表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/89

第九話「車輪の音」④

 街道の途中で、昼食を取った。


 女主人が持たせてくれた包みを開けると、硬いパンとチーズと干し肉が入っていた。

 質素だが、十分な量だった。

 荷車を道の脇に止めて、四人で草の上に座った。荷台の五人も、それぞれ体を伸ばして休んでいた。


「昨日の宴、楽しかったね」


と蒼依が干し肉を齧りながら言った。


「そうだな」


とディルクが答えた。


「あの村で、あれだけ笑い声が聞こえたのは久しぶりだったと思う」

「ディルクさんは、あの村によく行くんですか」

「荷の運び先の一つだ。女主人には世話になっている」


ディルクはパンを手でちぎりながら続けた。


「あの村だけじゃない。街道沿いの集落は、互いに荷を融通し合って生きている。一つの村が打撃を受けると、周りにも影響が出る。だから賊の話は、他人事じゃない」


 夜久はチーズを口に入れながら、ディルクの顔を見た。

 荷運びの仕事をしている人間、ということ以上のものがある顔だった。

 この街道の人の流れを、自分の血管のように感じている人間の顔だった。


「ディルクさんは、ずっとこの仕事を」


と夜久は聞いた。


「十五年になる」


とディルクは言った。


「親父の仕事を継いだ。自分の足で道を覚えて、顔を覚えて、それだけだ」


 ゼータは食べながら、空を見上げていた。雲が一つ、ゆっくりと流れていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ