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最強との会合・・・②

目の前の男から自分の家に来ないかと言われた時は、こいつ何考えてるんだと思った。けど、それ以上に家に帰らなくていい事にほっとしていた自分がいた。

「めちゃくちゃですけど、、、よろしくお願いします」

その後はすぐ行動に取り掛かった。誘拐された12人の子供は近くの警察署に預け、俺と誘拐された娘、アーサーの3人でイギリスにあるペンドラゴン家に向かう事となった。


「聞きませんでしたけど、どうやってイギリスから日本に来たんですか?」

「ああ、空間を割いてショートカットした感じかな。これが意外と切るのが難しくてね。空間を切って移動距離を誤魔化すみたいな感じなんだよ。そして空間が完全に閉じ切る前にまた切って、それを繰り返す感じ。なぜ完全に閉じ切る前にするかと言うとね、空間が完全に閉じると場所がバラバラになっちゃって、、失敗した時は何故か北極にまで飛んだことさえあるんだ」


と、饒舌に自分がやった事を話しているが俺は全然意味が分からなかった。

『空間を切る?ショートカット?一体どんなジョブについたらそんな事が出来るんだよ』

『マスター、それは間違いです。ジョブの能力というよりこの男だからこそ出来るのです』

『てか、それで移動しないよね?俺たち・・・』

『・・・・・』

『何か喋れよ!アルファ!』

なぜか、アルファは否定せず黙るのだった。


「安心してくれたまえ。あの移動は、一人しか出来なくてね。帰りは私の友人に頼んでいるんだ」

「普通に心の中の会話に入ってくんじゃん・・・」

「失礼だな。今のは、ただ表情を読んだだけだよ」

そんな、友人と話すかのような会話をしていると目の前の景色がぐにゃぐにゃと揺れ始める。そこから中肉中背で茶色の髪をした高くて直線的な鼻筋と柔らかさがありながらも力強さを持つ顔の特徴の男が現れた。


「やぁ、アーサー。君の娘が見つかって良かったよ」

その男は、アーサーにそう言うと俺の方を見つめてきた。


「君がアーサーが言っていた娘さんを救った子かな?」

「そうですけど、何か?」

「僕の名前は、カリキュラ・マーリン。友人の娘を助けてくれてありがとう。あ、そうだ。友人の娘を救ってくれたんだ。アーサーからお礼を貰うだろうけど友人として僕の方でも出来る範囲でお願いを聞こう」

「キュラ、君にそこまでして貰う理由は・・・」

「いいじゃないか。アーサー。君の娘に何かあったら僕の娘も悲しむところだった。父としてもこの子に恩返しをしたい」

アーサーが止めようとするもその男は、考えを変えようとしなかった。


そして、それを見ていた◾️◾️は、んじゃ、遠慮なくとも言わんばかりに図々しく言った。

「それじゃあ、俺が誘拐事件を解決したって事を誰にも知らせないでください」


「え?そんな事でいいのかい?僕なら、世界旅行だってお手のものだし、お金やお宝だって渡すこともできるんだよ?」

「別にそう言うのいらないんで」

カリキュラ・マーリンは驚いた。今まで多くの人達を見てきた。財を求めるもの、能力を求めるもの、血筋を求めるもの。だが、目の前の少年は何も求めなかった。そんなものに興味がないと言わんばかりに。だからこそ嬉しかった。能力やジョブなどではなく、自分を見てそう言ってくれる目の前の少年に。


「うん。気に入った。今のお願いはカウントしないでおこう。いつか助けて欲しいと思った時に使ってくれ」

「いや、別にいいですよ・・・」

「ハハハ、君はすごいね。キュラにも認められるなんて。もしかしたら残りの二人にも気に入られるかもしれないね」

「後二人って、誰の事言ってるか分かんないんですけど」

アーサーとカリキュラの二人は、笑っていたが◾️◾️は、全く笑えなかった。


「長話が過ぎたね。キュラ、すまないがそろそろいいかな」

「こちらこそすまなかった。このワープゲートを潜って貰えばイギリスの君の家に着くようになっている。じゃあ、少年また会おう」

「機会があれば・・・」

アーサーとその娘が入っていき、カリキュラと呼ばれる男が手を振る中、俺は、そう言って空間のうねりへと入っていく。


空間のうねりを出ると、目の前には大豪邸があった。ふと周りを見渡すと、誘拐事件や誘拐された子供を届けるにあたって夕方になっておりイタリアでは完全に夜だった。夜空の星の光が綺麗に見える中、目の前の家はものすごかった。家の階は、一軒家なのにも関わらず5階はあり。見た目のデカさだけでも普通の家の4倍くらいある。

『それにここ山じゃん。敷地どこまであんだよ』

「周囲に住宅がありません。この山一帯が敷地になっているかと」

俺が驚いている中、アルファが解説してくる。


「驚くのも分かるが、まずは家に入ろうか。妻が待っているのでね」

そう言ってアーサーは、右に抱えた娘と家の方へ歩いていき、俺もそれについていく。すると、屋敷の方から複数の人影が出てきた。目の前から走ってくるのは、紅い髪と赤い目をした美女だった。


「あなた!エリーナ!!」

アーサーをあなた呼びしていると言う事は、アーサーの奥さんで子供の名前はエリーナって言うのか。まぁ、どうでもいいんだがと心の中で思っていると赤髪、赤眼の美女がアーサーの近くまで来ていた。

「心配をかけてすまない。リーナは大丈夫だ。今は眠っている」

「良かった」

赤髪、赤眼の美女は、アーサーとエルーナと呼ばれた少女の前に来て、アーサーから子供を受け取り、心配そうに抱き抱える。抱き抱えながら肌を触れ合わせ涙を流し、その光景を見ている使用人たちまでもが涙を流して再会を喜んだ。ある程度、再会の喜びを噛み締めた後、女は、目の前の子供に気づき声をかける。


「あなたが、エリーナを救ってくれた・・・」

女の声を聞いた◾️◾️は、どう反応したものかと考えながらも口を開いた。

「どうも・・・」

短く無愛想な答えだが、なぜか女は微笑み目の前の子供にこう言った。

「エルーナを助けてくれたありがとう」

その女の表情を◾️◾️は、直視できなかった。なぜならそれはまさしく母親の笑みだったから。今も前の世界でも

逃げ続けている。記憶の中にある似てもつかない顔なのにも関わらず似ていると、恋しいと思ってしまうから。

◾️◾️は、その言葉に返事をせず俯いて、屋敷の方へ一人歩いていくのだった。


「私、何か失礼な事をしたかしら・・」

「大丈夫だよ。彼は少し問題を抱えていてね。ウェブ、あの子に屋敷の案内を頼む。大切な客人だ。子供だがかなり成熟している。失礼のないように」

「かしこまりました」

アーサーの言葉に白髪の50代近い男は、そう言って一人歩いている少年を追うのだった。


「さて、私たちも帰ろうか。リーナも疲れているだろうからね」

「そうね。・・それと忘れていたわ。お帰りなさい。あなた、エリーナ」チュッ

そう言って美女は、抱き抱えている子供のほっぺにキスした後、自分を見つめる夫にキスをして屋敷の方へ使用人たちと歩いていくのだった。周りには住宅などの光源は無く、万点の星が光り綺麗な星空の元だった。その景色を見ていた使用人たちは、その行為を見て微笑ましく思い、まるで絵画の中のように輝いていたと、いつかそれをその場にいなかった少年と眠っていた少女に教えた。



▶︎▶︎▶︎▶︎


屋敷に入ると玄関からとても広かった。家庭用とは段違いに広く、靴の収納場所もとても広かった。それこそ数十人の人が来てもその靴を問題なく収納できるだろう。


「ご案内いたします。ここで室内用の履き物に変えてください」


玄関に一人で入ると後ろから50代近い男が俺の後ろから現れ、そう言った。


「イギリスなのに、靴で入らないんですね」


「最近では、室内と外出用で分ける家庭も増えてきているのです。それと自己紹介が遅れました。私、ウェブ・ハーネスと申します。どうぞお見知り置きを」


ウェブと言う男は、俺の半歩後ろに立ち、俺の問いに簡潔に話しお辞儀をしながら自己紹介をした。


「よろしければ、、、お客様のお名前を教えていただいても」


「・・・別に教える必要もないでしょう。そのまま、お客様と呼んでください」


「かしこまりました」

普段ならばもう少し粘り強く名前を聞くのだが、客人の問いの少しの間と、主人から失礼のないようにと言われたウェブ・ハーネスは、そのまま返事をした。


「では、お食事をご用意しておりますので、こちらまでどうぞ」

「食事?」

「旦那様からお聞きなっていませんか?今日は、お嬢様をお助けした殿方と来られるため、3人分の食事と用意して欲しいと指示を頂きました」

「・・・そうでしたね。急のことで少し頭の整理がついていませんでした。」


執事は常に笑みを浮かべ目の前の子供へと話しかけるが、子供は表情を変えず無愛想のままだった。


「旦那様は、そういう無茶な所がありますから。お客様も大変悩まされたのではありませんか?」

「そうですね。初めて会った時は大変驚かされました。何かあの人、言ったら失礼ですけど常識外の人種じゃないですか・・」

「ハハハ、それは当たっていますよ。そのせいで私たち使用人も何回も苦労されていますから」


ウェブの質問に、少年は共感をしたのか少し微笑みながら自信が体験した事を話し、ウェブもそれに共感し返した。

その時の子供の表情は、堅苦しくなく、年齢相応の子供の表情だった。


「なんか私の悪口で盛り上がっているような気が感じるのだけど、気のせいかな?」

「気のせいではありませんよ。それに悪口ではなく、事実でございますから」

「そうよ、あなたは何でもかんでも巻き込むタイプだから、巻き込まれた方からしてみればほんとに大変なんだから」

「君までそんな事を言うのかい?、私でも少しは傷つくんだよ・・・」


◾️◾️はその会話を見て、普段からこんな風に話しているんだろうと思った。そうすると、赤髪赤眼の美女が急に振り返り自分に喋りかけてきた。


「そんな事より私の自己紹介が遅れたわね。私の名前は、イリナ・ペンドラゴン。さっきも言ったけど、娘を、エリーナ・ペンドラゴンを救ってくれて本当にありがとう。母として最大の感謝を」

「こちらこそ、先ほどは無視してすいませんでした」

先ほどとは違い二人は、目を合わせ互いに礼をした。イリナの手にはエリーナと呼ばれた少女はおらず、

おそらく使用人に預けられたのだろう。


「はいっ!せっかくのご飯が冷めてしまうから。後の話は、食事をしながらにしましょうか」


その後、食事が始まり3人は食卓を交わしながら色々な事を話した。ペンドラゴン家は、普段の家での出来事や家族の出来事など。そして、娘が連れ去られた事まで。娘が攫われたのは、使用人と娘だけの時であり。しかも攫われた本人が家から抜け出した事がいちばんの原因だったらしい。◾️◾️の方は、誘拐現場に居合わせた状況など、戦闘の事を黙っていようと思っていたが、内容を全員が伝えれていたため隠そうとする努力は無駄だった。しかも、意地悪く嘘の話をし終わった後にネタバレされ、その後、無表情で◾️◾️は、一瞬固まっていた。


「さて、ある程度仲良くなったところで重要な事を話そうか」

アーサーは、雑談していた大らかな表情から真剣な表情になりそう言った。すると、周りの使用人も和やかなムードから一転して、空間が静寂となる。


「重要な事っていうのは、僕の養子の件ですか?」


「そうだね。私の知人に話した所、ぜひという場所があった」

「そういう事なら私にも相談して欲しかったわ。養子ならウチでも良かったのに。エリーナも一人っ子だから喜ぶわ」

「それは私も思っていたんだ。だから、君がよかったらぜひウチを選んでくれも構わない」

 

アーサーとイリナは、目の前の少年にできるならウチで住んでほしいと考えていた。エリーナは、まだ幼いながらもジョブに覚醒している。それ故に同郷で友達と呼べる子達がおらず、この家で寂しく暮らしている。今回の脱走の原因もそれが関係している。この少年は、誘拐犯を撃退するだけの力を持ち、その上、娘を助けてくれた。短い時間だが接していて誰かを傷つけようとする子ではない優しい心根だと言うのは接していた使用人も含め誰もが思っていた事だったからだ。


「・・・いえ、流石に国ごと変えるのは・・・」

◾️◾️は、いい提案だと思ったが断った。なぜかこの人たちと仲良くなることが嫌だったからだ。その理由は、本人する自覚してなかった。


「そう、残念だわ」

イリナをその返事を聞いて、ガックリと首を下に向け残念がっていた。それを見て苦笑しながらもアーサーは話を続けた。


「本人がそう言うなら私たちに何か言う資格はないよ。じゃあ、君が養子に行く家について伝えよう。君が養子に行く家は、京都を拠点とする安倍晴明を祖とする一族。安倍家だ」


「安倍家?もう少し詳しく聞いてもいいですか?」


「ああ、それはこれか言うつもりだった。安倍家は、12の家門とそれをまとめる安倍家の13の家が運営している日本1のハンタークランだ。それぞれの家門が、専門の特技や、事業を生業としているから多くの事を学べるだろう。これ以上の事は、向こうで聞くといい。私の友人が君の安全や待遇は確保してくれる。酷い目には遭わないだろう」


「分かりました。無茶な我儘を聞いていただきありがとうございます」

使用人たちは、目の前の子供が変身しているのではないかと疑った。食事の礼儀作法や言葉遣いが子供とは思えないものだったからだ。


「これ位の事で娘を助けてくれた恩は返せたと思っていない。まだして欲しい事があるならぜひ遠慮なく言ってくれ」

「そうよ、私達はあなたに返しきれない恩があるわ」

アーサーもイリナもカリキュラ同様に何かしらの恩を返したと思っていた。娘を助けてくれた子、もしかしたら娘の友達になってくれるかもしれない子にできるだけ何かしたかったのだ。


「そんなにありませんよ。僕が何もしてなくてもアーサーさんが見つけたでしょうし・・」


「そんな事はない。私が仮に出ていったとして、娘を無事に助けるのはともかく、子供達を全員無事に助け出すことは難しかっただろう。だから父親としてだけじゃなく、ハンターとしても君に感謝している」


実際、あの場でアーサーが助けに入っていた場合、工場内に入った時点で鋼鉄の部屋のモンスターが現れ、確実に子供たちの半数の命はなかった。鋼鉄の部屋には、隠蔽効果があり鍵もされていた。アーサーからは、トラップがある状態で無闇に動けなかったのだ。


「そう言う事なら・・・最後に一つだけお願いしてもいいでしょうか?」

そう言って、少年は、カリキュラの時の反芻のようにアーサーにお願いを言った。


「何だい?」


「カリキュラさんにも言いましたけど僕がこの事件に関与した事を内密にしてください」


「君はなぜそこまで、自分の功績を隠そうとするんだい?」

アーサーは、カリキュラの時と同様に自身の功績を求めない別の世界から来た少年に疑問を抱いた。彼の目的や親との関係、そして詳細不明の力。目の前の少年の行動原理は未だ掴めないままだったからだ。


「別にそんなつもりはありません。ただ単に悪目立ちしたくないんです。誰かから情報が漏れるか分かりませんし。それに何より、自分から家を出て誘拐される娘さんが知っていたらすぐにバレそうですし・・・」


「こちらとしても、否定する事ができないのがもどかしいね」

「本当、そうね・・・」

 

アーサーとイリナは、否定ができなかった。エリーナは、聡明で物分かりがいい子だが、人の感情や場の空気を読まなかったりする。それにより預けていた先でも問題を起こし、自宅で過ごすはめになる事件があったからだ。


「それならばキュラと同様にまだ残すという事にしよう。助けて欲しい事があったら何でも言うんだよ」

「分かりました。ありがたく頂戴します」

そう言って、◾️◾️は、二人に感謝した。


「それと、家に何日か泊まってくれたまえ。エルーナももう少しで目を醒めるだろうから」

「養子の家に行くのは、何日後になるんですか?」


俺はできるなら、目覚める前に何とかこの家を出たいなと思っていた。なぜか、あの娘と会うと碌な事にならないような気がしたからだ。


「赴くなら1日欲しいかな。養子の書類的な準備はもう済ませてある。後は向こう側の準備と送り出す私達の準備だけだから。その準備にあと1日は欲しい」


「分かりました。じゃあ、準備ができ次第すぐにお願いします」


「もう、そんなに急がなくてもいいのに・・・」

イリナは子供らしからぬ言動と、早くこの家から立ち去ろうとする少年に口を狭ませいじけたような態度で言った。


「焦る気持ちも少しは理解できる。本人がしたいならそうさせてあげるべきだろう」

それを見ていたアーサーはイリナをフォローし、少年に向かってまるで近所の友達の父親のような気持ちでこう言った。


「分かった。準備ができ次第知らせよう。それまで、ウチでくつろいで行ってくれ」


そうして、ペンドラゴン家で1日寛ぎ、日本の京都へとアーサー・ペンドラゴンと俺は向かうのであった。


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