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第2話 白き衣の神の降臨なのか?

 『発射シークエンス、27、26、25…。』


 そういうことか、分かったぞルパお前の魂胆が。

 俺のことを最後の乗員だと言ったな。

 しかも、お前の使命は、乗員の命を守ること…。


 つまりだ、俺をこの船から出したくないんだろ。

 逃がさないために、惑星ごと吹き飛ばすつもりだな。


 『見解の相違です。24、23、22…。』


 50万年も放置されたせいで、すっかり狂ってやがるこのAI…。

 どうする、どうすればいい。

 考えろ俺…。


 「ルパ、俺の話を聞け、お前のセンサー範囲内は、船内みたいなもんだ、

 お前のセンサー範囲内から出ないから、惑星破壊は止めろ。」


 『1メートル以内なら…。』


 「狭すぎんだろ、ドラゴンと推測される大型現住生物感知してたよね?

 ドラゴンまだ見えないんですけど、明らかに嘘ついてるよね?

 せめて、半径1キロとかにしろよ。」


 『21、20、19…。』


 カウントダウン止めろこのポンコツ野郎。

 こちらの思考読めるのに、都合の悪いときはシカトかよ。


 「半径500メートル以内から出ないから、発射止めろ。」


 『本当に…。』


 「本当だ、約束する、半径500メートル以内から出ないから。」


 『わかりました、ですが、エネルギー充填が120%を超えたので、

 発射自体を停止することができません。発射シークエンスを現段階で停止した場合、

 爆発により惑星が消滅します。安全区画がありますので中にお入りくださいマスター。』


 このやろおおお。

 まるで、めんどくさい地雷女みたいなAIだ…。


 「空に向けて発射しろ、それくらいできるだろ。」


 『ちっ…。』


 こいつ、今舌打ちしなかったか?

 わざとミスリードするような情報だけよこしてきやがったな…。

 サイコパスAIだ。


 大きな地響きを立てて、主砲の仰角が変わっていく。

 主砲の先端が地下空洞の天井に当たって、落盤が生じていた。


 『発射します。』


 「カウントダウンどうした、まだ、19から先あるだろ。」


 『雰囲気づくりでしたが、止めました。』


 雰囲気作りは最後までちゃんとやれこの野郎。

 巨大な2本柱のような主砲の間に複数の稲妻が走る。

 一瞬にして、光の粒子が収束し、一条の光の矢が天に向けて放たれた。


 世界が漂白されたように、真っ白になっていく。

 音のない静寂の世界が広がっていくように感じられる。


 後の世に神の降臨と語り継がれる天を貫く光の柱が屹立していた。


 

   “白き衣纏いし神は光の柱と共に現れた” 

               創世神話第1節



 遅れて響く轟音と、爆風と熱で一気に現実に引き戻される。

 俺の履いていたブリーフが焼け焦げて、塵になって崩れ落ちた。

 何故か俺は無傷だった。


 どういうことだ、なぜ、ブリーフは塵になって、俺は無事なんだ?


 『ナブラ計算式の説明聞く気あるなら説明しますが、どうしますかマスター。』


 九九ができる俺にはそんな説明は必要ない。

 状況から導きだされること、つまり、俺はチートってことだ。

 少なくとも俺は、ブリーフより強いことが証明されたな。

 わはははは。


 『バカでありがとうございますマスター。』


 「おうよ。」


 感謝されたにしては、バカにされたような気もするな?

 宇宙船の真上には、巨大な穴がぽっかりと開いており、遥か遠くに青空のようなものが見えていた。

 確かにここが地下なのだということがはっきりした。

 

 というか何で、こいつは地下に埋まってるんだ?

 まあいいか、風通しもよくなったしな。


 「ルパ、命令だ、パンツよこせ。」


 全裸は良くない、文明人としてはパンツを履かないとな。

 俺は、ルパが射出したブリーフを履いて、宇宙船を降り立ち、周囲の様子を確認することにした。

 2枚目の履き心地も悪くない、しかし、白無地なのが残念だ。


 「ルパ、一応なんか武器とかあるか?」


 『割り箸がありますが、使用されますか?』


 「なめてんのか?すぐ2つに割れちまうだろーが。」


 どうもルパは俺のことを舐めている。

 絶対にそうだ、全権を俺に移譲しているとか絶対に嘘な気がする。

 それとも、言葉遊びでうまくかわしているのか?


 『絶対に、私から半径500メートル以上離れないでください。』


 「わかってるよ、約束だからな。」


 『絶対ですよ。』


 「はいはい、いちいち、重いんだよお前は。」


 『半径500メートルでエネルギー障壁を展開してあります。

     “私の境界を越えようとする者は、誰であろうと滅びるであろう”

 肝に銘じてくださいマスター。』


 「こえーこと言うんだな、おい。」


 本当、なんとなく、まだ受刑しているような気分だぜ。

 まあ、範囲内に何があるか確認してから、今後の方針でも考えるか。


 ん?


 おそらく、境界ギリギリなのだろう、境界の向こうは空間が歪んで見える。

 その内側に、人影が倒れているように見えた。


 近づいて確認してみると。

 双子なのだろうか、10歳くらいの男の子と女の子が地面に倒れていた。

 子供2人なら割り箸がなくても余裕だぜ。


 地面に倒れている双子が、僅かに動いている。

 生きてはいるようだな。


 俺は、双子が目を覚ました時に備えて、かっこよく見えるポーズを考えた。


 『マスター、パンツ1枚では、変質者ですからね。』


 うるせえんだよ。



お読みいただき、ありがとうございます。

本作はゆるいノリで建国系スローライフ異世界魔法ファンタジーとして展開していく予定です。

面白いと感じて頂けましたら【評価★★★★★】【ブクマ】【感想】を頂けると嬉しいです。

あと、同じ世界線(12000年後)の別シリーズもございます。

そちらは極寒シリアス系なので、興味があったら覗いてみてください。

【深緋瞳の魔王孵化器】

 迷宮の底で僕は宇宙を語るエルフと赤い瞳の少女に拾われた・観測外異世界物語


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