前半戦はまずまず
強豪だ。と航が言うので結奈はハラハラしながら試合を見ていたのだが、素人目に見てもこちらが圧倒的に強かった。
陸翔が2年生ながら10番を付け、大活躍していた。瞬く間にハットトリックを決めてしまった。愁平は守備の要らしく、敵の猛攻を幾度も防いでいた。
結奈はコーチの隣で、点数と決めた人物を記録していたのだが、コーチに「陸翔と愁平が相手にしてるのは3年だぞ。」とさらりといわれて目を見張って試合を見ていた。
航は陸翔のアシストで目立たなかったが、小さい体をすっと敵と敵の間に滑り込ませて点を取って行った。
七海はビデオでまんべんなく全体を撮り、その妹生粋は部分々々立派なカメラで撮影していた。
「お疲れ様です!」
結奈は保冷バッグからスポーツドリンクを取りだし、選手に配った。
4-0でこちらが勝っている。
「ありがとう。」
と陸翔が笑って受け取った。
「どう?初マネの感触は。」
「思ってた以上に楽しい!」
「生で見るのは初めてか?」
航が飲み終わったドリンクを結奈に渡した。
「いえ。弟の試合をたまに見に行ってたので。でも、小学生の時のしか見てないから、こんなすごいのは初めてです。」
「そうか。」
「ずる。してるだろ」
突然、そんな声が聞こえた。
こちらのテントから少し離れた所にある、相手チームの声だった。
「ぜってー、能力使ってんだろ。」
「わ、ずるー。」
「てか、ルール違反だろ。」
「レッドカードだせよ、審判。使えねー。」
悪意のこもったその声に、結奈は歯噛みした。
陸翔は透明になんてなっていないし、愁平も雨を降らせていない。
他の部員にも聞こえているであろうその声に、チーム内がシンとした。
「なめやがって・・・能力なんか使わなくても瞬殺だっつーの。」
航がそう歯噛みした。
後半はどうやら、混沌としそうだ。と七海が呟いたのはどこまで聞こえたのだろうか。




