58 いつも通りのお仕事で、いつもと違う場所へ
「それじゃ、今日もやるぞ」
翌日。
ソウマは早速次の怪物退治に2人を誘う。
「今度はちょっとばかり手強いのが相手になる。
心してかかれ」
「はい」
「うん!」
オトハとサユメはしっかりと応えた。
いつものように軽ワゴンに乗り込み。
いつものように都市の外へと向かう。
ただし、配達する荷物はない。
今回は配達のついでではなく、怪物退治だけが目的だからだ。
「でも兄ちゃん」
車の中でサユメが尋ねる。
「今日はどこにいくの?」
「あっち」
言いながらソウマは進む方向を指す。
「魔界だ」
それを聞いてサユメとオトハは固まった。
魔界。
魔族の住処である。
魔族版の迷宮と言ってよい。
そこは開物よりはるかに強力といわれる魔族が集っている。
そこに挑むのは自殺行為と言われている。
「……冗談だよね?」
「いいや、本気だ」
まさかと思って聞き返したサユメは、己の願望をあっさりと打ち砕かれた。
聞いてたオトハも呆然とする。
「本気……なんですか?」
「うん、もちろん」
念のために確かめるオトハも、ソウマの声に現実をつきつけられる。
「2人のレベルなら問題ないから」
ソウマは気軽に言い放つ。
確かにレベル200になってるサユメとオトハなら問題はあまりないだろう。
だが、それでも自殺行為に等しい行動なのは確かだ。
唯一の救いは、ソウマのレベル。
開物をあっさりと分断する力をもつソウマならば、魔族もどうにかなるかもしれない。
そうであって欲しいと2人は切実に思った。
「まあ、何とかなるさ」
「本当に?」
「多分な」
「…………それは、どうなんでしょう?」
曖昧な応えに、オトハはいささか呆れて。
聞いてたサユメは盛大なため息を吐いた。
「兄ちゃん」
「おう、なんだ」
「ボクさ、処女のまま死にたくないよ」
「なるほどな」
いつものエロネタにソウマは軽い調子で応じる。
「だったら、死なないように頑張ろうな。
そうすりゃ、処女を捨てる機会も巡ってくるぞ」
いつもほどのキレも元気もないサユメの口調に、ソウマはいつもより軽い調子で返していった。
その言葉にサユメは元気なくため息をもらす。
いつもならここで、「ならボクの処女と、兄ちゃんのドーテーを交換しようね」くらいは言いそうなものだが。
そんな精神的な余裕もないほどの緊張をサユメは抱えていた。
後部座席のオトハも、いつも以上に静かに座っていた。
そんな3人は軽ワゴンにのって南に。
東京方面への道を走っていく。
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