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ブックマークありがとうございます。頑張りますので、最後までよろしくお願いします。
---ここはどこだろう?
目が覚めて体を起こして周りをきょろきょろ見渡す。でも自分の手すらも見えない暗闇だ。目を開けているはずなのに何も見えない。
---確か池に落ちたしおりをとろうとして・・・
---おぼれてしまって・・・
---わたし、しん、だ?
両手を伸ばして精一杯動かしても何も触れない。ここから動けなくて時間の感覚もわからない。じわじわと恐怖が足元から這い上がってきた。叫びそうになって息を吸い込んだ瞬間、足先からすうっと風が吹いた。
だんだんと暖かい光が見えてきて手も足も見えるようになってきた頃、目の前に小さな女の子が浮いているのが見えた。
目がおかしくなったのかと思ってまばたきしてもこすっても消えない。
さては頭がおかしくなってきたのかと思い始めた頃にその小さな女の子が話しかけてきた。
『アノ・・・アノ・・・』
同じ言葉を繰り返しているこの子をよく見るとぶるぶる震えているようだった。そっと右手を伸ばして頭に触れてみるとビクッとした後、動かなくなったので左手ですくうようにして女の子を顔のそばに持ってくる。そっと右手でなで続けていると落ち着いてきたようで、訴えるような目で見上げてきた。その様子を見ていた私も気分がさっきよりもだいぶ良くなったみたいだった。
「はじめまして。わたしくしはリリアン。何か言いたいことがあるのなら聞きますわよ?」
にっこりと微笑みながら言ったつもりだったけど、私の顔がひきつっていたのか、今度は真っ赤になって下を向いてしまった。
しばらく赤い顔でモジモジしだした可愛らしい小さい女の子をなでつつ愛でていると声が聞こえてきた。
『ごめんなさい。イタズラしたの、ワタシなの。』
「どういうことかしら?」
『リリアンが森に入って来たときからズット遊んでホシカッタのに、ゼンゼン見てくれなかったからツヨイカゼ吹かせた。ソシタラ・・・』
「しおりが池に落ちちゃったのね。」
『ウン。ごめんなさい。タスケヨウとしたらオオキイ人間が来てチカラつかえなかった。』
「『オオキイ人間』?」
『ソウ。怖い顔のオオキイ人間がリリアンを助けてた。』
「え?」
『そのままリリアンのおうちに連れてってしまったからココに呼んだ。』
「ここはどこなの?私は死んだのではないの?」
『死んでナイ!聖霊は気に入ったニンンゲンマモル!ココはリリアンの夢のナカ。リリアンの生命力がヘッタから足しに来た。』
「そうなのね。ありがとう」
『怒らナイの?リリアン、オボレたのワタシのせい。』
「きちんと一度謝ったのならこれ以上は責めないわ。それと、よろしかったら私のお友達になって欲しいの。」
『え?イイノ?』
「ええ。ぜひともお願いしたいわ。こんな可愛らしいお友達が欲しかったの。」
『ソ、ソウ。リリアンがソウ言うなら、友だちにナッテアゲテモイイ、ヨ。』
ものすごく可愛くそっぽ向いて赤い顔で言われて、悶えてしまった私は悪くないはず。
『ワタシの名前はシルフィーナ。トクベツにシルフィってヨバセテアゲル。』
「ありがとうございます、シルフィ様。私はリリアン=フリューゲルスと申します。いく久しくよろしくお願いいたしますわ。」
『サマはいらナイ。シルフィでイイノ!ト、トモダチだからトクベツなんダカラネ!』
可愛すぎて思わず力一杯顔がにやけてしまいました。
「はい。シルフィ。私のことはリリーとお呼びください。」
『ウン。わかった。リ、リリー。』
「はい、シルフィ。」
『いつもそばにイルカラ、コマッタことあったらスグに言うのヨ。』
「はい。よろしくお願いいたします。」
『あ、オオキイ人間がキタ。ワタシ、あっちいく。後でアソブ、ヤクソク。』
「はい。わかりました。」
シルフィが消えてしまうのと同時に右手首が熱くなる。それとともにフワッと体が浮くような感覚があって、私は眩しい光の中で意識を手放したのでした。
シルフィの会話がおかしいことになっているのは、日常生活を送っているうちに滑らかになってくる(ハズ)です。




