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どらどら  作者: 細雪
1章、拾われたどらどら
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40、古代竜の郷

『さっさと我らの住処から出ていけ!』となぜか半泣きな妖人族のひとに案内され、わたしたちは無事に魔の森を脱出した。

 幸いにもみんなの知っている場所だったようで、すぐ人里に到着した。


「ええっと、次に行くべきなのは……」

「空色の古代竜と連絡を取らないといけないから、注文している鱗の笛を取りに行かなくてはね」

「じゃあヴィント獣王国(風の国)のガガラスのところだな」

「ここがヴィント獣王国(風の国)がわで助かったね」




 まずわたしたちは、エーアト・ボーデン(大地の国)に行く前の山越えのために預けておいた、竜馬を迎えに行って、それから竜馬に乗って迷宮都市へと向かった。

 まず久しぶりのバルバラ組合長にごあいさつして、さっそくガガラスさんのところへ。

 相変わらず気難しそうで神経質そうなおじさんだったガガラスさんは、とても名残惜しそうな視線を空色の鱗だった笛に注ぎながら、しぶしぶ渡してくれた。

 やたら美しい笛に生まれ変わった空色の鱗は、街の外でイドラちゃんが息を吹き込むと、澄んだ音色を辺りに響かせた。

 10分も待てば頭上に影がさし、そして突風とともに現れた空色の古代竜は、相変わらず息をのむほど美しかった。


『いやあ、驚いたなあ。まさか人の身で鍵を揃えてしまうなんて』

「それで、古代竜!郷はどこにあるんだ!?」


 叫ぶように尋ねたアルフォンスに、古代竜はにんまりと笑うことで応えた。


『この背中に乗ることを許してあげよう。……つまり、乗せていってあげるよ』




 空色の古代竜はやっぱりいじわるで、わたしたちを背中に乗せているのに宙返りしたり、錐もみ飛行したりと、やりたい放題だった。

 もっとも炎の勇者一行は誰も、悲鳴なんて上げなかったというか、あまり気にした風でもなかったけれど。


「なるほど、竜が飛ぶ高さから見れば古代竜の郷の位置がわかるのか……」

「よし、あのあたりだな」


 エリアさんは感心してうなっていたし、アルフォンスなんて地図に郷の位置を書き込む余裕すらあるようだった。




 空色の古代竜が着陸したのは、土がむき出しの広場のような場所だった。

 わたしたちはその背中から降りて初めて、何人もの人に囲まれていることに気づく。


「これ、ソラノ。生まれたての仲間が外で困っていたのに放置を決め込むとは、どうかと思うぞわしは」


 けして大きくはない、しかしよく通る声が口火を切る。なんだかやたらとじじくさい言葉遣いだった。


『うえっ?じいさまなんで知ってんの』

「その前にはよ人化せぬか。首が痛くてかなわんわ」


 空色の古代竜と言い合っているのは、銀髪の青年だった。なぜか杖をついているけれど、当然背筋はしゃんと伸びている。


「そこのうつけは放っておいて……よくぞ郷にいらした、客人がた、そして新たな同胞よ。わしは最古の古代竜、通称じいさまじゃ。そなたらもじいさまと呼ぶといい」


 銀髪の青年、じいさまはにっこりと笑って、わたしたちを歓迎した。




「すまぬのう、鍵を集めるのにずいぶんと難儀したじゃろ?じゃが、わしら古代竜はいろいろと面倒に巻き込まれやすくての……今のかたちにおさまってやっと同胞たちも安寧を手に入れたんじゃ」


 じいさまは、思っていた何倍も気安いひとだった。そして、ほかの古代竜達も、聞いていたのと違い、神秘的さはあまり感じられず……そう、まるで人のようだった。


「本当に生まれたてじゃない。ソラノったら、信じられない」

「いやーん、かわいー!ここ数十年、新しい子が生まれてないから可愛さもひとしおだわぁ!」


 イドラちゃんが、体を固めてわたしを抱きかかえている。

 イドラちゃんの顔はこわばっていた。


「もう大丈夫。これからはこの郷で育てばいいよ」


 その言葉を聞いたイドラちゃんの2本の腕に、ぎゅっと力が入った。


『……わたしはね、みんなといっしょにいたいなあ』

「エステレラ……!」

「ええっ?外は危ないわよ!せめて、エステレラ?あなたが大人になるまで……」


 わたしを心配してくれているのがわかる。けれど、わたしはその言葉をさえぎってしまった。


『それじゃいどらちゃんがしんじゃうもん!』


 焦るあまり、あんまりな言葉が口から飛び出した。

 わたしがあせあせしていると、じいさまがやってきてほほほと笑う。


「そうじゃなあ。わしらは寿命という縛りから解き放たれているが、この世界に生きる者はたいていが年老いて、死んでしまう。仲間は大切にせねばのう」

『じいさま……』

「エステレラ、といったか?よい名をつけてもらったんじゃな」

『そうなんだよ!じまんなの!』


 さっきから、イドラちゃんが泣いているのか、わたしの背中に水滴がぼたぼた垂れている。


「ふふ、イドラは泣きすぎよ」

「だっでえ……」


 やっぱり泣いているようだ。

 イドラちゃんには笑っていてほしいなあ。


「いいのかエス坊?ついてきて」

『あのね、あるふぉんすがいいならわたしもいっしょにたびしたいなあ。いーい?りーだー』


 わたしの渾身の上目遣いに、アルフォンスは決め顔で応えた。


「おう!この『炎の勇者』さまについてこい!」


読んでくださりありがとうございます。


ひとまずここで完結とさせていただきます。まだ構想はあったのですが、どうも筆がはかどらず……続きは書くとしても時間が経ってからでしょうか。


次は恋愛系の作品を書きたいです……。笑

また別の作品でお会いできたらなーと思います。

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かった!!続きがあったらいいなあっと淡い期待をしています…笑
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