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夢のかけら  作者: 高原 涼子
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 自覚した好きな気持ちが、あふれそうになる。




 今までと同じようにしてるつもりなんだけど、挙動不審なところもあるみたいで。

 テスト明け、短縮授業になっているけど、生徒会の用事で残ることになっている俺たちは学食で昼ご飯中だった。

「期末テストの直前くらいから突然挙動不審になったのは」

 俊が意味ありげに笑う。それはもう、楽しそうに。

「本人以外の生徒会メンバー全員にバレてる、和己兄への恋心を自覚したから?」

「……っ」

 噎せた。

 口の中に何も入ってないタイミングで言われたのは、絶対こうなるってわかってたからに違いない。

  「……バレてた?」

 咳き込みすぎて息が苦しい。

 滲んだ涙をふいて尋ねると、俊だけでなく弘夢も頷いている。

「先輩には、バレてない?」

「和己兄が他人のことにはすぐ気づく割に、自分のことには鈍感だってはじめて知った」

「……恒も十分すぎるほど鈍感だと思うけど」

 弘夢の言葉に頷いたあと、俊がボソッと呟いた。確かに自分の気持ちに気づかないくらい鈍感なのは認めるしかないから、俺も苦笑いする。

 先輩には気づかれてないと分かって安心した。だって周りの恋愛に寛容でも、自分に対して同性からそういう気持ちを向けられるのは嫌かもしれないから。知られて距離を置かれるより、そっと思っている方がいい。

「バレてないならいいや」

 俺の言葉に弘夢が驚いた表情を見せる。

「どうしてか聞いてもいい?」

「だって先輩が同性と付き合うことができる人なのか、俺、知らないから」

 まだ知り合ってからたったの三ヶ月だ。

 弘夢たちのように同じクラスで行動を共にしていればそんな事も分かってくるのかもしれないけど、放課後の数時間を割と忙しく過ごしているだけでは、踏みこんだ話なんかほとんどしてない。

 知っているのは頼れるところと、割と調子に乗りやすくて残念な一面。後はもうとにかく綺麗な顔してること。俺の周りの人たちはみんな整ってるなと思うけど、和己先輩は別格だと思う。

 好きな人ができるって、すごいことだと思う。だって、それだけで学校に行く楽しみが増えた。放課後が待ち遠しくなった。

 周囲にも隠しておかなければいけないなら、つらくなることもあるだろうけど、幸いなことに俺の友人は受け入れてくれている。かなり恵まれた環境だなと改めて感じた。

「付き合いたいって思わない?」

 弘夢から重ねて問いかけられる。俊も興味津々といった様子で俺を見る。

「正直にいうと、わからないんだよな。今の状態ってかなり居心地がいいし、会長付っていうのもあって放課後にずっと側にいるのは当たり前だし。どちらかといえば、告白して居場所がなくなる方が怖いよ」

 本音を伝えると、複雑な表情が返された。

「俺もひろも余計なことは絶対にしないから、その代わりに何かあったら教えて。グチでもなんでも聞くから」

 俊の優しい言葉に頷いた。

片思いの時期って楽しい。

好きな人のこと考えるのは幸せ。

じゃあその先は、もっと幸せ?


モジモジの方向で続きました。

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