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夢のかけら  作者: 高原 涼子
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「ごめんなさい」

 火曜日の放課後に生徒会室の椅子に座った途端、目の前に川原くんがやってきて頭を下げた。

「俺の方こそ、いろいろごめんね?」

 川原くんの気持ちに気づかなかった事とか、和己のこととか、いたたまれない気分で俺も謝る。

 これで解決でいいんだよね。

 ーーこんなにあっさり解決したっていうことは、きっと和己が動いたのだろうけれど、終わり良ければすべて良しっていう言葉もあるくらいだしね。




 川原くん(けいご)と俺が歩み寄ったことで、円滑に回りはじめた引継ぎは思っていた以上に順調で、しかも彼は春休みにみんなが推薦していただけあってとても優秀だ。

「恒くん」

 いつの間にやら下級生からは名前で呼ばれるようになっていて、俺もそれを当たり前に思うようになるまでにはそんなに時間もかからなかった。

 パソコンの画面を覗きながら難しい表情をしている圭吾の隣に座ると、ほんの少しだけ頰が朱くなる。気持ちを知ってしまうと、そんなところにまで気づくのに、俺って本当に鈍かったんだなぁと感じてしまう。

「……こんな風に和己くんと高槻くんの予定が合わない場合は?」

「こういう時は……」

 尋ねられたことに丁寧に答えていく。

 俺たちもこれからしっかりと信頼関係が築いていけるといいな。


 ◇◇◇


 五月の連休も明けて中間テストが終わると、めでたく俺の誕生日だ。

 昨年は和己に対しては無自覚だったし、学校と生徒会にようやく慣れてきた頃だったから、気がついたら過ぎ去っていたんだよね。

「本当は、昨年も恒の誕生日は分かってたし、お祝いしたかったんだ」

 拗ねたような口調の和己は、なんだかかわいいなって思う。

「でも、俺は恒のことが好きだって自覚してたけど、付き合ってるわけでもないのに独占することもできないしで、結局は何もできなかったんだよなぁ」

 そこで盛大にため息をついた和己が、だからと続ける。

「だから、今年は二回分、誕生日のお祝いしよう」

 当日の放課後と、その週末の予定が埋まりました。

 和己の誕生日の時に思ったけど、恋人におめでとうって伝えるのはすごく特別感があったんだよね。きっとお祝いしてもらえるのも特別なんだろうなって思うと、それだけでドキドキしてしまう。

 帰り道、歩いていると時々触れる指先から、和己のことが好きな気持ちがあふれて、ただそれだけのことがいつまで経っても嬉しいと感じる。

「当日は生徒会サボってデートしよう」

 ささやいた和己の指先を捕まえて、ぎゅっとしてからすぐに離す。俺が嬉しいと思ったことが通じてたらいいなと見上げると、想像していた以上に優しい瞳に出会う。

 そんな和己を見てしまうと、人目とか気にせずにキスしたくなってしまって困る。ーー気づいたら一年以上側にいて、恋人になってからもうすぐ一年経とうとしているのに、ずっと俺は和己にときめいている。

更新遅くなりました。

いろいろ回収して、次に繋げていけたらなと思ってます。


これの続きの前にムーンの更新になりそうな予感です。

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