来社
???「ここにいらしたのですか」 英語を喋りながら、扉を開き入ってきた、イケメン秘書。
年齢30前半。
微妙に短髪。
髭無し。
眼鏡無し。
身長182cm。
細マッチョ。
急成長IT企業、DIG。現在様々な流通システムの元となった、人間が管理する為の必要な情報のみを常にピックアップし、管理者が安心出来るよう、見て、理解し、確信的に管理サポート出来る情報コントロール技術。
必要な情報のみを抽出できるシステム。
適正情報抽出整理技術。
通称、DIG (砂漠の中の粒)
アメリカ企業でありながら、スイスに本拠地を置く。
???「うんまーなー」 〈コポコポ・・〉巨大水槽。長さ10m。幅5m。
めだかに餌をやっている。50歳前半の男。
しかし、実際は20歳後半に見える。
身長186。
体重85kg。
細身ではあるが、しっかりと骨太感がある。
ダンディでイケメン。
色白。
金髪。
髭無し。
眼鏡無し。
右目は青。
左目は緑。
???「俺のビジネス上手く出来そう?」
???「は、全てにおいて順調でございます」
???「あいつ・・どうしてる?」
???「・・船場様の事でしょうか?」
???「決まっているだろう?」
???「現在、女性の方とお付き合いしているようですが」
???「・・へえ?・・まあ・・あいつも歳だからなあ・・」
???「あなたもですよ?いい加減、一人の女性に絞って、落ち着いては?」
???「はっはっはっは、まあまあ・・んで?正体はバレテないんだろ?」
???「は、バラしてないようです」
???「当然だな、相手の職業は?しつこい刑事に追い回されてるそうじゃないか」
???「スガノと言いましたか、何でもコロンボと例えられてるとか、お相手の職業は、優秀な弁護士だそうです」
???「ほう、弁護士ねえ・・優秀なんだろう?あいつと話合うって事は」
???「現在負け無し、無敗の女王だそうです」
???「騒がしいなあ・・羨ましい、見てよ~俺の周り!敵がいやしないよ~」
???「あなたが完璧な掃除をしたからでしょう?その後、完璧なDIGを行い、徹底し、成長点を摘み取ったでしょう?」
???「まあ・・そうなんだけど~・・でもさあ・・少しくらい反抗心見せてくれたっていいじゃん」
???「暇、それは頂点を極めた者の定めです」
???「新しい事業もこれでもかってくらい順調だし・・」
???「はい、DIGを使えば、統計をとるのも簡単ですからね、失敗はありえません」
???「はあ・・つまらん」 餌を置き、高級ソファに寝転がる。
???「新しいお見合いの話がきております」 写真を見せる。
???「お?ロシア人か・・ん~95点」
???「では・・手配します」
???「いや・・しなくていい、少し出る」
???「?・・何処へ?」
???「日本」 起き上がる。
???「まさか!?お止めください!またちょっかい出すんですか?以前コテンパンにやられたばかりじゃないですか?事前に空気察して全員生かして貰ったの忘れたんですか?あの時は死んだと思いましたよ!?」
???「はははははははあれは笑ったよな~」
???「全っ然!笑えませんよ!まあ、爆弾テロを装った我々も悪いんですが・・」
???「そうそう!東京24区画の何処かに爆弾を仕掛けた~つって、制限時間設けてな!あれは勝ったって思って帝国ホテルでのんびりしてたら、窓ガラスをパリーンって進入され、お前も一撃でやられたっけあはっはっはっはっは!」
???「400箇所の独立爆弾は全て解除され、1ヶ月掛けて準備した、23箇所の基地も全て掃除、そいつらと我々の接点は何もなかった筈なのに、帝国ホテルの一部屋を当てられたんですよ?だいたい・・ウルフに勝てる訳ないじゃないですか」
???「あっはっはっはっは!」 指差して笑う。
???「笑えませんよ!制限時間がくる前に爆弾解除するセンサーを確認して貰って、見逃して貰っただけありがたいんですよ?しかも・・」
半年前。
帝国ホテル。
507号室。
スーツ2人が黒尽くめヘルメット3人で取り押さえられている。
{ウルフ「〈ザザ〉ああ・・ああ・・いいのか?・・ああ・・そうか・・分かった・・ああ・・〈ピ〉・・楽しませて貰ったからいいだとさ、はいはい解散解散~」}
???「ひ~ひっひっひっひっひっひっ~」 笑い転げてる。
???「何がそんなに可笑しいんですか!?」
???「は~っはっははは・・ボスに会ってみたいと思うだろ?」
???「う!それは・・まあ・・滅多に会えない人物の一人ではありますからね・・」
???「ぶっちゃけお前も暇だろ?だったら今度は正面から会いに行こうぜ?俺だってメシア機関の一員だ、トップに挨拶するのは当然な義務だ、だろ?」
???「日本はエイズ大国ですよ?女遊びは・・」
???「しねえって!お目当ては女は女でも・・」
???「ま・・まさか?」
???「んふははははは」
???「お止めください!そんなに死にたいんですか?」
???「それだ!」
???「は?」
???「俺を殺せるくらいの奴との相手に男魅力勝負だ!これ以上にそそられる事象があるだろうか?否!な~~~~い!」
???「は、はあ?・・」
???「女の取り合い如きに部隊を動かすと思うか?」
???「まあ・・確かに・・思いませんが・・ある意味で、激怒するのでは?メシアを追い出されますよ?」
???「あいつがトップだといえ、好き勝手出来る訳ではないよ、金、情報はツールに過ぎない、人間関係のな」
???「それはそうですが・・しかし・・怒らせたらまずいのでは?どんな仕返しを食らうか・・」
???「まあまあ、よっぽどの美人でない限り大丈夫だ、画像の女だろ?外人のボデーの魅力には勝てんさ、俺が本気になる訳ないだろう?それに・・俺が勝つとは限らない~~、あっはっはっはっはっは、・・さって、着替えよ~」〈ガチャ・・バタン〉 出て行った。
???「高身長イケメンとヒョロサラリーマン、結果は見えてる・・はあ・・転職したい・・それに・・」
スマホに染衣の画像を見る。
ボスの初の女という事で出回ってきた。
女にバレた場合、女は消す、それが掟だからだ。
ボスならば尚更である。
???「ボスが見初めた女・・絶対にあの人本気になるわ~・・画像で見るより美人って事はザラにあるってのに・・」
2日後。
男社員1「おい!聞いたか?今日、スパーク社長が来日して来たってニュース!」
男社員2「ああ!聞いた!凄えな!俺ヘッドハンティングされないかなあ」
男社員3「あっはっはっはお前が?無理無理!」
女子社員1「見てみて~ね~すっごいイケダン (イケメンダンディ)でしょう~?」
女子社員2「やっば!やっば~!」
女子社員3「これでめっちゃ金持ちとかまじないわああ」
女子社員4「嘘~まじやば~」
会社内は騒然。
康介「・・」無表情で仕事している。
前日。
東京。
夜21時。
リムジンタクシー内。
日本語。
???「すいません、思いつきで行動する人で・・はい・・はい・・いや・・いやそんな事はないと約束致します・・はい・・勿論です・・ただ・・挨拶に伺うだけでして・・はい・・はい心得ております・・はい・・失礼します」
スパーク「ははは・・ロバート~・・日本語上手いじゃないか!」
ロバート「はあ・・ボスは少し不機嫌でしたよ?社長」
スパーク「まあ・・いきなりの来日だけならともかく、来社だからなあ・・はははは」
ロバート「やはりお会いになるのですか?」
スパーク「クドイ!」
ロバート「最期の忠告ですよ?会ったら惚れますよ?辞めた方が・・」
スパーク「クドイ!そんな場合はない!俺があいつに勝ってるとこは女面だけだ!逆を言えば、ここだけは負ける訳にはいかん!絶対に惚れさせてやる!んで悔しい顔を拝んでやる!ははは見てろ、面白い顔が見れるぞ~くっくっくっく、お前の理解相手は俺だけって事を教えてやるぜ船場~」
ロバート「それって・・ヤキモチですか?」
スパーク「・・は?あ?は?ナンダッテ?は?」 隣りに座るロバートに顔を近づけ、睨む。
ロバート「イエ・・ナンデモ・・」 仰け反り、外の景色を見る。
スパーク「とにかく!俺は惚れないし、ただの遊びだ!どうせ、そんな高飛車な女はドMで淫乱って相場は決まってるんだ!目を覚まさせてやるぜ船場~くっくっくっくあ~っはっはっはっはっは」
ロバート「(嫌な予感が・・帰りたい・・トホホ~)」
当日。
朝8時。
RCC本社。
皆が大騒ぎになる時間にわざと来社。
社内は大騒ぎ。
玄関前に、社長達や幹部達が勢ぞろい。
大きい白いリムジンが止まる。
社長達は一斉に頭を下げ、出迎える。
警備員達により、ロープが張られ、玄関が開かれた。
女子社員達は涎やら、涙やらを垂れ流し、何やら叫んでいる。
男性社員達も騒ぎ、スマホのフラッシュ。
警備員達に囲まれ、玄関から入り、社内に入りながら手を振る。
気絶する女子社員多数。
第2客室から奥のVIPルームへ通される。
スパーク「ふうう、いやあ・・っはっはっはっは・・凄かったなあ」
ロバート「・・」 じとー。
社長「あ・・あの・・それで・・急な来日だけに留まらず、この会社に来社されたのは~?」
スパーク「・・」 ソファに座り、足を組み、顎でロバートに指示。
ロバート「・・コホン、本日、急な事で誠に申し訳思っております、こちらでは我社のシステム、DIGをご使用頂いておりますよね?」
社長「あの・・はい、それが・・何か?」 低腰で喋る。
スパーク「・・」
ロバート「その後の調子はどうかと思いましてこうして拝見しに来たという訳です、それにスパークはDIGを売った会社を自身の目で見て回っているのです」
スパーク「何でも自分の目で見ないとね」
社長「左様でございますか・・分かりました、この者に案内をさせますので、どうぞ、ごゆっくり見て行ってくださいませへへ・・では・・後は・・へへ・・失礼します、失礼します・・へへ・・どうも~どうも~・・君!しっかりね!沢木君!では~・・」〈パタン〉 幹部達と出て行った。
沢木という男。
40歳くらいのがっしりした体格。
眼鏡。
髭無し。
無骨な顔つき。
黒短髪。
身長190cm。
体重110kg。
文武両道ですと言わんばかりの雰囲気。
どうやら、現場監督のようだ。
他にも4人現場担当員がいる。
沢木「ご紹介に預かりました鉄鋼現場監督の沢木と申します、本日はー」
スパーク「君さ~」
沢木「はい?」
スパーク「自分の事強いって思ってるでしょ~」
沢木「は?・・今なんと?」
ロバート「(はあ・・また始まった、社長のいびり癖・・こういう雰囲気の奴をからかうんだよなあ)」
スパーク「だから~君は~弱いって言ってんの~・・家族いる?」
沢木「は、おりますが・・」
スパーク「ほら~ね~?聞かれたら答えるでしょ?何で答えるの?別に答えなくていいよ~」
沢木「は、はあ・・」
スパーク「奥さん何歳~?」
沢木「・・答えません」
スパーク「・・態度悪いなあ・・DIGのコード無効にしよっかな?」
沢木「な!?どういう事ですか?さっき答えなくて良いと」
スパーク「え?そんな事言った?覚えてないなあ?」
沢木はロバートを見る。
ロバート「・・」 じっと沢木を睨む。
沢木「・・そんな・・これは・・」
他の担当員達もたじたじ。
スパーク「君はさ~・・あれ、あれだよ~・・解る、解るよ~叩き上げ根性、気合、誇り、そんな感じの監督?だっけ?いいよ~別に~そんな君を見下してる訳じゃないよ?見下すっていう言葉はさ~、同身分の奴らが汚い罵倒試合で使う言葉だろ~?見下す必要すらないんだよ~解る~?」
沢木「・・」 たじたじ。
スパーク「胸を張るな、猫背で話せ、そして~人間として~身分の差をひしひしと肌で感じろ」
沢木「・・そんな・・私は・・」
スパーク「クビになりたいのか?」
沢木「そ!?そんな!?私が何かしましたか?」 膝を曲げ、半腰になる。
スパーク「ガタイがゴツいっていうのは~いいよな~解るよ?今まで社長にも一目置かれて来たのは解るよ~?でもな・・」 顔を寄せる。
スパーク「それは君が~今まで幸運だったんだよ?世の中にはこういう相手もいるという事だ、勉強になったかい?学校時代、どれだけムカついた教師がいても、殴れなかっただろう?怒れなかっただろう?その時代を思い出したかい?」
沢木「・・」 青ざめ、震えている。
スパーク「原始時代でも身分の差はあったんだ、紙幣制度がなかった頃からね、どんなに強かろうが、どんなに体鍛えようが・・意味ないんだよ、化物級じゃない限り、化物級の身分の者に付き従い、化物級の暴力を持たなければ、ただの、筋トレ馬鹿の筋肉馬鹿の脳筋馬鹿のおっさんなんだよ~」
沢木「・・」 膝を着いた。
スパーク「いいかい?解ったかい?ん~聞こえないな~?クビになりたいのかな?」
沢木「・・りました」
スパーク「ん~?何だって?」
沢木「分かり・・ました・・すいませんでした・・ですから、ですから・・社長にはどうか・・どうか報告だけは・・どうか・・どうか・・家族がいるんです・・どうか・・」 土下座。
他の担当員1「・・」 少し笑っている。
スパーク「・・(少しやりすぎた?)」 ロバートを見る。
ロバート「(知りませんからね)」 目で会話。
スパーク「・・おいそこのお前」
他の担当員の中の一名の若い男を指差す。
スパーク「笑ったな?」
担当員1「へ?いや?あの?」 驚き、たじたじ。
スパーク「俺は忠誠心を試していたんだ!お前は上司に愛はないのか!」
ロバート「(また適当言って・・)」
沢木「・・」 睨む。
担当員1「そ・・そんな・・」
スパーク「脱落は貴様だけだ、後の処分は沢木監督、貴方に任せよう、いいな?」
沢木「・・はい・・」 立ち上がり、睨む。
担当員1「そんな・・そんなああ・・」
沢木「貴様は現場に行け、後の者は着いてこい、ではご案内します、行きましょうか」
スパーク「うむ、宜しく頼む」
担当員1を残し、皆部屋を出て行った。
担当員1「そんな沢木さん!沢木〈バタン〉
一通り現場を見て回った後。
スパーク「PCが置いてある部屋をみたいなあ、あの・・ほら・・あの部署・・」
ロバート「図面整理部です」
沢木「え?しかし・・あそこには特に重要な仕事は・・単にファイル整理やら、用紙整理やらの部署でして・・DIGは使用してませんが?」
スパーク「そこに何故置いてないのだ?」
沢木「・・いえ・・最終確認と申しますか・・一応・・人の目で確認という感じでして」
スパーク「ふむ・・まあいい、そこにこそ、日本クールの所以があるのだ、その部署を見に行きたい」
沢木「・・」 ロバートを見る。
ロバート「宜しくお願いします」
沢木「・・分かりました、どうぞ」
康介「課長、確認取れました、全てOKです」〈パサ〉 課長の机に置く。
柴田課長「なあ・・お前は馬鹿か?」
康介「はあ・・」
柴田「何度も言わせんな!この机に置いてくんな!まずさ!まずね!いいか?俺の机の前に立って!出来ましたって報告するだろ?そして俺が少し片付けるから!そして俺が置いていいよってなったら置けよ!何で出来ましたあ、ぱさっなんだよああ?おい!こら!」
康介「でも、いつまでも、そのいいよが来ない可能性が」
柴田「煩いの!お前はいっつも煩いの!大体何か最近お前仕事早くなってないか?何かあったんか?ああ?張り切ってよお?おお?女でも出来たか?ああ?おい?ああ?おい?」 肘掛椅子に深く座る。
康介「いえ・・そんなんじゃ・・」 〈ボボ〉赤らめる。
柴田「・・おい・・」 背中を浮かす。
康介「いや、ほんとにそんなんじゃ・・」 真っ赤。
柴田「お前まさか・・やったのか?」 静かに立つ。
康介「やややややった?なげっほ、ゲッホ!何が?ゴッホゲッホ」 唾飲み込み失敗。
柴田「・・嘘だ・・嘘だ・・」
他の社員達『「嘘・・」「マジ?」「康さんが?」「でもそう言えばなんか」「分かる!」』
里美「・・っくっくっく」 笑いを堪えている。染衣から報告は受けていた。
康介「いやゲッホゲッホゲッホ・・ではゲッホ失礼ゲッホしまゲッホします」 離れ、部屋から出ようとー。
柴田「逃がすなあ!取り押さえろお!」
男性社員達『アイサア!』 少し追いかけられ捕まった。
柴田「貴様あ・・貴様だけは・・信じてたのにいい」 走って来た。
康介「か、課長・・ここれは・・」
柴田「煩い!さあ・・吐け、どんな女だ!吐けえええ・・」 涙を浮かべ、康介の襟首を掴む。
康介「落ち着いて・・こ、これは仕事と関係・・ないんじゃあ・・」
柴田「いいからあ・・吐けって言ってんだろうがあ・・キャバか?キャバなんだろう?そうなんだろ?」
ますます締まる。
康介「・・ゲッホはいい・・そうです~・・」
柴田「・・」 じっと目を見てくる。
康介「・・」
柴田「若い俺に面と向かって言えるのか?若い俺に~面と向かって言えるのか~嘘を言えるのかあ?」
康介「・・いえませ・・ゴッホゲホ」
柴田「だったら正直に言えええ、キャバなんだよな?だよなあ?」
〈ガチャ〉 扉が開いた。
沢木「・・これは・・一体何の騒ぎだ?」
柴田「沢木監督~?!!?」
後ろから入ってくる。
スパーク「これはこれは・・賑やかな部署だね~」
課長、大勢の男性社員から捕まってる康介と目が合った。
康介「・・」
スパーク「・・」
ロバート「(あああ・・来てしまったああ・・ひい・・めっちゃ睨まれてるじゃないですかああ)」
課長「あ・・終わった・・俺・・おわた」 がっくり膝をついた。