表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/17

12


「コーンクリーム頼むぅ!」


 なにやら背後から聞き慣れた声がする……。


 振り返るとそこには魔王様が一人。カフェテラスで朝の一杯をやろうとしてる最中だった。


「ま、魔王様?!」


 思わず駆け寄り声を荒げてしまった。


 勇者は……? あれ……?


「あー! ルー君! 今日はなんだって言うんだ! とっくに目覚ましの時間は過ぎてるぞ! 魔王であるこのわたしを起こしに来ないとは! このサボりん坊め!」


 いい。この際、好きに言わせておきましょう。

 それよりも今は聞かなければいけないことがある……!


「……あの、それで……勇者は?」


「ベー君と畑に行ったぞ!」

「なんですと?!」


 あいつ!

 なんと空気の読めない男!


 でも魔王様のこの様子。

 まだ朝の早い時間だと言うのに、普段よりも冴えておられる。いやはやこれは、やったのですね! 魔王様!!


「それで、勇者との夜はどうでしたか?」


 とはいえ、聞かずにはいられない。


「気付いたら寝てて朝になってた! ぐっすり眠れて元気全開なのだ!」


 おかしい。

 それではまるでなにもなかったみたいではないか……?


 そんなばかなこと?


「魔王様。腕枕はいかように?」


「あーそれな! 不思議なことにな朝起きたらそっぽ向いて寝てた! わたしって意外と寝相悪いのかな? ……なんだか恥ずかしくなってきたかも!」


 待て。待つんだ。

 そんなはずはない。年頃の男女だぞ……?


「コウノトリは来そうですか?」

「トリ? そうだな。ベル君に頼んで今晩も鳥の唐揚げにしてもらうか!」


 全く話が噛み合わない。

 嫌な予感がしてきた。


「単刀直入におうかがいします。子作りはしましたか? しましたよね? ええわかっておりますとも!!」


「ななななな! なにを言ってるのだねルー君!! 朝っぱらから!! そ、そんなハレンチなこと!!」


「まさか、していないとでも? ちちくり合ったのでしょう?」


「ちちちちち! ちちくりあうだと? なにを言ってるのだねルー君! 見損なったぞ! このハレンチ悪魔め!」


 あぁ。これではまるで、自分たちはハレンチではないと言っているようなもの。


 いや、現実を受け止めるだけの材料は出きっているではないか。


 魔王様……。あんた、まさかここまで恋に臆病とは……。


 もはやかける言葉も思い浮かばない。



「申し訳……ございません。ハレンチなことを聞いてしまい」


「どうしたのさ。今日はツッコミが冴えないじゃないか。それに顔色も悪いぞ?」


「ええ。魔界の今後を考えたら、……」


「だ、大丈夫!! 今日こそ、ほ、ほ、ほ……ほっぺにちゅうしてくるから! がんばるから!」


 ……でしょうね。なんとなく察してましたよ。

 一晩を共にして頬にキスすらできないとは……。いやはや、もとより魔王様には無理な話だったということか。


 これはもう、どんな手を使っても無理だ。無理無理──。



「終わった。もう、魔界は滅びる」


「なんだと? 人間たちの総攻撃でも感知したのか? どこだ! どこからだ! わたしのレーダー的なあれにはそんな影どこにもないぞ?」


「プランBの失敗と作戦そのものの破綻を確認したのですよ」


「ああ、そういうことね。なんだ焦って損した。まったくルー君は大袈裟なんだから!」



 万事休す──。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ