第2.1話 真実の剣
数日前の株に関連する騒ぎについて、未だ議論が続く中
財務省は文書漏洩が原因で、会見を出来ずにいた。
確かに、財務省の判断は正しい。
このまま会見を始めれば、それは政府に対する断頭台になるだろう。
時には、実利のために真実を捻じ曲げることが最善な場合もある。
事実はそうでも、都合のいい仮初を先に与えることが政府にとって
一番最適なのが今回のようなケースだ。
人々はすべてを抱えなくて済むだろう。
政府は信用を上げるだろう。
そういったメリットしかない手段があった。
だが、違う。
今回は、その決して露見してはいけない不幸の種
事実という種が、先にまかれてしまった。
いったいなぜなのか、それはもうすでに問題ではなかった。
世の中はすでに、熱を高めていた。
会見は一向に始まらず、信用だけが急降下する。
そのような状況で、とある文書が公開された。
第三者を名乗る何者かが、SNSを通じて発したそれは、別のシミュレーション結果だ。
―――MoRS本部
「大佐。鎮静剤の投与完了しました。」
「よろしい。おそらくこれで事態は沈静するだろう。」
「はい。事実によって誰もが損をする結果は事実の裏側をしることで誰もが理解で切る結果へと落ち着きます。」
「その通りだ。よくやった。」
大佐と雪乃はある一手を使った。
それは、事実の事実を公表すること。
―――大手SNS上
「実際、何らかの要因で経済が崩壊の危機に立たされたのなら、有力者から多くを無力なものからは何も取らないのは合理的だ。」
「平等という概念が持たざる者への武器になる。」
「有事に備えるのは政府の仕事だ。それを否定しては、国民をどうして守れるのか」
政府に対する刃は、突如として政府を守護する盾となった。
いったいどういう事なのか。
答えは簡単だ。今のように何も対策しないことで、どれほどの被害が出るのかという良くない結果を大佐は公開した。
その上で、事実はあくまでも備えとして予想した物であり、すぐに実行するものでないと補足を添えた。
世論は一気に政府を称える方向へと傾いた。
本来ならば政府が弁明するべきなのだろう。
だが、国民の敵になった政府の言い分を誰が肯定的に受けるのか
だからMoRSが動いた。
事実を曲げるのでもなく、だれもが不幸にならないように。
それが、MoRSという均衡装置なのだ。
2026/03/30
新たに本章を追加しました。
作品の改善のために今後も既知のエピソードが改変される可能性があります。




