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11 素晴らしい朝チュンは一杯のコーヒーとともに──。


 ちゅんちゅん。

 ちゅんちゅんちゅんちゅん──。


「なんと素晴らしい朝なのだろうか」


 自室でひとり、目覚める私の身体は軽かった。

 小鳥のさえずりが魔界の存命を最高潮に演出している。


 魔王様、朝ちゅんですぞ!!


 着替えをさっさと済ませ、普段なら魔王様の部屋に行き叩き起こすところだが、本日それをしてしまうのは、大変野暮なことだろう。


 何故なら今、あの部屋には一晩をともに明かした男女が居るのだから──!!


 初夜を明かした二人が赤裸々に頬を染めながら起きてくるのを、カフェテラスでコーヒーでも飲みながら待つとしますか。


「ふふふーんふんふんふーん♪」


「おっ、どうしたよルシファー。鼻歌なんて口ずさんで! 今日は上機嫌なのが見て取れるぞ?」

「なんだお前か。相変わらず早起きだなベヒモスよ」


「そりゃあ当然さ! 今がまさに収穫時の実りのいい大根を勇者の兄貴に手土産として持たせないといけないからな!」


 また畑の話か。

 まあ、クワ持って長靴履いてるのだから大方予想はできたが。

 まったく、こんなに素晴らしい朝だというのにブレないやつだな。


 どれ、少しだけ教えてやるか。


「ははは。手土産、か」

「なんだよ? そこ笑うところか?」


「いやはや。まだ、ここだけの話にしてもらいたいのだがな、勇者はこの魔王城に住まうことになりそうだぞ」


「なん、だと? それは確かか?」

「ああ。少なくとも私はそう確信している」


「な、なんてこった!!!!」


 驚くのも無理はないか。

 魔界の長い歴史においても、勇者が魔王城に住むなど前代未聞。いやはや、どのように皆を説得するか。


 本当に大変なのはここからということ、か。


「なんてことだ! そしたらぜひとも畑倶楽部の会長になってもらいてえな! 会員のみんなの喜ぶ顔が目に浮かぶ。勇者の兄貴の畑に対する愛は本物だ。一晩で魔王城内の噂になったからな!」



 え。何言ってんだこいつ。

 いや、今や畑倶楽部なるもので魔王城の内情に詳しいのはこいつだ。


 手放しで勇者を受け入れると言うのか? この魔王城に住まう悪魔たちが……?


「こうしちゃいらねえ! 畑倶楽部緊急会議だ──!」


「あ、ちょっと──」


 行ってしまったか。

 本当に騒がしいやつだ。


 でも畑倶楽部も運命の歯車のひとつだったということだな。


 すべてはこの朝に繋がっていたわけだ。


 勇者と魔王様の朝ちゅん!


 そうと決まればさっそくパーティーの準備に取り掛からねば!


 勇者と魔王様の婚約パーティーの準備を!!



 ──このときの私は浮かれていた。若い男女が一晩を共に過ごすことに、なんの疑いも持っていなかったのですから。


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