モメントクリティコ
【あらすじ】
天貝雄哉は、未来から狙われている。
暗殺者4人が送り込まれてきた。
その未来は、雄哉を殺すという決定を下した後に、
それを撤回したが、送り込まれた暗殺者への撤回命令が
間に合わず、現在の世界での捜索活動が始まったのだが。
【登場人物】
・鉄道研究部
天貝雄哉 本編の主人公、未来の暗殺者に狙われているが自覚なし
刈谷朱音 鉄道研究部部長、3年
奥府正也 鉄道研究部副部長、3年、撮り鉄
黒崎真二 鉄道研究部2年、野球部と兼務
布良肇 鉄道研究部2年、乗り鉄
恩田健太郎 鉄道研究部1年、雄哉の誘いで鉄道研究部へ入部
浜河百合子 鉄道研究部1年、雄哉に一目惚れし入部
佐々木 鉄道研究部1年
・未来人
ウリエル 未来の暗殺者 四天王の一人
現在は、雄哉を守る立場として居候中
ミカエル 未来の暗殺者 四天王の一人
現在の世界に滞在、捜索中
ガブリエル 未来の暗殺者 四天王の一人
現在の世界に滞在、捜索中
ラファエル 未来の暗殺者 四天王の一人
現在の世界に滞在、捜索中
天田由紀子 未来から来た謎の女性、臨時教員、鉄道研究部顧問
彼は追われていた。
理由は分からない。
分かっていることは、黒い髪の美少女に見とれ、目が合った瞬間に襲撃され、
押し倒された。
「おぉ、積極的だな」
そんな風に思ったのだが、
押し倒されただけではなく、首を絞められた。
「いや、これはやばい」
隙をみて逃げてきたのだ。
謎の美少女が迫っている。
彼は、必死に逃げるが、すぐに追いつかれてしまう。
短距離は得意だが、中長距離は苦手なのだ。
目の前に選択肢が現れる。
「右か、左か?
こういう時は左。
あぁ、お決まりのパターンか」
彼はうなだれてしまう。
そこは行き止まり、ついに追いつかれてしまう。
「ちょっと待ってよ。
落ち着いて。
確かに俺は君を見て少し興奮したことは謝るよ。
でも殺すのはやりすぎ、、、」
彼の言葉の途中で、少女が襲い掛かってきたからだ。
とっさに身をよじり交わす。
この隙に反対方向へ逃げる。
しかし、彼と少女の身体能力には差がありすぎた。
彼は押し倒され、少女が懐から鋭利な刃物を取り出す。
「悪いけど、死んでもらうわ」
美少女のそのクールな声で彼は死を悟る。
走馬灯のように、彼の人生が脳裏を駆けめぐる。
「僕の人生って何だったんだろうな」
それは、数分ほど前のことだった。
「今日は、野菜がやすかったな。
こんなに買い込んじゃったよ」
本当は、バック1袋くらい購入する予定だったのだが、
持参した袋に入りきれず、ビニール袋を購入してしまったのだ。
左手にバック、右手にビニール袋、両手がふさがった状態だった。
「重い、こんなに買うんじゃなかった。
自転車に乗るかな?」
そんな心配をしながら自転車乗り場に向かう。
駐輪場は建物の影にあり、駐車場からは見えない。
ほとんどのお客が車で来ているので、滅多に人はこない。
彼が自分の自転車を見つけるが、今日は少し違っていた。
「あれっ、人がいる」
自分の自転車付近に人がいた。
それも、黒い髪の美少女であった。
その妖艶さは人を魅了する物だった。
彼は見とれてしまった。
顔の表情が緩む。
「すごいかわいい子だな」
彼は、子供が好きなわけではない。
それでも、その美しさは誰をも魅了するくらいのものであった。
「でも、あそこにいると、自転車だせないな」
そう思った時に彼女が近づいてくる。
彼は、横を通り抜けようとしたのだが、
その少女は、彼の行方を妨げるように歩いてきた。
「よけてくれよ」
そう思いながら歩いていたが、このままではぶつかってしまう。
彼は、よけようとするが、少女も同じ方向によける。
ぶつかりそうになった。
「おっ、ごめんよ」
そう言って、横を通り抜けようとしたのだが、
その少女は、明らかに彼の行く道を妨げたのだった。
「うらみはないけど、死んで」
そして、彼は、いきなり襲撃されたのだ。
攻撃は来なかった。
彼は少しずつ、目を開いた。
少女の手を、誰かが押さえている。
その手を振り払い、彼から少女が離れ、身構える。
2人の女性が彼の目の前にいる。
一人は美少女、もう一人は大人の魅力満載の女性であった。
少女はナイフを捨て、素手で女性に遅いかかる。
その女性はその攻撃を受け流す。
戦闘力の差は圧倒的だった。
少女に勝ち目はなく、あっさりと気絶させられた。
彼は、その様子を呆然と見ていた。
立ち上がったものの、足がすくんで動けない。
その彼に女性が近寄る。
「大丈夫?」
「はい、なんとか」
「落し物よ」
その女性が渡してきたのは、駐輪場に置いてきた買い物袋だった。
「ありがとうございました」
「いえ、どういたしまして。
もう、彼女は襲ってこないから安心して」
そういうと、彼女は立ち去った。
「何っだったんだろう」
彼はしばらく立ち尽くしてしまった。
両手には買い物袋をもっている。
「買い物袋を持ってきてくれたのは助かるんだけど、
自転車も持ってきてほしかったな。
はぁ、しょうがない、スーパーまで戻るか」
彼は、自転車を取りに、再びスーパーに戻ることとなった。
彼は、家に着くと、玄関に座り込んでしまった。
我が家に到着した安堵かんから、そこから1歩も動くことができない。
今日あった出来事を思い出してみる。
「あの少女ななぜ僕を殺そうとしていたのか」
彼は、あの少女のことを思い出してみる。
ミステリアスな美少女という言葉が最適な少女だった。
「あの女性は?
たまたま通りすがりの人なのか」
その女性は、大人の魅力満載の女性だった。
彼は2人を思い浮かべる。
あんなことがあったが、2人とももう一度会ってみたいと
思っていた。
「それにしても無事でよかった」
まだ、玄関で体育座りしている。
自分の無事を喜んでいた。
安堵の気持ちから、さらに動きが鈍る。
その時、時計が鳴る。
「あっ、もうこんな時間か」
今日は雲ひとつない快晴であった。
西側の窓をあける。
そこには橙色の夕日が映えていた。
彼がこの物件に選んだ理由がこの夕日だった。
「いつ見ても、綺麗だなぁ~」
先ほどまでの騒がしさから一転、これから夜の闇へと向かう。
その状態を彼は、1人で何もせずするのが日課だった。
「よし、明日も頑張るぞ」
これから、始まる彼の激動の日々とは反対に夕日は静かに彼を照らしていた。




