19/40
第18章
船上のジョンソン談:
「・・・妻のルシルと、俺の甥のガス・ジョンソンと俺の3人で、モントリオールを出航したんだ。それは長く、つらい旅だったが・・・もう、後戻りはできなかった。」
大西洋を航海中、白い波頭を立て、荒れ狂う海・・・。
ジョンソン談:
「ルシルは、船酔いのために、甲板にも出られない。結局・・・俺たち3人は、客室から一歩も出なかったんだ。」
ふたたびジョンソン談:
「・・・そのうちに海が凪ぎ、波がおだやかになり・・・カモメも飛び始めて、フランスのル・アーヴル港が近づいてきたよ。」
「あぁ・・・群衆の中に、憲兵の姿が見える。また逮捕されるのか・・・?」
「そのとき、叫び声が聞こえたんだ。『みんな・・・ジョンソンがきたぞ!』『フランスへようこそ、ジャック!』『ハロー、ジャック・ジョンソン!!』ってね。」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジョンソン談:
「税関の役人が、握手を求めてきたよ。 ・・・これで、ひと安心だ。」
そして彼はまた・・・
遠くを見るような、それでいて、希望に満ちた、キラキラとしたまなざしで、こう述懐する。
「パリでは、誰もがのんびりしていた。人々がみんな楽しんでいた。 ・・・俺は、心の底から自由の味を味わったんだ。」




