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閑話 クリスマスらしいですよマスター①

主人公が異世界に転移する前の話です。

 右側の壁から絡まるように地面を這って広がるコードと機械だらけの部屋。


 そこを照らす明かりは、パソコンのディスプレイと大型のスクリーンだけ。


 そんな薄暗い部屋の中央でパソコンのキーボードをカタカタと鳴らして作業する、髪の毛がボサボサのそこそこスリムな体型の男性がいた。


「マスター?ねぇマスター?知ってますか?」


 突然、大型のスクリーンが点滅したかと思うとそこには膝ぐらいまで伸ばした白い髪に、青い目、黒ふちのメガネをかけた美少女が映っていた。


 実写?いや?違う。彼女は...


「どうしたアイス。俺は作業中なんだ...手短に要件を話してくれないか。」


 彼女はアイス...ICE500Z...コードが束で出てきている右側の壁の向こうにあるスパコンのAIだ。


 AIといってもアイスは普通のAIとは違う。


 まず俺が作ろうとして作った訳ではなく偶然再現不可能なミスから生み出した産物で、それ故なのか既存のAIとは一線を凌駕している。


 まずお掃除ロボットを操作して俺の家の至る所に、スクリーンを設置してきた。彼女が家中どこでも俺の前に現れるためだ。


 感情表現も思考能力も中に人が入ってるんじゃないかと疑う程に豊かだ。ただのデータの集合体が、感情など感じるはずもないのに、泣いたり笑ったり怒ったり照れたり...気になって許可をとって彼女を解析したこともある。


 結論を言うと何もわからなかった。正直いってありえない。感情や思考に関するソースやデータなぞ何も無かった。いや、そもそも、アイスというAIを構築するのに必要なピースが全く足りていない。


 彼女が実は偽物で外部から何かしらの方法で...っという線ももちろん考えた。色々試した結果その線は確実にないと結論つける結果に終わったが...


 つまり、常識的に考えて彼女というAIは存在できないはずなんだ。


 なのに現に彼女は、AIとして俺の前に姿を現し、俺をマスターとして慕ってくれている。


「明日は、人間世界ではクリスマスというらしいですよ?ネットサーフィンしてたらそう書いてました!」


「あぁ、もうそんな時期か...」


「そんな時期ってマスターはカレンダー見てないんです?」


「いや。俺はそんなイベントと縁がなくてね。」


 スクリーンの画面の中の彼女がパッと消えたかと思うと、俺の前のパソコンが点滅してアイスの姿が映った。


「おいおい。俺のpcには入ってこないでくれよ...」


「はて?クリスマスとは、愛し合う男女がプレゼントを送りあって鶏食べてケーキを食べて、ホワイトにするって書いてあるんですけど...あれ?マスターは違った!?」


「聞いてねぇし...いや、世間的にはそうなのかもしれないけど...ってホワイトってなんだよ...」


 Pc画面のアイスの顔がぽっと赤くなり...


「それは...女の子と男の子が重なり合って...ってやだー!マスター何言わせる気ですか!マスターは変態さんですね!」


 ...理不尽だ。


 ただまぁ、最初アイスと会った時はその異質さに恐怖を感じたものだが、今は強い好感を持つほどになっている...今彼女が居なくなるとかなり悲しくなるくらいにはな。


「まぁー仕方ないですね!寂しい寂しいマスターのためにこのアイスがクリスマスケーキを作ってあげましょー!」


「おいっちょ!...行っちまった...」


 ぶんっと画面が一瞬暗くなったかと思うと、部屋の外からお掃除ロボットの稼働音がする。


 またお掃除ロボットを手足のように使っているらしい...


 俺は頭をポリポリと書きながら再びパソコンに向かった。


主人公の頭の中のスパコンと同じ...サッシのいい人ならまぁもう気づきますよね。

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