友来りて
-ゼント達が夕食を食べている頃、ケインの書斎にて。
「旦那様、ウイリアム・ヘンツ様がお見えになりました。」
「ああそうか、こちらに通してくれ。」
執事に連れられてウイリアムがケインの書斎に入ってきた。
「よう!久しぶり。」
「本当に久しぶりだなウイリー!」
「ケインが貴族で、アスモス領の領主だなんて、信じられんな!」
「そういうお前は、カーンバイ大学で大学教授をやってるんだろ、そっちの方が七不思議だ。」
「まあ、立ち話もなんだから座ってくれ。一杯やろうぜ!」
ケインは棚からグラスとウイスキーらしき酒を取り出し、グラスに氷と酒を入れて二人で飲みだした。
「この氷はリセスが作ったやつか?リセスは元気か?」
「ああ、元気だ。相変わらず尻に敷かれているぞ。」
「はは、そうだろうな、リセスは気が強いから、一緒に冒険していた頃が懐かしいな!」
「そういうお前はまだ一人者か? パーティで一番若かったからといって、もういい年だろう?」
「まあ、縁がなくてね。それより今日お嬢さんに会ったぞ!」
「そうか、魔動車に乗っていたのは、やはりお前だったのか。」
「いや、本当に綺麗になったな、若い頃のリセスを思い出す。」
「そうだろう。でも娘はやらんぞ!」
「いや、狙ってないから・・・。」
「ところで、魔動車はどうした?」
「オナシティでは目立つので俺の亜空間に保管してある。」
「そうか、それならいい。それにしても魔動車の技術をゴード国に提供してくれるとはカーンバイ国の王は太っ腹だな。」
「その見返りがアーシオ遺跡の調査だ。そこで発見された技術をお互いの国で共有するといのが今回の技術供与の条件だからな。」
「地理的には離れているがゴード王族とカーンバイ王族は親戚関係にあるし、関係も非常に良好だ。それぞれの長所を共有しながら発展してきた歴史がある。それに今回の技術供与はオーマ国に対する牽制の意味もあるな。」
「ああ、最近のオーマ国の動向はかなり怪しいな。半年ほど前に異世界人を召喚したという情報もある。魔動車は戦争に使った場合圧倒的に優位な立場に立てるからな、オーマ王は気が気ではないだろう。」
「問題はそこだな、こんなことをあのオーマ王が放っておくと思うか?」
「俺が奴の立場なら探りを入れて、妨害するだろうな。」
「今日お前さんが娘と会っのはラインウルフに襲われていた時だろう?」
「ああ、そうだ、その時たまたま一緒になったゼントという若者が一瞬で全滅させていたのでびっくりした。」
「仮にだ、その若者がラインウルフを操っていたとしたらどうする?」
「いや、あいつはそんな・・・そうか!あれはお嬢さんを助けてお前に取り入るための手段だったのか!」
「そうだ、ラインウルフを操っていた奴の真意はそれだろう。」
「そいつがラインウルフを倒す前にゼントがやっちゃったのか。」
「まあ、そういうことだろう。ゼント君と剣を交えたが、彼の剣は真っすぐで、そんなことをする若者ではない。何よりそのことを気づいたのは彼が連れていたお嬢さん達だったからな。」
「え?お前、娘を助けてくれた恩人と戦ったのか?」
「模擬戦だけどな・・・。」
ウイリアムはあきれた顔でケインを凝視していた。
「それで結果は?」
「スキルを使ってやっと勝った。」
「あいつもスキルを使ったのか?」
「いや、素のままだった・・・。」
「だろうな。あいつがスキルを使ってたら、お前の命はないぞ。あのゼントの戦い方は規格外だ!それに一緒にいたかわいこちゃん達も只者ではないぞ。」
「ああ、確かに、二人共見た目は華奢だがかなりの魔力を持っていると見た。特に女神様みたいな子はリセスより上だろうな。リーナに聞いたが、彼らは今日ギルドでパーティの登録をしてきたそうだ。」
「敵じゃやなくてよかったな。」
「本当だ!」
「まあ、今は敵ではないが監視しておく必要はあるな。」
「その辺は抜かりはないさ。」




