19 隙間産業は弱者の生存戦略
怪物の脅威は常にそこにある。
この対策のために、人は探索者となって戦っている。
警察や軍隊だけでは対処出来ない部分が出て来るからだ。
しかし、それでも抜けや漏れは生まれてしまう。
これも運送や配達と同じ理由だ。
小規模な怪物退治は、どうしても報酬が小さくなる。
割に合わなくなるのだ。
特に大手探索者旅団などからするとだ。
なので、小さな怪物退治はどうしても敬遠されがちだ。
あしが出てしまう。
また、村や町も少しは自衛出来るのも原因になる。
本当に小さな問題なら、自衛のために持ってる銃や武器で怪物を撃退出来る。
それでも手に負えない場合に、探索者への依頼が出される。
これがくせ者になる。
一般人では対処が難しいとなると、それなりの
規模の怪物が相手になる。
数十匹以上の規模になってるとか。
高レベルの怪物がいて、普通の人間では対処が出来ないとかだ。
お呼びがかかるのはこういった場合だ。
そのくせ、報酬はさほど高くはない。
現代で言えば、村のより合いや町内会が依頼を出してるようなものだからだ。
総額で数万円も支払われれば良い方になる。
しかも、行きと帰りの燃料代や銃弾などの消耗品などの経費も含めて。
これで命がけの仕事をせねばならない。
多くの探索者が二の足を踏むのは当然だ。
引き受けるのは、何かのついでになる。
あるいは、探索者の良心に頼るか。
何にせよ、商売としては成り立たない事が多い。
だが、ソウマの場合は少し異なる。
宅配で出向いた先に依頼を出した村や町があれば、そこで怪物を倒す。
行きと帰りの旅費は考える必要がない。
ついでに小遣い程度でも稼ぎが得られれば十分。
レベルの方も問題は無い。
ソウマ自身は探索者としてレベルを上げてきた。
雑魚なら何十匹いようと問題はない。
レベルが少し高いくらいの怪物もものともしない。
レベルに見合った報酬なのかといわれればそうではない。
大金は欲しいが、高額報酬はそうそうあるものではない。
それならば、手堅く稼げる少額報酬をかっさらった方が儲けになる。
安売り・ディスカウントは、資本力のある者の特権である。
最初はこのつもりで仕事をしていく予定だった。
だが、オトハが加わった事でそうもいかなくなった。
まだレベルの低い新人を怪物退治に引きずり回すわけにはいかない。
いずれは共に怪物退治に乗り出すかもしれないが、レベルを上げてからになる。
もっとも、それなりのレベルになったら他の旅団に紹介するかもしれない。
「なるほどね」
話を聞いたサユメは納得した。
「相変わらず抜け目ないね」
「食ってくためだ」
「おかげでボクらも助かってたけど」
ソウマが旅団にいる頃、様々な提案のおかげで生き残る事ができた。
莫大とはいかなかったが、儲けも出せた。
「どんなところでも儲けを取ってくるのはさすがだよ」
「褒めてるんだよ、それ?」
「もちろん。
ケツの毛すらむしりとるように稼ぎを手にする根性。
あれは真似できないってみんな言ってるから」
「俺の評価はどうなってんだ」
古巣における己の存在価値について考えてしまう。
「あの、ごめん……」
聞いてたオトハが声をもらす。
ソウマの予定を崩してしまった事が申し訳ないのだ。
だが、ソウマは気にしてない。
「あともう少し成長すれば、佐々波も戦力になる。。
そうなったら本格的に始めるから。
その時は頼んだぞ」
「がんばります……」
引き締めた顔で、オトハはコクリと肯いた。
そんな二人を見て、サユメも考え込む。
ふざけた事をほざいていた今までとは打って変わって真面目な顔をして。
そして。
「よろしくお願いしまっす!」
翌朝。
サユメが押しかけ団員としてやってきた。
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