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42話 早朝の出来事

(ピーちゃん……いや、ピロさん……貴方がリトルナイト倶楽部をめちゃくちゃにした犯人なのはとっくにバレてるよ……)


 トールはこの状況になることを全て予測していた。


 犯人の目当ては私であることも突き止めた。



 遡ること数時間前……



 早朝。私はピントと共にホウキで空を飛び、待ち合わせ場所へと移動した。


 待ち合わせ先は公園の駐車場。駐車場へと移動すると、見るからに高級そうな大型車の扉が開いてトールが姿を現した。


「こっちこっち。早く」


 トールは手招きして私を迎え入れてくれた。


「トールおはよ〜、ってすごっ!」


『車の中広〜い!』


 車内はもはや室内だった。寝転がれるほどに広々としており、室内に置かれている物のひとつひとつはどれも高そうだった。


「カエおはよう。昨日渡した妖怪避けは使った?」


「使ったよ、これで改造リトルナイトは近寄れないんだよね?」


 私は昨日、トールから貰ったキーホルダーの魔法道具を見せた。


「うんバッチリ。多分ここには改造リトルナイトは近付いてない筈」


「さてと……トール、朝早くから集まって何するの?」


「昨日、徹底的に調べ物をした。それにまつわる報告をしたい」


 トールは話をしつつ、私とピントに座席に座るよう促してきた。私は返事をしながら座り心地の良さそうな椅子に座った。


『フカフカ〜!』


 ピントはこれまた高級そうなリトルナイトサイズの椅子に座り、椅子の感覚を楽しんでいた。


「確かトールは部活動を荒らした犯人について調べ物をしたんだっけ? でもそれって、私に話したところで……」


「違う、カエに1番関係ある話。絶対に聞いた方がいい」


「えっ?」


 トールの発言に、私は思わず声を漏らす。


『部活動を荒らした人とカエが関係あるの?』


「その通り」


 ピントは椅子に深く腰掛けながらトールに尋ね、トールは素直に答える。


「そもそもの発端は……あ、どうやら来たみたい」


「あれ? 他に待ち合わせしてた人がいるの?」


「うん」


 因みに、この待ち合わせの相手はフレアではない。

 トール曰く、「フレアは顔に全部出そうだったから」とのことで、この話し合いには参加させていない。


「失礼します」


 そんなこんなで待ち合わせの相手が到着。扉が開かれ、車内に新たな人物が入ってきた。


「えっ?」


 意外な人物だった。私は驚きから目を丸くして、ピントは大はしゃぎで椅子から立ち上がった。


『あー! テレビに出てた人だ!』


「こらピント、騒がないの」


「あはは。いいよ、本当のことだからね」


 車内に入ってきたのはなんと、リトルナイト大会の選手としても名高い有名人、アラン・レイコード先輩だった。


「えっと……始めまして、私はカエ・オームラです」


「始めまして。私はアラン・レイコード、よろしく」


 私は少し緊張気味に自己紹介をした。対するレイコード先輩は慣れた様子で自己紹介を返す。


「そして私の隣にいるのは相棒のムーンライトだよ」


『…………』


『僕ピント、よろしくね』


 レイコード先輩の鞄から現れたリトルナイトは無言のまま私に一礼してくれた。

 そんなムーンライトに対しピントは、緊張感のない気軽な挨拶を返す。


「トール……何でここにレイコードさんが……?」


『事件と関係あるの?』


「その通り」


 ピントの発言にトールは答える。


「アランお姉様は今回の事件に特に重要な人物だったから呼んだ」


「お姉様……」


「アランお姉様は私と遠い親戚。事件をきっかけにアランお姉様から色々と話を聞いていくうちに、ことの発端はアランお姉様が原因かもしれないことが分かった」


「どういうこと……?」


「そのままの意味だよ。全ては私の発言ひとつから始まったことなんだ」


 座席に座ったレイコード先輩は、私に顔を向けて一言告げた。


「リトルナイト倶楽部を荒らした犯人は、私の過激なファンなんだ」


「ファン……?」


「順を追って説明するよ」


 レイコード先輩は真剣な眼差しを私に向け、話を始めた。


「オームラさん、貴方は前にリトルナイト工房でリトルファイトをしていたね?」


「あ、はい。初心者狩りと戦いました」


「その時、私も遠くから観戦していたんだ。君のリトルナイト捌きは実に素晴らしかったよ」


「ありがとうございます……」


 リトルファイトの選手からリトルファイトを褒められ、私は恐縮しながら礼を述べた。


『やった〜! 褒められた〜!』


 ピントは相変わらずマイペースで、褒められたことに大喜びしていた。


「後日、トールから君のことを聞いてね……それから、ますます君に興味を持ったよ」


「そんな……恐れ多いです」


「そしてある日。君を学園で見かけた際、思わずその場にいる友人にリトルナイト工房での君の活躍ぶりを話してしまったんだ」


「私のことを?」


「うん。そして、リトルファイト部の面々につい溢してしまったんだ。あの子は始めたてあの子がリトルファイト部に来てくれたら……と」


 レイコード先輩は申し訳なさそうに私に告げる。


「……恐らく、この発言が原因だと思われるよ」


「……えっ? まさかそれだけ……ですか?」


 レイコード先輩はただ私の話を部員にしただけだ。


「私が部員に話し、部員が他の子に溢した可能性があるんだ。そして発言はやがてファンの耳に入り……」


「えっと……」


「話をまとめると……私が「カエ・オームラさんが欲しい」と言ったばかりに、一部の過激なファンがオームラさんをリトルファイト部に入れようと……」


「それって……私をリトルナイト倶楽部から退部させて、リトルファイト部に入れようとする人がいた……って、ことですか?」


「その通りだ」


「そんなまさか……」


 もしレイコード先輩の話が本当なら、私を退部させるためにリトルナイト倶楽部の部室を台無しにして、その上で部員に不良をけしかけたことになる。

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