82 道具やご飯を作る能力を使った戦い方
言われた通りにカナヤは武器を作っていった。
自分が使える、より効果的なものを。
刀や槍といった基本的なものから始まり。
銃といった比較的強力なものも。
どう作ればいいのかは超能力が教えてくれる。
より効果的なものを。
そう念じるだけで、何を作ればいいのかが頭に浮かんでくる。
あとは霊気を使って材料を作りかえていくだけ。
周囲にある雑多な物が、カナヤの霊気によって形を変えていく。
材質を変えていく。
石が鉄に、他の金属に金属以外の物質に。
そうして作り出していく中で、更にいろいろなものが頭に浮かんでくる。
刀や銃も重要だが、もっと効果的なものもあるのではと。
強力な武器を使うために必要な力。
重く固いものを持ち上げる道具も作った方が良いのではと。
そう考えていくと、新たな道具が頭に浮かんできた。
重い武器を振り回し、更に身を守るための防具になるもの。
これらを動かすための霊気を効率的に用いるもの。
思考がこれらを一つにまとめていった。
そうしてできあがったものを身につけ、カナヤは怪物へと向かっていく。
迷宮の中、はびこる怪物のかたまりへと。
体を覆う霊気が背中側の制御器に向かう。
水晶の玉のような制御器は、受け取った霊気をを取り付けられた外骨格へと伝えていく。
電子回路のように霊気を効率よく配分していく事で、人の形をした装着型の骨格が動く。
それは、身につけてるカナヤの動きを何倍にも強化していった。
強化外骨格。
あるいはパワードスーツ。
人間が装着し、身体能力を何倍にも強化する道具。
カナヤは超能力でこれを作り出した。
霊気を動力としたパワードスーツは、大きく重く分厚く、頑丈で巨大な刀を振り回す。
巨大で強靱な怪物も、たったの一振りで両断されていく。
相手の弱点を突いたわけでも、急所を狙ったわけでもない。
力任せに武器を振り回す、ただそれだけで。
守りも同様に強化されている。
骨組みだけの外骨格に取り付けられた装甲板。
軽く固く、それでいて粘り強さも持った物質。
これによって体は守られている。
しかも、制御玉によって霊気におおわれ、これが防御力を上げている。
装甲板の強度を上げる。
そもそもとして衝撃をまずは霊気が受け止める事で威力を削る。
HPとして用いられる霊気を装甲に割り振る事で防御力を上げている。
身体能力だけではない。
探知能力も作り出した機器で底上げしている。
視覚や聴覚などを専用の機器を作って検出出来るようにしている。
レーダーやソナーのように周囲の様子をうかがう事が出来る。
これらによって得た情報を処理するための分析機械すらも取り付けている。
これにより、どこに何があるのかを即座に調べあげる事が出来る。
結果は、ヘルメットのバイザーを画面にして表示される。
耳に音声でも届けられる。
敵を見つけて倒し、攻撃をはじき返す。
これらを可能とする個人用戦闘装備が作り出される。
戦闘向けではない超能力だが、戦闘に適した道具を作り出す。
カナヤはこれで同レベルの探索者以上の戦闘力を発揮していく。
近くの敵は手にした大太刀でなぎ払い。
遠くの敵は、巨大な銃器で撃ち抜いていく。
その姿は装甲をまとった重戦士そのもの。
筋力や体力ではなく、機械と霊気の力でそれを成し遂げている。
そんなカナヤは、一行の盾として前に出て、武器なって敵を切り裂いていった。
これをシラベの【調理】が補っていく。
それはカナヤが持つ噴霧器にこめられ、怪物に向けて吹き付けられていく。
調合して作られた毒液を。
広範囲に広がる霧状の毒は、怪物をくるんで蝕んでいく。
吸い込めば体内から。
吹き付けるだけでも皮膚から。
内外どちらからも怪物を損ない、生命を奪っていく。
煙状に広がるから避けようもない。
刀や銃といった武器との違いがここにある。
そして、シラベ自身も怪物に直接攻撃ができる。
食材を食べられる状態にするのも【調理】の効果だ。
生きてるものに直接おこなえば、それだけで致命傷になりえる。
肉は食べられるようにするための血抜きは、怪物から血液を奪う。
肉の味をよくするために発酵させれば、それだけで筋肉繊維が崩壊する。
骨から出汁をとれば、強度を失い崩壊する。
植物だって同じだ。
食べられるように、煮込み、発酵させ、日干しにする。
このような加工を加えられたら植物とて死ぬしかない。
残念ながら広範囲にわたって効果をあらわす事は出来ない。
オトハやサユメに比べれば小さな範囲に留まる。
だが、効果は絶大。
生物が相手なら即死するほどの威力をもつ。
この逆に、体を癒やす事も出来る。
薬効のある部分を抜き出せるからだ。
傷をふさぎ、体力を回復させる。
身体能力の強化も出来る。
薬膳としてふるまう事で、継続的に健康を保つ事も出来る。
ゲームの回復薬のようなものだ。
高レベルの今ならば、使えば即座に傷がふさがり、毒なども解消する。
こんなおとぎ話のような効能をもった食べ物すら作り出せる。
この能力を使って、カナヤとシラベは迷宮を攻略していく。
機械と毒は敵を簡単に蹴散らしていく。
迷宮にうごめく怪物をたおし、迷宮の主を粉砕する。
最初の一回目の迷宮攻略で。
「出来ただろ」
全てが終わり迷宮が消えて。
外に出たところでソウマは声をかける。
カナヤとシラベは呆然としつつも頷いた。
「うん……」
「はい……」
まだ自分たちが成し遂げた事を受け止めきれないでいる。
それでも2人は確かに自分の力を存分に発揮して。
絶大な力で事を成し遂げた。
そんな2人を新たな仲間に引きずり込み。
ソウマはこれからに向かっていく。
「当分は迷宮攻略でレベルを上げよう」
今後やる事を告げて。
「それから仙台に行く」
攻略目標も示す。
仙台。
東京と並ぶ魔族の拠点。
人口密集地は怪物や魔族が多くあらわれたのだから、都市部はたいてい魔界となっている。
仙台も例外ではない。
そんな仙台へと向かうという。
さすがにカナヤもシラベも身をすくめる。
しかし。
「がんばろうな」
有無を言わせず引き込むソウマに、思わず頷いてしまい。
なし崩しに仙台攻略へと向かう事になっていった。




