女神再び
ドラゴン遭遇した翌日、ドラゴンを解体して可能な限り亜空間倉庫にしまっておいた。
食料としても相当な量で、鱗や牙などは素材として凄い価値になるらしい。確かに『光の刃』でも簡単には切ることができないからな。
「ドラゴンから必死に逃げたので凄い距離を稼いだな。」
「十日分ぐらいかかる距離を一日で走り切ったね。」
俺たちは改めて昨日の移動距離に驚いていた。
「もうすぐ森の出口だ。森を出ればこの世界の人間に会えるかな。」
途中ファイアボーアに何頭か遭遇したが、特に問題もなく森の出口へと到着した。
「やっと森から出られた!!」
森の出口は少し小高い場所のため、草原が延々と広がっているのが見えた。
ところどころに森が点在しているが、ソーリの森程の大きさのものはない。
草原に出た道はそのまま延々と続いているように見える。
「この道をずっと行けば、ゴード国に向かう道に出られるよ。」
「この道は元々ゴード国とエルフのマトー国をつなぐ道だったんだけど、ソーリの森に魔物が多すぎて使われなくなったの。ソーリの森のおかげで人間の国とエルフの国が争うことはいんだ。」
「この森のおかげで無駄な殺し合いをしなくてよいということか・・・。」
「まあ、そんなところかな。」
「じゃあ、行くか?」
「うん!」
ソーリの森程ではないにしても、どんな魔物がいるかわからないので気は抜けない。
森を出てからしばらく草原の道を歩いていると。
”ドドーン!”
空気が割れるような音と共に100mぐらい先に強烈な雷が落ちた。
「え? 空は晴れているよな?雷撃か? 魔物の気配はないな。」
「ゼント、誰かあそこに倒れているよ!」
雷が落ちた近くに人が倒れている。
雷に打たれたのか?
俺たちは大急ぎでその人のところに駆け寄った。
ヒールかポーションか?どっちの方が有効なんだ?
やや取り乱した状態で俺はその人を抱き起こした。
「え”?????」
俺とミュウは目を丸くしてその女性を見た。
女性に外傷は全くなく、気絶していただけだったが、その外観は「女神ヴェルス」そっくりだった。
「んーー あっ!ゼントさーん!」
その女性は目を覚ましたと思ったら突然俺に抱き着いてきた。
「え、え、何?本当にヴェルスさんなの????」
「なんで雷と一緒に????」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ゼントの亜空間収納の中、女神ヴェルスとゼント、ミュウが向かい合って座っていた。
「えーっとまず、何故このような現れ方をしたかご説明いたします。」
女神ヴェルスは神妙な顔をして話始めた。
「天界には神々を統治する創造神様という方がおられます。その人が決めた掟に神々は下界に干渉してはいけないという掟があります。」
「えーっということは? もしかして俺に干渉したから怒られたとか?」
「まあ概ね合っているのですが、正確には下界の食べ物を2度までも私が食べてしまったことにお怒りになりまして。当面下界での謹慎処分となりました。」
え、そこに怒るの?
まあ、食べ物の恨みは恐ろしいというしね。
「でも下界への不干渉なのに下界での謹慎処分だったら余計干渉してしまうのでは?」
「それは大丈夫、女神の力を奪われた上での追放なので下界への干渉にはなりません。」
「え、それじゃあヴェルスさん生きていけないのでは?」
「あ、女神の力は奪われていますが、Sランククラスの賢者の力は持っていますので大丈夫です!」
いや、そこでどや顔されてもね・・・。
「ところで、女神様はこれからどうされるのですか?」
「え――っとですね。女の一人旅も物騒ですので、できればゼントさん達とご一緒させていただけないかと。厚かましい話で申し訳ありません。」
女神様と同行?なんか揉め事にならないよね?でも俺の命の恩人だし・・・。こんな優しい女神様をほおっておけないよね。
「ミュウは女神様と一緒の旅でも良いか?」
「我は問題ないよ!女神様と一緒に旅できるなんて夢みたい!」
「じゃあ、決まりだ! よろしくお願いします。」
俺が手を差し出したら、女神様が目を潤ませて俺にまた抱き着いてきた。
「ありがとうございます!!」




