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シンネンもちつく 偽りの 明けオメ
「あけましておめでとうございます。」
普段、被災者同士なら気を使って発しないが、知らない相手は当然のごとく挨拶してくる。
「おめでとうございます。」
本心ではないが、しかたがないので、気丈に振舞う。
避難所では、せめて年明けらしく過ごそうと、餅つき大会が始まった。が、そこで困るのは挨拶だ。
「あけましておめでとうございます。」
集まる人の中には身内を無くした人もいるはずだが、この時ばかりは気持ちだけでも明るくと、嘘でもみなおめでとうという。
確かにご愁傷様というのは変な気もするし、大変でしたねというのも上から目線に感じる。よくぞご無事でというほど親しい間柄の人ばかりでもない。
新年早々、嘘はつきたくないが、ここは信念をもっておめでとうというしかあるまい。
避難所のさびしい食事に飽きたところなので、久々のきなこと餡子の餅はうまかった。




