いえ、ずっとそうですよ、隠しきれていません。もうこの辺にしときませう。


おれ、限界。



「やっぱり、精神科に行った方がいいのかしら。」

「悠は昔から我慢強くて、危なげだった。何か救いのある場所はないかな。」

「せっかくいい子なのに、伝わらないのよね。」

「そうだな。福岡さんとこの子は、せっかく仲良くしてくれてるのに。」

「がんじがらめになって、感情を一切出さなくなってしまった。」

「それも、人によるみたいよ。」

「演じ分けているのか。」

「おとおさん。」

「おお、びっくりした。悠、起きていたのか。」


次の日。

雨でくすんだ屋上のコンクリートの上で二人。

「優妃。」

「何。」


「俺、誰が好きなのかわからなくなっちゃった。」

「一人で考えすぎるからだよ。」


「どうやったら、偉そうにしてないか、考えてたら動けなくなった。みんなこっち見るし、もう俺なんか放っておいてよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!。」


二人歩いた街の光を、私は忘れられない。悠の横顔が大好きでいつまでも隣にいたいと思った。

たとえ頼りなくしおれていたとしても、私が元気を分けてあげたい。


「あのさあ。私のこと好きっていったじゃん!それでいいじゃん!」


おわり

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