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102/102

102 ある意味、逆行転生で自分の人生をやりなおす

 4歳のソウマは考えていく。

 未来から記憶がやってきたのは理解した。

 その内容もおおよそ把握している。

 しかし、今の自分に何が出来るのか?



 まだ4歳である。

 やれる事は少ない。

 レベルそのものはかなり高いのだが。

 どうやら記憶と共にレベルももたらされてるようだ。

「強くてニューゲームか」

 かろうじて残ってる平和な時代の記憶。

 その時聞いた言葉を口にする。



 しかしどれだけレベルが高かろうと、出来ないこともある。

 特に社会的な事はほぼ不可能。

 子供が何を言っても聞き入れられる事は無い。



 とはいえ、利点も確かにある。

 基礎能力が高くなった事で、思考も運動も人並み以上になっている。

 虐待が当たり前の親や、親がつれこんだ男などに対抗するには都合が良い。

 保育園で暴行を加えてくるクソガキの殲滅にも。

 おかげでソウマは、悲惨な幼少期に得られなかった安全を確保出来ている。



 とはいえこれだけでは足りない。

 いずれやってくる大災害。

 これに備えるなら、この程度で満足していられない。

 まずは身の安全と生活の確保が大事ではある。

 加えて、将来への備えも作っていかねばならない。



「がんばらないと」

 未来の記憶はある。

 だからこれから6年で出来る限りの事をしなくてはならない。

 その為に出来ることを考えていく。

 考えて片っ端から試していく。

 失敗は増えるがかまわない。

 情報として過去に送れば、貴重な教訓として活きるのだから。



 ソウマの挑戦が始まった。

 多大な失敗を繰り返し、わずかな成功をつかみ取るための。

 無謀と無茶が量産されていく。



 まずは安全の確保。

 家においては母親と、母がつれこんでくる男の迎撃で成し遂げる。

 典型的な育児放棄を成し遂げる母。

 これが連れ込んでくる、自分の楽しみが優先の男。

 こいつらがもたらす暴言と暴行、無視と廃棄を拳で粉砕していく。



 4歳とはいえ、ある程度レベルを上げた状態になってるソウマだ。

 霊気による能力補正は既になされてる。

 一般的な成人よりも遙かに高い身体能力を持っている。

 そんなソウマにとって、暴力慣れしてるだけの男などたやすく殲滅出来た。



「ひ…… !」

 血縁だけのある母という女が悲鳴を漏らす。

 いつも通りにソウマをサンドバックにしようとした男。

 こいつがソウマによって血だるまにされたのを見て。

 ジムで体を鍛え、荒事で場数を踏んだ男。

 それはいつも通りソウマを叩きのめそうとした。

 そして、いつもやっていた分を全てまとめてソウマにやり返されていた。

 これまでの利子を多大に上乗せされて。



 手足の骨は粉砕され、内蔵も破裂している。

 生きてはいるが、あとは死ぬだけの致命傷。

 このような状態に男を作り直したソウマは、続いて母の処分をする。



 母もどうしようもない女だった。

 軽薄で後先を考えず、その場のノリだけで生きている。

 中学に入学した頃には既に道を踏み外し、様々な男の間を渡り歩いていた。

 金は体を売って稼ぎ、稼いだ金で付き合ってる男に貢ぐ。

 そんな生活の中で14歳で妊娠。

 生まれたのソウマである。



 そんなわけでソウマに愛着があるわけではなく。

 実家に寄生しながら再び男から金を吸い上げ、男を金で作って生きていた。

 ソウマがそれでもなんとか生き残れたのは、母の実家の祖父母のおかげである。

 この祖父母も母を育てたような人間なので、健全な生き物ではなかったが。

 それでも世間体を気にして、せめてソウマが死なないようにだけは気をつけていた。



 そんな祖父母もさすがに娘の愚行に見切りをつけたのか、ある日突然絶縁をして。

 ソウマと母は家の外に追い出された。



 どうにかたどりついたボロいアパートで生活を始め。

 ソウマは今日までなんとか生きていた。

 母のストレス解消で叩かれ殴られ。

 母が連れ込んだ男にもオモチャとして殴られ蹴られながら。

「よく死ななかったよな」

 振り返ったこれまでに、ソウマはこう言葉を漏らした。



 そんなこれまでのお礼として、やられた事をのしを付けてお返ししていく。

 報復と復讐という正当な行為である。

 はばかる理由は何もない。

 せいぜい法律がケチを付けるだけだろう。

 だが、これは法律が悪いし間違ってる。

 危害を加えてきた者を処分して何が悪いのか?



 ソウマとしては危害を加える危険物を野放しにするわけにはいかない。

 今までやってきた者も、これからやろうとする者もだ。

 当然、現在実際に行ってる者など見逃すわけがない。



 記念すべき第一歩として、母の今の男を徹底的に粉砕して。

 原因を作った母を肉塊にした。

【時空】の能力そのものには殺傷能力は無い。

 だが、増大した霊気によって体力などは大幅に上がってる。

 この力を使えば、素手で人間を粉砕するくらいは簡単にできる。



「親は一番身近にいる加害者……か」

 物体になった元生命体2つを見下ろしてつぶやく。

 世間では親は愛情深いもの、子供を慈しむものという。

 だが、ソウマにはそうは全く思えなかった。

 親こそが子供の最も近くにいる加害者である。

 危険人物である。

 警戒して当然の物体でしかない。



 その危険物が本来のあるべき姿をあらわした。

 だからソウマは身を守るために処分した。

 もう二度と活動出来なくすれば、悪さを行えなくなる。

 さらなる被害者の増大を防ぐことが出来る。



 ソウマの前に横たわる2つは、これまで様々な人間に悪さをしてきた。

 有形無形を問わずに。

 そんなものをこの世に放置するわけにはいかなかった。

 これから生まれてしまった者として、身内の始末をつける義務がある。

 ソウマは肉親としてそう思った。



 その義務を果たした。

 たとえ義務はなくても、己を守ることが出来た。

 これまで危害を加えてきたものを処分できた。

「凄えスッキリする────」

 あり得ないくらいに心が晴れやかだった。



 未来において怪物を倒した時のような気分だった。

 実際、大差はなかった。

 ソウマにとって親は怪物と同じである。

 自分に危害を加える敵という意味が。



 こうしてソウマの戦いが始まった。

 やがてくる大災害を生き残るため。

 発生する怪物をしのぐため。

 せめて今までよりもよりよく生き残るため。



 人生のやり直しがこうして始まった。

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