第33話 三つの勢力、嵐の前の動静 ※情勢の説明回
荀彧殿が許昌へ帰還し、曹操軍は支配下に置いた広陵へと軍を集め、次への準備を整えていた頃。
曹操勢力だけでなく、周囲にも大きな動きはあった。
まず何より、長坂の戦いで逃げ果せた劉備軍だ。追従する民のかなり大勢を曹操軍が捕縛し、帰順させたとはいえ、全てを奪い取るなど不可能。残った民はそのまま劉備軍のものとして、無視できないほどの勢力となっている。
そんな劉備勢力は、漢津(※河)で合流した関羽も含め、荊州より東の江夏方面へ向かっていた。そこは孫権を主に戴く孫家勢力が治める江南、つまり呉の地である。
劉備と、孫権の臣下である魯粛なる人物が接触した、という報告もある(※とある女軍師さん調べ)。
恐らく劉備と孫権の二勢力が繋がっているであろうことは、想像に難くない話だ(※とある女軍師さんの見解)。
天下の雄として知られ異様なまでの声望を集める、中華を縦横する劉備勢力。
孫家三代に渡り江南を駆け、確かな地盤で粘り強い底力を有する、孫権勢力。
その二つの勢力が、同盟したであろうことを、理解しながらも――
今現在、最大の勢力として中華最強を誇る曹操軍は、大船団を組織・編成し、長江を下る道を選ぶのだった。
果たして、急転する天下において、何者が勝者となり、敗者となるのか――この時はまだ、誰にも分からない。
その雌雄が決するのは、もうじきだ――三国志史上、最も熱く、最大の分水嶺となる運命の大戦が、もうすぐ幕を開けようとしている――
――ナレーション、女軍師・甄嘉よりお送りいたしました。ペコリ。




