第9話 異世界スローライフの始まりなのか?
俺の目の前にホカホカと湯気を上げている神獣フェンリルのうんこがある。
ルパルパが顔を赤らめ期待の表情で俺を凝視している。
このままでは、本当にうんこを食べさせかねられない。
付き合ってられるか。
スローライフの基本は、自給自足、こんなポンコツAIに付き合ってられるか、自分で野生動物でも捕まえて食材を得ればいいだけのこと。
うんこなんてくそくらえだ。
なんか、セリフとしておかしな気もするがまあいい。
半径500メートル以内には、生き物の気配がかんじられねえ。
食材を得るためには、エネルギー障壁の外に出なければな。
『半径500メートルでエネルギー障壁を展開してあります。
“私の境界を越えようとする者は、誰であろうと滅びるであろう”
マスターゆめゆめ忘れてはいけませんよ。』
「それ死ぬやつだろ、危険なもの設置するんじゃねええ。」
『エネルギー障壁に触れても原子分解するだけです。
マスターだけは、直ぐに宇宙船内において、再構成できますので安心して塵になってください。』
さらっと恐ろしいこと言うんじゃねえええ、笑えないんだよ。
このままでは、埒が明かない、もはや監禁されてるようなもんじゃねえか。
『監禁?見解の相違ですマスター。』
ルパルパが顔をやや傾け、上目使い鋭く俺を凝視した。
こえええなああ、おい。
「聞け、ルパルパ、お前は宇宙船のAIだ、それが入っているその体は、
もはや宇宙船と言えるのではないのか?
つまりだ、お前に肩車でもおんぶでも乗ってさえいれば、宇宙船に乗っていると言えるだろう。」
『そう来ましたかマスター。』
「そうだ、俺とお前の距離は今、2メートルだ、約束は宇宙船から半径500メートルだったよな、
お前と一緒に行動している限り、俺はどこにでも行けるというわけだ、
今すぐこのエネルギー障壁を解除してもらおうかルパルパ。」
完璧だ、どんなに高性能なAIだろうがこのロジックに反論できまい。
ルパルパは、何か思案しているのか、目を閉じそしてゆっくりと目を開いた。
なんだ、怒ってんのか?
『私とずっと一緒にいるということですね。』
「あ、ああ、それなら500メートル以内に居ることになるだろ。」
『かなり詭弁ですが安全性を担保するため100メートル以内なら…認めてやってもいいんだぞ。』
だぞ?急にもじもじしながらしゃべってんじゃねえ、気持ちわりぃいな。
しかも、地味に5分の1に距離縮めてんじゃねえよ。
「まあ、いい、自由に行動できるしな。それでいい、早くエネルギー障壁を解除しろ。」
『約束ですよ、マスター。』
「ああ…分かった。」
『私から、100メートル以上離れたら、船外とみなし、即座に原子分解及び
身体再構築しますからね。約束ですよ。』
しつこいんだよ。
わかったって言ってんだろうが。
本当めんどくせえ。
いちいち、重いんだよ。
『それでは、早く私に搭乗してください、私を押し倒して馬乗りになってください。
私は初めてなので、優しくしてくださいね。』
ルパルパが目を閉じて、顔を赤らめている。
「レムス姉さま、あれは何をしようとしているのですか?」
『ラムスあなたには、まだ、早いわ。』
ふざけんなああああ、言い方あああ、言い方に気を付けろこのやろおお。
まあいい、まあいい、行動の自由は確保したようなもんだ。
これで、食材探しにやっと出発できる。
いい加減腹が空いてきたぜ。
「ルパルパ、牛丼並盛ランチセットを追加してくれ。」
『承知いたしましたラムス様、マスター580円追加になります。』
「まだ食べんのかクソガキ、勝手に追加注文するんじゃねええ。」
「ルパルパ、とろけるダブルショコラも追加だ。」
『承知いたしましたラムス様、マスター220円追加になります。』
ふざけんなクソガキいいいい、締めのデザートまで頼んでるんじゃねええ。
どんだけ食べるんだこのクソガキは…。
『承知いたしましたレムス様、マスター51,600円追加になります。』
は?
地味に高いな…何も注文してないぞ、どういうことだ?
ピクス型ドローンが宇宙船から何かを運んでくる様子もない。
「ルパルパ、どういうことだ、勝手に請求書回すんじゃない、ラムスは何も注文していないぞ。」
『ラムス様ではなく、レムス様です。
レムス様が仮想空間内でセガサターン本体とサクラ大戦を新品購入されました。
ドリームキャストにするかだいぶ悩まれたようです。』
ふざけんなああああ。
巫女姫じゃなくてセガ信者じゃねええか、神様を信仰しろくそがああああ。
しかも、こいつも勝手にポチるタイプか?
糞兄弟があああ。
『レムス様は、魔道物語A・R・Sもご検討されているようです。』
やめろおおお、それはまだ早い、というか、何でそれを選ぶんだ。
アルル推しなら伝説の落ちものゲームがあるだろうがあああ。
まだ、冷凍冬眠から目が覚めて1時間程度しかたっていないはずだよな?
どうしてこうなった…。
負債総額257億3755万8375円
落ち着け、慌てる必要はない、俺の異世界スローライフは、まだ始まったばかり。
そう、戦いはこれからだ。
俺はオプションの木の棒を強く握りしめた…お前だけが頼りだ。
お読みいただき、ありがとうございます。
本作はゆるいノリで建国系スローライフ異世界魔法ファンタジーとして展開していく予定です。
面白いと感じて頂けましたら【評価★★★★★】【ブクマ】【感想】を頂けると嬉しいです。
あと、同じ世界線(12000年後)の別シリーズもございます。
そちらは極寒シリアス系なので、興味があったら覗いてみてください。
【深緋瞳の魔王孵化器】
迷宮の底で僕は宇宙を語るエルフと赤い瞳の少女に拾われた・観測外異世界物語




