32 いなくなったら探して見つけるだけ、かくれんぼなのか、鬼ごっこなのか
同じ事がその後も続いた。
依頼を出したが、その後に怪物の姿を見なくなった。
念のために周辺を探ってみたが、影も形もない。
あるのは足跡などの痕跡。
それとて、来た道を戻るようにして立ち去ってるものがほとんど。
それでも依頼料が入るのはありがたい。
いないのを確かめるだけでも良いと。
だが、今後も怪物の姿がないとなると問題だ。
これで稼ぐ事は出来なくなる。
平和なのは良いことだが。
それよりも気がかりではあった。
怪物はどこに行ったのか?
あれだけそこらに蔓延っていたのに。
「何かあるな」
「あるねー」
「はい」
怪物の姿隠しが続くと、さすがにおかしいと感じる。
何かがある。
何があるのかは分からないが。
「探ってみるか」
配達をしながら、ソウマは決めた。
どう考えてもおかしな事になってる。
見えないところで起こってる動きを放っておくわけにはいかない。
「お前達にも付き合ってもらうから」
オトハとサユメにも伝える。
一緒に仕事をしてるのだ、危険だろうと同じように動いてもらう。
何より探索者である。
危険は仕事のうちだ。
「はいよー」
「はい」
サユメは気の抜けた調子で。
オトハは短く返事をする。
「剛毅だね兄ちゃん」
「そうか?」
消えた怪物を探りにいく。
当然、人里から離れた所に踏み込む。
危険は普段の怪物退治以上になる。
たしかに豪快ではあるだろう。
しかし、それほどかとソウマは思ってしまう。
「ボク達2人と付き合うなんて。
あれのなの?
ゼツリンでソコナシっての?」
この台詞で、ソウマはサユメとの間に意思の疎通が全く出来てない事を理解した。
「…………報酬の食券、お前の分は無しだ」
「ゴメンナサイ、スイマセン、チョウシにノリましタ」
謝るサユメだが、ソウマの制裁は避けられなかった。
ただし、食券無しから、アイアンクローに変更となって事なきを得た。
「痛いいいいいいいいいいいいいい!」
つかみ上げられ、首からしたをブラブラと。
手足をジタバタと。
報酬の確保と引き換えに、もがき苦しむ事にはなった。
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