まだまだ秘密がありそうだね。
ドラヘもフラメに賛成したから,何か理由があるんだろうなって思って,あたしもイシュに,
「待ってみたら。」
って言ったらへそを曲げちゃった。
『なんか理由があって待ってみたらっていってるんじゃないの?』
『・・・』
子どもか?・・まあ・・子どもだわな。あたしも自分がまだ子どもだと思うもんね。
『聞こえてるぞ・・』
イシュがぼそって言う。
『まあ落ち着いて待て。その間に,この塔をもっと探ってみたらどうじゃ?』
フラメの言葉であたし達は動き出した。
この屋根裏部屋は,円錐状の屋根の所に当たるみたい。天井が円錐。上を見ていたあたしは,円錐って言っても,とがってる訳じゃないって気が付いた。真上が円だね。ちょうど・・・直径が,1メートルより小さいかなっていう円。
塔を遠くで見ると,とがってるように見えたのにな。ってことは,あの上にまだ何か隠してある物があるのかな?
すっと飛びあがって手を触れようとしたら,
『待て・・・』
ってフラメに止められた。
『なんで?』
『そこにありそうじゃから。』
『何が?』
『入り口じゃ。』
『何の?』
『召還動物じゃと思うぞ。』
ドラヘが続ける・・・
・・・・・召還動物?・・・・
あたしはイシュと顔を見合わせた。
『龍の他にも何か召還してたのか・・・』
『・・・そう言えば,実験だって子ども二人を連れて行った時,動物が箱に入れられて運び込まれてた。あの動物って普通の動物じゃなかったって事かな・・・』
あの動物もここから呼び寄せたって訳か。
あたしは天井を見つめた。見えるかな?
・・・・・なんか黒いような穴が見える。
『ふさいじゃった方が良い?』
『そうじゃな。この穴は・・・どこか違う次元に繋がっておるようじゃ。おそらく,あのフォックスだかフィックスだかというあの狐男と組み合わされた狐も,ここから呼び寄せたのじゃろう。』
『ただの動物じゃなかったって事か・・・』
イシュがつぶやく。
『かすかに魔の臭いがしたからのう。』
『何でそのとき教えてくれなかったの?』
『俺もそう思うぜ。』
『あのときは,そんな話をしている状況ではなかっただろう?』
『じゃあ。あの狐男も召還動物と融合させられてたって事になるんだね。』
・・・
『多分。悪や,魔の臭いがしたからの・・・』
全く・・そんなこと言ってなかったくせに。今になって言う?
『その穴を塞ぐのにも,鎧の力がいるじゃろうて。』
なるほど。だから待てか。
・・・
『そういう風にきちんと教えてくれれば,俺だって・・』
『膨れなかった?』
『・・・・・・』
そうこうしているうちに,鎧が戻って来た。
彼らはまっすぐ城に向かい,謁見を待っているらしい。ちゃっちゃと穴を塞いでさっさと行こう。
鎧はこともなげに剣に戻り,ぴょんと跳んで天井に突き刺さった・・・凄い悲鳴のような音が響き渡り・・塔がぐらぐら揺れだしっちゃった・・・
『これって・・・』
『まずいんじゃねえ?』
『即刻,城に向かうが良かろう』
『どこだか分かんないわよ!!!』
『わしが知っておる。主よ。わしに触れるが良い。』
なんか主とか,あたしのこと言ってる割には,すっごく偉そうな態度なんだけど・・・
あたしとイシュは鎧に触れた。
それと一緒に轟音が響き渡り,塔が崩壊し始めた・・・と・・・たちまちその場がゆがんであたし達は城の屋根にいた。
わ・・・




