エピローグ「光」
周囲の木々は桃色に色付き、教会にはステンドグラスを通して光が差し込んでいた。
「白石さん。いかがでしょうか?」
プランナーの女性が薄いカーテン越しに声をかける。
「どうですかね……自信無くて。ちょっと見てもらってもいいですか?」
由紀子は下を向いて言った。
「失礼します。」
落ち着いた声とともにスーツ姿の女性が現れた。
首にスカーフを巻いており、整った姿である。
「お綺麗ですよ。よく似合ってます。」
女性は優しく笑って語りかけた。
「私……不安で……。ほら、もう30オーバーでしょ?年下の男性と結婚ってなると並んだ時に……釣り合わないんじゃないかって……」
由紀子は女性の顔を見上げた。
プランナーはゆっくりと跪き、由紀子の両手を優しく握った。
「大丈夫ですよ……大丈夫。」
その温もりに由紀子の中の不安が溶けていくような気がした。
「失礼します。」
低い男性の声がし、振り向くとカーテンの向こうに誰かが立っているようだった。
「主任、着替えの準備が整いました。」
プランナーの女性は立ち上がり、カーテンに向かって言った。
「白石さん、ご相談があるんですが、ガーデン挙式の時間を15分程遅らせてはいかがでしょうか?身内だけの挙式なので多少融通が効きますよ。」
男性は穏やかな口調で言った。
「どうしてですか?」
由紀子はカーテンの向こうを見つめながら聞いた。
「間も無く、雨が降りますよ。」
男性の話し方は落ち着いていて、紛れもない真実のように聞こえた。
「え?こんなにも晴れてるのに?天気予報でも晴れって……」
戸惑う由紀子の横でプランナーの女性が優しく微笑んだ。
「あの人には分かるんですよ。」
そう呟く女性の背後で透き通った鐘の音が響いていた。
「転生」 完




