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自室に戻ってソファで少しぼうっとしていたらしく、気づいたらもう昼食の時間でした。
昼食の時間になっても食堂に現れない私を心配してみんなで呼びに来てくれたようです。
トントンと、ノックがされて扉が開くと、シルフィ様を肩に乗せたリンゼイ兄様とちょっとご機嫌斜めのハンス兄様が入ってきました。
「リリアン、ジークリオンになにかされたのか?」
急に距離をつめてきたハンス兄様に肩をつかまれました。
「大丈夫です。ちょっと落ち込んでいただけですわ。」
「落ち込むって、あいつまたリリアンに意地悪したのか!?」
「落ち着けって。」
リンゼイ兄様に首根っこをつかまれて私から離されるハンス兄様。
あんまりお腹がすいていなかったので昼食は下げてもらうことにして、侍女さんに香茶を持ってくるようにお願いしてしました。
しばらくすると侍女さんが軽くつまめるものと香茶を運んできてくれました。温かい香茶をいただくと少し頭がはっきりとしてきました。シルフィ様とリンゼイ兄様は早速焼き菓子をつまんでいます。
「そういえば、ハンス兄様はジーク様に私に対して釘を刺していたそうですわね。」
リンゼイ兄様と並んで座ったハンス兄様が飲んでいた香茶を吹き出しました。
「きたねーなー。お前はすこーし腹芸ってものを練習したほうがいいぞ。」
「ハンスは素直なのがイイトコロだが、もう少しカシコクなるとイイゾ。」
優雅に香茶を飲んでいるリンゼイ兄様とシルフィ様が涼しい顔で言います。
その二人の態度にハンス兄様はブツブツ文句をいっているようでしたけども、私の方を向いて話し出しました。
「ああ。確かにジークリオンには釘を刺した。リリアンに近づくな、と。」
「どうしてそんなことをしたのですか?」
「それは私の大事な宝物であるリリアンを泣かしたからだーーーーー。」
突然立ち上がって叫びだしたハンス兄様は、次の瞬間、シルフィ様に風で吹き飛ばされていました。
「ウルサイ。」
「ああ、仕方ねーよ。俺もその場にいたんなら絶対に子猫にはあいつを近づけねー。」
「私は小さい頃に、意地悪な男の子に泣かされたことしか覚えてないのですが、いったいなにがあったのですか?」
ちょっとシルフィ様のお陰で落ち着きを取り戻したハンス兄様とリンゼイ兄様が顔を見合わせました。
「ここは居合わせたハンスが言うべきだろ。もうそろそろリリアンも思い出した方がいいんじゃねーか?」
「そうだな。それで改めて婚約について考えてもらおう。」
「そういや、リリアンはどこまでの記憶があるんだ?」
そうハンス兄様言われてみて気づきましたが、わたし、5歳位からの記憶しかありません。
首をかしげて思い出そうとしますが、あやふやになってしまい、思い出せません。
「私が妖精に会ったのは3歳の時だった。それはもうかわいくて、つやつやで薔薇色の頬をして小さな手で私の指を握ってくれたとき、あまりの力の弱さに『この子は私が守らなくては死んでしまう!』と、思ったんだ。」
そんなことを握りこぶしを作りながら言われると、とても恥ずかしいことが初めてわかりました。ハンス兄様、恥ずかしいからやめてください。
「それからの日々は、幸せの連続だった。僕があやすと笑うし、僕にだけは笑顔を見せてくれる天使に心が洗われるようだった。あ、もちろん今でもだが、僕の・・・」
「イイカラハヤク本題ニハイレ!」
ぽこんぽこんと気弾をぶつけられているハンス兄様。ちょっと涙目ですがシルフィ様が突っ込まなければまだまだ恥ずかしすぎる褒め言葉が続いたのかと思うとシルフィ様にお礼をしたいくらいですので、ハンス兄様は放置です。
「それで、いったい私にジーク様は何をしたのですか?」
「それにはまず、『リリアンのはとぽっぽ事件』を話さなくてはいけない。」
「「なんじゃそりゃ」」
おお、リンゼイ兄様とシルフィ様のセリフがシンクロしました。息がぴったりです。
正直、私も『何ですか?』と、突っ込んでしまいました。心の中で。
「あれは、リリアンが3歳、私とジークリオンが6歳の天気のいい穏やかな午後だった。
私とジークリオンがリリアンの遊び相手になって庭で遊んでいたのだ。かくれんぼをしていると遊び疲れたのかリリアンがうとうとし始めたんだ。敷物を敷いていたところまで運んで眠らせたんだが、眠っているリリアンはそれはもう可愛らしく、本当に天使が眠っているよう・・・」
「「いいから、続きは!!」」
「ええ、そうか?このときのリリアンも国宝、いや、世界一の可愛さだったんだぞ!」
「ハンス兄様、続きをお願いします。」
「はい。」




