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41話 犯人確保への道

 次の日。早朝からトールと落ち合い、ちょっとした準備をしてから学園に向かった。


 学園に到着したらリトルナイト倶楽部を休止したと周りに伝え、後は普通に過ごすだけ。


 そんなこんなであっという間に放課後に。


(何事もなく1日が終わりそう……)


 トールとフレア、そしてスミは別々に用事があるので、今日は私とピントだけで帰宅することとなる。


 ピントをロッカーから回収した私は、すぐに教室から退散する。


「オームラさーん」


「ん?」


 教室から出て歩き始めたところで、唐突に誰かに名指しで呼び止められた。


「ねえ、あなたオームラさんだよね?」


「あ、うん……」


 声を掛けてきたのは見知らぬ女子生徒。長い髪を2つに縛った可愛らしい子で、恐らく3組の生徒だ。


「えーと……」


「あ、私のことはピーちゃんって呼んでね! あのね、オームラさんにちょっと頼みたいことがあるんだけどぉ、実はね……」


 相手はピーちゃんと名乗り、間髪入れずに一方的に話しかけてきた。


「私、リトルファイト部に行きたいんだけどぉ……私1人だと不安でぇ……」


「リトルファイト部?」


「ほら、みんなもう部活動に入ってるから、今更入りづらくってぇ……」


「大丈夫大丈夫、今からでも遅くはないよ」


「無理ぃ! 私、オームラさんと違ってそんな度胸ないもん!」


 ピーちゃんは無理無理言って頭を何度も横に振る。


「だからね、そんな度胸のあるオームラさんについて来てほしいなーって」


「度胸って……いや、そもそも私はそんなことしてる暇はないんだけど……」


「部活動あるの?」


「いや、休止してるけど……」


「なら決まり! オームラさん、リトルファイト部までよろしくね!」


 ピーちゃんに腕を掴まれ、半ば強引にリトルファイト部へと向かうことになってしまった。なんでこんなことに……


(……まあいいか。すぐに案内して、すぐに帰ろう)


 私はピーちゃんからすぐにでも解放されるために、とりあえず一緒にリトルファイト部に向かうことにした。



「オームラさんありがとぉ〜! 優しい〜!」


「いや、流れで仕方なく……」


「え〜?」


(え〜? って……ほぼ強制みたいな感じだったじゃん……)


 そんなこんなで、2人きりで校内を歩く。


 道中、ピーちゃんはしきりに私に話しかけてきた。


「ねえ、オームラさん。部活動休止したなら、一緒にリトルファイト部に入らない?」


「いや、私はパス。リトルナイトはまだ始めたての初心者だし、分からないことだらけで全然だからさ」


「そんなことないよぉ〜! オームラさんが入ったらすぐ1軍になれるってぇ! それにね、私聞いたんだぁ! オームラさんはすごいって!」


「何がすごいの……?」


 ピーちゃんは楽しそうに会話を続ける。主にリトルファイト部の話を。


「リトルファイト部はそんな難しいところじゃないよぉ? 初心者でも安心して入れる部活動なんだからぁ!」


「そうなんだ……でも、私はやめとくよ」


「何でぇ?」


「まだリトルナイトは始めたてだから。リトルファイトが楽しくなったら、もしかしたら入るかもだけどね」


「ふーん……あっ! リトルファイト部の部室見えてきたよぉ!」


 そんなこんなであっという間にリトルファイト部に到着した。これで私はお役御免だ。


「オームラさん! ついて来てっ!」


「はいはい」


 ピーちゃんは私の腕を掴んでリトルファイト部に突撃した。


「失礼しまーすっ!」


 リトルファイト部にはかなりの数の部員がいて、部室に入って来た私達を凝視している。確かにこれは1人では入りづらいかも。


「こんにちは」


 部室に入って来た私達を1人の女子生徒が出迎えてくれた。


「君達、このリトルファイト部に何しに来たのかな?」


 彼女はリトルファイト部の部長、アラン・レイコード先輩だ。

 美しい容姿をした魔女で、あまりにも綺麗で周りが輝いて見えるほどだ。


「アラン様っ! じゃなかった! レイコード先輩、あのぅ……」


「ん? もしかして君、入部希望者かな?」


「はいっ! 私達2人でリトルファイト部に入部しに来ましたぁ!」


「えっ」


 私はリトルファイト部に入るつもりはない。

 しかしピーちゃんの脳内では、私はリトルファイト部に入部することになっていたらしい。


「あの、私は違い……」


 私はすぐに訂正しようとした。


 しかし訂正しようとしたその時、隣にいたピーちゃんは相手から見えないようにしながら私の片腕を掴んできた。

 そして、私の腕をぎゅっと握りしめてきた。いや、そんなことされても……


「私は入部希望者ではありません。この子が1人で行くのは無理って言ってたので、付き添いで来ただけです」


「え〜? それはオームラさんでしょ?」


「私?」


「1人で行くのは恥ずかしいからって、私を誘っておいてぇ……もう、照れ屋さんなんだからぁ」


「いや、違います」


 ピーちゃんがしていたことを私にすり替えられた。けれど私は何度でも訂正する。


 心なしか掴まれた腕を雑巾のごとく絞られている気がするけど動じない。


「あの、私はもう役目は終えたのでこれで……」


「ごめんなさい先輩!」


 私はどうにかして帰ろうとするも、ピーちゃんは全身を使って強引に止めてきた上に、更にとんでもないことを口にした。


「この子、ここまで来たのに唐突に恥ずかしくなっちゃったみたいでぇ……!」


「えっ? いや、だから違うって……」


「大丈夫だから! 心配しないでオームラさんっ!」


 私はどうにかしてこの場から離れようとするも、ピーちゃんに強引に止められる。

 これではまるで、私が照れ隠しでこの場から出ようとしてるみたいだ。


「分かった分かった。とりあえず個別でテストを受けてもらうとしよう」


「えぇ……」


 私はピーちゃんにより強引に引き止められた上に、なんとリトルファイト部の入部テストを受けることになってしまったのだった。





 と、いうのは嘘だ。


(…………まさか、ここまでトールの思い通りになるとは)


 私が1人になった途端、リトルナイト倶楽部を台無しにした犯人が私に接触してくるのはトールが既に予測済み。


 何故リトルナイト倶楽部を台無しにしたのか、何故私を狙ったのか。それはトールが事前に調べ尽くし、解き明かしていた。


(ピーちゃん……いや、ピロさん……貴方がリトルナイト倶楽部をめちゃくちゃにした犯人なのはとっくにバレてるよ……)

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