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しゃくしゃく・・・・

 二人は,やがて,王の間の隣にある,使われたこともない王妃の間に運び込まれ,医者が呼ばれた。その間にもイシュは何とも言えない様子だった・・・

『混乱しておるんじゃろう。』

『そういうもん?』

『美優も,家に帰れたらそうなるじゃろう。』

そうかな・・・


 やがてイシュが王妃の間に呼ばれた。あたしは・・・一緒に来るようにイシュに言われて,仕方なしに一緒に部屋に入っていった。


 ベッドの上に二人は横たわり,でも,しっかり焦点の合った目で周りを見回していた。


 王がルストに聞いている・・・

「わしが分かるか?」

「兄さん。」

ルストが応える。

「ここは?兄さん何だか老けたね。」

「ばか。最初の一言がそれか?わしにどれだけ心配掛けたと思ってるんだ?」


「ライゼ?」

「お父さん?お母さん?」

「年を取ったったなんて言うなよ。あれから10年以上経つんだからな・・・」

 ライゼはゆっくり起き上がって周りを見ているね。王とルストを見てそれからイシュとあたしを見た。

「あなたたちは?」


・・・・・


「俺はイシュだ。」


・・・・


「え?」

「イシュだ。」

「なんだって?君がイシュ?」

「まだあの子は小さいのよ。」


 二人とも驚いてるね。赤ちゃんだったはずなのに,もう16になっているイシュ。14~5年の歳月って赤ちゃんじゃなくなるって分かってるでしょ。


 それから話をいろいろ聞いたんだけど,2人の記憶は,家を出て神殿に着いてすこししたところで終わってるんだって。

 二人が10年以上も融合していたって聞いて本当に驚いてた。だれが?いつ?

 その当たりも,神殿で,神官長と話をして,部屋に通され,湯浴みをして就寝したところまで,ライゼは覚えてるって。それから,ライゼには,寝室に良い香りの香がたきしめられていたって言う記憶があるって。香・・・怪しいよね。


 ルストの方は,神殿に着いて,妻に会わせろと言ったら,応接室みたいな所に通されたんだって。そこでお茶を貰って,

「今,禊ぎの最中なので,明日会わせます。」

と言われ,部屋を貰ってそこで休んだんだそうだけど・・・ 気が付いたらここだったって事・・・


 つまり,ライトは,全く別の人格があったって事?

『ライトは二人の胸の奥で眠っておる。目が覚めれば,またいろいろなことが分かろうぞ。』

おいおい・・・フラメ。いきなり言ったら皆が驚くよ。

「なんだ?今のは?」

お爺さんが驚いてる。


・・・・


「あ・・・いや・・・その・・・」

『妾はフラメ。炎の龍じゃ。イシュとともに生きることになった。』

「ま・・まさか?」

「まさかです。おじいさん。」

覚悟を決めたい首が応える。それから右腕をめくって見せた。


・・・・・


イシュの腕には赤い龍がしっかり刻まれている・・・

「ほう。イシュには炎の龍の加護がついたのか。」

王様。好意的に取ってくれてありがとね・・・


 王様は,さらに続けたよ。

「この国は『二人の龍の加護持ち』によって大いに栄えるであろうな。」

『そのとおりじゃ。ははははは』

 おいおい・・・ドラヘ・・・


その夜,城の庭で龍の姿になったあたし達は,

『神殿の跡地に行かねばならぬぞ』

っていうフラメとドラヘの言葉にため息をついたよ。大学の方はどうするの?

 沢山出した白い花をしゃくしゃく食べながらあたし達は,ゆっくり体を伸ばして夜を過ごしたよ。どうなるんだろうねえ・・・

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