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ハーメルン  作者: 亜流今
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地下車路

 出口に向かって20mほど歩くと左手にゴミステーションがある。この巨大な空港ターミナルビルから出るゴミは全てここに集められ、分別されて回収を待つ。毎日何度もトラックが回収しているのだが、飲食店から出る生ゴミの臭いは抑え難く、車路まで流れ出してくる。


 ステーションの右側の壁近く、段ボールやペットボトルなど、資源ゴミが積み上げてある辺りに動きがあった。使用済みのコピー用紙の山が崩れ、小動物がペットボトルの裏に隠れた。鼠か?いや、もっと大きい。


 ペットボトルを蹴散らして、明るい照明に照らされたゴミ置き場から暗い車路へと細長い影が走った。イタチ!?いや、あの大きさはフェレットだ。


 フェレットはヨーロッパケナガイタチというイタチの親戚を去勢して、成長を止めたペット用の動物だ。去勢されていないものは倍ほどの大きさに育ち、スーパーフェレットなどと呼ばれる。最近は逃げ出したり迷子になったフェレットを街中で見かける事もあるが、去勢されているので野生化して繁殖するような事は無い。


 車路に出たフェレットは一瞬止まりこちらを振り返ると、路肩の側溝に飛び込んだ。しかしそのまま逃げるでもなく、側溝からチョコンと頭を出してはこちらを覗き、また溝の中を1mほど進んでは顔を出しと、まるでこちらを誘っているようだ。全く、今日という日はとことん動物に縁のある日らしい。


 ククッと声を出して側溝に隠れた所を見ると完全に遊びモードだ。追いかけっこしようと誘っている。元々ペット用の動物だから、はぐれて野良になっても人懐こいのだろう。茶系のフェレットはどの子もよく似ているが、よく見れば皆個性がある。暗い車路では表情までは分からないが、この子は昔飼っていたトムによく似ている。


 腕の中の白猫が身体を固くし、耳を正面に向けてピンと立てた。フェレットを見つめ、お尻をもぞもぞと動かす。どうやら誘いに乗る気満々のようだ。しかしここで追いかけっこを始められてはたまらない。白猫の頭を押さえてしっかり抱え、先導するフェレットを追いかけるように、車路の出口へと再び歩き始めた。

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