説明は聞いておいて損はない
ご飯食べている途中だったり食べる直前の方は閲覧注意かもです
初期設定が完了したと表示されると同時に目の前がいきなり光った。
しばらくして光が収まると目の前に人ほどの大きさのある蛾がいた
『お初にお目にかかります、旦那様。
わたくしは旦那様のパートナーモンスターであり旦那様の伴侶であり旦那様の忠実な僕のソラと申します。
不束者ですがよろしくお願いしますわ』
…物語だと怪物が喋るのはよくあることだけど実際に目の前で大きな蛾が喋っているのを見るとその…、あれだ、ぶっちゃけ気持ち悪いし怖い。
『…旦那様?どうかなされましたか?』
「…ああ、ごめんよ。
いきなりの事でちょっと混乱していたんだ。
それで…ソラさんだっけ?
伴侶であり僕ってどういうこと?」
今の俺にとって味方と言えるのはソラと名乗ったこの蛾だけだ。
この状態でただ気持ち悪いからと言って拒絶するのは良くないだろう。
とりあえず一つ一つ疑問を解消することにしよう。
『そのままの意味でございます。
パートナーモンスターとは文字通りダンジョンマスターのパートナーとお傍に侍る存在、ダンジョンマスターを支える存在ですので。
それ故にわたくしは絶対に旦那様を裏切ることはありませんし旦那様の為なら何でも致します。
また、パートナーモンスターはその特性上ダンジョンに対する豊富な知識を持っています、勿論わたくしも。
それと旦那様、私のことはどうぞソラとお呼びください』
なるほど、要はダンジョンに詳しい絶対に裏切らない配下が手に入ったと考えればいいのか。
伴侶というのは置いておくと中々いい条件に思える。
だがこれでは他のボーナスに比べてメリットが大きすぎるように思える、これは不自然だろう。
「なるほど、中々有能そうじゃないか。
だが一つ疑問がある、今の話を聞く限りパートナーモンスターだけ他の特典よりもメリットが多く思えるのは気のせいか?
何かデメリットがあるんじゃないか?」
俺がそう言うとソラは僅かに身じろぎした。
やはりなにかあるのだろう。
『…ご明察でございます。
わたくしの種族はキラヒメ蚕と言いまして、戦闘能力はございません。
わたくしの種族は本来他の生き物に面倒を見てもらえないとまともに生きていくことさえできないのです。
…申し訳ございません』
蚕…蚕蛾か、なるほどな
しかし戦えないというデメリットを差し引いてもメリットが大きいだろう。
これはいい選択をしたのではないだろうか
「気にするな、戦えないという事を差し引いても助かる。
それでは早速ダンジョンを作っていきたいんだがその前に一つ聞いていいか?」
『何でしょうか?』
「その姿はどうにかならないか?
さすがに精神的にいろいろきついのだが…」
極力気にしないように努力してきたがさっきから目の前に巨大な蛾の顔があるのだ。
地味にSAN値が削れていってるような気がする。
会話が成り立っているから平静を装えているがこれでも結構来るものがあるのだ。
可能なら俺の精神衛生的にもどうにかなってほしいところだ。
『…申し訳ございません。
現状では不可能でございます。
わたくしの種族はやろうと思えば人化も可能ではございます。
ですがそれには定められた条件を達成する必要がございます。
条件は個体ごとに違いますがわたくしの場合は[旦那様のダンジョン管理者権限スキルがLV3になること]となっております。
これを達成しないことには…』
キラヒメ蚕っていうのはやたら面倒な種族らしいな。
しかし条件がいかにも俺にダンジョンマスターとして働かせるために設定したっぽいのが気に入らないな。
そんなことをしなくてもやることはやるつもりだったんだがな…
「そうなのか…、教えてくれてありがとう。
それでダンジョン管理者権限のスキルレベルを上げるにはどうすればいいんだ?」
『はい、条件は3つあります。
・ダンジョン内で死亡した人間の数が一定数を超える
・一定以上のレベルのスキルを持つ人間がダンジョン内で死ぬ
・ダンジョン内で人間のスキルがレベルアップした回数が一定を超える
このうちのどれかを満たすとスキルレベルが上がります。
回数などの詳しい数値は存じませんがスキルレベルが高くなるにつれ要求数値も高くなるものと思われます。
まずはレベル2を目指して頑張りましょう』
なるほど、手っ取り早くレベルを上げるならそこそこの猛者を引き入れて殺すのが手っ取り早いか。
だがスキルレベルは1上がるだけでそれまでとは段違いの性能を誇る、これはいささかリスキーに過ぎるな。
次にダンジョン内で人間のスキルがレベルアップした回数か…
創作ものでよくある初心者向けダンジョンの立場を確立できればこれも容易かもしれないが現時点では無理だろう。
ダンジョンが出現してからそこまで時間がたってない以上初心者向けダンジョンとして管理される可能性は薄い。
調査に来た人間にそのまま殺されたら元も子もないしな。
となると順当に人間を殺すのが安定だな。
奈良の山の中にできたダンジョンなんてこっちが氾濫を起こさない限りほぼほぼ気づかれないだろう。
となるとそれを利用してきっちりとした準備をしたうえで氾濫を起こして世間に存在を公開、そして冒険者たちを誘い込むのが正道だろう。
創作ものでは色々と邪道な経営もあるのだろうが今の俺では真似できない物かリターンに対してリスクが低すぎるものしかないからそういうのは余裕ができてきたら考えるとしよう。
「よし、そうと決まれば早速ダンジョンに手を加えていこう。
スキルを使えばいいのか?」
『はい、頭の中で念じてもらえれば目の前にステータスと同じように半透明なウインドウが表示されると思います』
ソラに言われた通り頭の中で念じてみると目の前に半透明のウインドウが表示された。
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ダンジョンナンバー:No.329
ダンジョン名:未定
ダンジョンマスター:二見 宥
幹部:ソラ(キラヒメ蚕)
使役種族:虫、蟲族
ベース地形:山
改良履歴
湿地帯エリアを追加、湖エリアを追加、密林エリアを追加、エリア内に川を追加
・魔物生産 ・地形改良 ・ダンマス掲示板(スキルレベル2より開放)
・オークション(スキルレベル3より開放)・ランダムガチャ(スキルレベル5より開放)
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『今旦那様の目の前に表示されているのはこのダンジョンの基本的な情報になります。
なにかわからない部分はありますでしょうか?』
基本的には名前だけで大体のことはわかるようになっているみたいだ。
この改良履歴はおそらく初期設定の時に変更が加えられた部分だろう。
「いや、表示がわかりやすいから今のところ分からない事はない。
初期設定の時に地形については改良が加えられているから流れとしては魔物生産をするべきか?」
『はい、ですがこの魔物生産というのが実は厄介な部分です。
基本的に魔物は2匹まで、多くても数匹しか呼び出せないのです』
数匹しか呼び出せない?
それでは氾濫が起こる理由がわからない、どういうことだろうか?
『魔物の数を増やす方法なのですが意外に思われるかもしれませんが繁殖なのです。
魔物生産で生み出された魔物は必ず番いとなるのです。
種族によっては単体で生殖できる生物や男女比が偏らないといけない生物がいるので数が変動することはありますが基本的には番いで生み出されます。
魔物の成長は非常に早く、基本的に1ヶ月もあれば成虫となります。
強力な魔物になるとまた変わってくるのですがここでは割愛いたします。
ここで旦那様にご注意いただきたいのが虫、蟲族の魔物は環境に敏感で自分に合わない環境で産卵してもすぐ死んでしまうのです。
ですので生み出す前にそれぞれの魔物に合わせた地形に移動してからするのをお勧めいたします。』
繁殖か…、これほど高度なシステムであるのに意外にもアナログな方法なんだな。
それにしてもソラがいなかったらと思うとゾッとするな。
こういった情報を知らずに魔物を生み出したはいいものの繁殖させることができずに詰んでいた可能性もあった訳だ。
「なるほど、ソラがいてくれて助かったよ。
俺一人だったら上手く繁殖させることができずに詰んでいたかもしれない」
『いえ、旦那様のお役に立つことがわたくしの喜びですから。
もっとわたくしを頼ってくださってもかまいませんのよ?』
「ああ、俺はまだまだ無知だ。
遠慮なく頼ることにするよ」
これは一層気合が入るというものだ。
…さすがに巨大蛾と話すのに慣れるのは怖くあるのである、さっさと人化してもらいたい…
『それでは旦那様、呼び出せる魔物を調べてみてください。
魔物生産を押してもらうと一覧が表示されます。
それを教えてくださればわたくしがどこが生息に適しているかを判断いたしますので』
「ああ、わかった」
ソラに言われた通りに操作をしてみると次のような画面が表示された
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生産可能な魔物
・種族名:マッドワーム
所持スキル
・穴掘りLV1
・種族名:爆竹ヒル
所持スキル
・自爆LV3 ・毒液生成LV1 ・繁殖LV3
・種族名:無限ミミズ
所持スキル
・伸縮LV3 ・自己再生LV1 ・まきつくLV1
・騒音ボウフラ
所持スキル
・騒音LV2
ユニークモンスター
・死体漁り
所持スキル
・悪食LV5 ・鋼鉄の胃袋LV5
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ユニークモンスターという項目に首をかしげながらもこの内容をソラに伝えた。
『なるほど…、わかりました。
それぞれマッドワームは湿地帯、爆竹ヒルは密林、無限ミミズは川、騒音ボウフラは湖で生産するのが良いと思われます』
なるほど、それぞれ名前を聞いてなんとなくイメージした通りの内容だ。
だが肝心のユニークモンスターについては何も言っていないな…
もしかすると現状では環境が整っていないのだろうか?
『死体漁りなのですが…奴に関しては適当にそこら辺に生み出しておけばよいでしょう。
ただそれをするのは絶対に私が見えない場所でやってくださいね!
なにとぞお願いします』
やけに死体漁りを嫌っているな…
ヒルに対して何も抵抗感を感じなかったのにこれはどういうことだろう?
「そもそもなのだが死体漁りとはどういう魔物なんだ?
名前とスキルからじゃなんでも食べそうな事ぐらいしかわからないんだが。
教えてくれないか?」
俺がそういうとソラは明らかに嫌がるそぶりを見せた。
そこまで嫌がられる存在とは一体…?
『…旦那様の頼みとあっては致し方ありません。
端的に言いますと、死体漁りとは猫ほどの大きさをしたゴキブリでございます。
やつらはなんでも食べることができるので飢える事がなく中でも好物は動物の死骸です。
その上奴らは単独で生殖でき、その繁殖力はネズミ講レベルでございます。
1体1体は少女に殺される程弱く、人を一人殺すのに100匹で襲い掛かって99匹が死んでやっとという有様ですがなにしろ1匹居たら100匹はいると思えと言われる程繁殖力が高いのでその見た目と相まって非常に嫌われているのです。
くれぐれもわたくしの前で呼び出さないでくださいね』
ゴ、ゴキブリか…
確かに今の話を聞いたら生産をするのを少し躊躇してしまう…、が死体漁りを呼び出さないでおく余裕があるかわからない現状呼び出すしかないだろう
「わ、わかった…
とりあえず上から順番に生産していこうか」
とりあえず今は死体漁りのことで気がたっているソラをなだめて気をそらすためにも魔物を生産することにした。
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