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婚約者の好きな人  作者: ねいと
婚約者の好きな人
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お読みいただいてありがとうございます。

一話当たりの文章量が安定せず、申し訳ありません。

リンゼイ兄様とシルフィ様、そこに何故かお母様が加わり、四人での作戦会議・・・な、はずですが、何故か私での着せ替え人形遊びになっております。


「髪はどうしようかしら、黒?それともブロンドかしら?」

「黒じゃないか?普段が栗色だから、濃い色のほうが気づかれねえだろ。赤毛もいいが、それだと俺も赤毛だから兄妹に見えちまうだろ?」

「そうね。じゃあ、ドレスはこっちの黄色ね。普段が暗めだから、思い切って暖色にしましょう!」

「わあ、リリー!かわいい!めろめろダゾ。」

「さすが、俺の子猫(キティ)!これならバッチリだな。」


後ろを振り返ると黒髪の優しそうなたれ目の女の子が驚いている姿が見えました。しばらく見つめていると、自分だということに気が付きました。あんまりにも雰囲気が変わりすぎてわかりませんでしたわ!


「ちょっと釣り目なのをメイクでたれ目にするだけで本当に別人ね。」

「街で会ってもわからんな。うっかりとナンパするかもしれん。」

「あとはワタシの力で声を変えればバッチリダゾ」

「おほほほほほ~」

「あははははは~」

「がはははははー」

「・・・。これはいったいなんですの?」

「あら?言ってなかったっかしら?」


お母様?私としたことが・・・。なんて笑っている場合ではないですわよ。これではまるで変装しているようです。


「それよ。あなたの名前はマリアンナよ。あなたがよく訪問している孤児院の、ほら、明るいあの子よ。もうね、許すから王城に会いに行っちゃいなさい。何だか前進どころか後退しているみたいなんですもの。最初はやきもきもいいわ~なんて見ていたけど、最近はもう食傷気味よ。」


なんかお母様に呆れた顔で見られてしまいました。


「護衛はつけませんわよ。シルフィ様もいらっしゃることですしね。これでジークリオン君をめろめろにしてきなさい。さあ、いってらっしゃい!」

「ええええ~?お母様、リンゼイ兄様?」

「おう、行って来いよ。健闘を祈る!聖霊様よ、たのんだぜー」

「オウ、マカシテおけ。」


あれよあれよという間に馬車に乗せられ、ぽいっとばかりに王城の第一区画に入る門の前に私を置き去りにして馬車は帰ってしまいました。

帰りはどうするのか、なんて手に持たされたポシェットの中をのぞいてみるとちゃんと乗合馬車の乗れる金額が入っているのにはびっくりしました。

私の知らない間に準備していたのですね。ちょっと非難を込めてシルフィ様をにらみます。


『ごめんネ~作戦会議が面白くってナ。デモ、リリーのことはちゃんと守ルから安心していいゾ。ハハハハハ~』


何だか最近のシルフィ様はリンゼイ兄様に言動が似てきている気がします。ちょっと怖いです。

そんなシルフィ様に促されて受付にいらっしゃる騎士様に取次ぎをお願いします。


「あの~。」

「はい、なんでしょうか?」

「取次ぎをお願いしたいのですけど・・・。」

「はい。ではあなたのお名前と、取り次いでほしい方のお名前と所属をお願いします。」

「リリアン=フリューゲルスと申します。文官のジークリオン=アイゼンバルー様をお願いいたします。」

「わかりました。では取り次いでまいりますので、あちらで少々お待ちください。」


騎士様はそう言って奥の待合室の椅子を手で指して出て行きました。

うまくできたとホッとしていると警備をしているだろう二人の騎士様の話し声が聞こえてきました。


「おい、リリアン=フリューゲルスが来てるって聞いたんだが?」

「ああ、そこの黒髪のお嬢様らしいぞ。」

「あ?何言ってんだ、リリアン嬢といえば栗色の髪だろう。」

「は?じゃあ、あの娘は誰なんだ?」

「大方婚約者の名をかたってでも会いに来たかった自称恋人じゃないのか?」

「最近多いよな。」

「もうすぐ正式発表だからな、食い込むのなら今だ!とか、私が悪い女から自由にしてあげる!とか考えてるんじゃねーの?」

「残念だなー。第三付きの副官も言ってたぜ。あんなに溺愛している相手がいるのに入り込もうとする神経が分からないって。」 

「第三の副官って・・・ああ!あの美人か。」

「そうそう。ハーミット副官な。女だてらに副官やってるだけあるぜ。胸もあるし、色気もあるし度胸もある。いい女だよなー。」


ジークリオン様には溺愛する相手がいた!!


あまりの衝撃に胸が苦しくなりました。ふらふらと待合室を出て、そのまま街に向かって歩きだします。ここから早く逃げ出したい。


『どうした?リリー?どこか痛いのか?』

「ううん、大丈夫。」


嘘です。大丈夫なはずがありません。ジークリオン様には恋人がいらっしゃるようです。私の前では不愛想で一言しかしゃべらないのに!


「恋人の方はあの笑顔も見放題ですのね。」

『何か言ったか?リリー?』

「いいえ、何も。」


待合室を出てそのまま進むと右手の生垣からジークリオン様の声が聞こえてきました。


「すまん、第三のジークリオン=フリューゲルスだが、婚約者が来てると聞いたんだが・・・。」


しまった!私、間違えて本名を名乗ってしまいました。




子猫のルビを訂正しました。

申し訳ありませんでした。

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