新しい生活との出会い
更に近づく二人。
麻美の部屋の荷物は、既にダンボールである程度梱包されており、持ち出しやすくなっていた。
「言ってくれればダンボールに入れるところから手伝ったのに」
「色々見られたくないものもあるからいいの」
見られたくない物が幾つかあるらしくそれは教えてくれなかった。
話をしながらダンボールを自分の家に運んでいく。
ベッド等の大きい家具は、この機会に一新するらしい。
麻美に続いて俺も少し重めの段ボールを持って家に戻った。
「相変わらず手際がいいな」
「この機会に断捨離ができて良かったよ」
麻美は話しつつもしっかりと手を動かして、自分の部屋にあるダンボールの山を少しずつ減らしていっている。
「とりあえず追加で持ってくるよ」
「私も一緒に行くよ、私の部屋、勝手に入られるの少し心配だし」
「分かった、それじゃあ一緒に行こうか」
麻美の部屋に行くと、残り数箱まで減っていた。
持ってみるとそこまで重いものはなく、自分1人で全て運べそうだった。
「これ持っていくね」
「私も少し持つよ」
そんな声かけをして荷物を運び出した。
全て運び出した頃には、昼を過ぎており、何か食べるかという話になった。
「何か食べたいものある?」
「さっぱりしたものがいいかな、そうめんとかいいよね」
「家にあるんだっけ?」
「調べてみないと分からないかも」
そう言って、2人でキッチンを探していると最近買ったであろうそうめんを見つけた。
冷蔵庫には最低限、薬味や麺つゆなどもあったので麻美が手際よく準備していく。
俺は食器を並べ麻美が作ってくれるのを待つことにした。
「なんか、新婚みたいね」
キッチンでそうめんの準備を進める麻美がそんなことを言うものだからつい意識してしまった。
「これからもこの生活や関係が続けばいいなと思ってるよ」
「それは私も思ってるよ」
お互い照れながらも、ちゃんと会話できるようになった。
そんな雑談をしているといつの間にか料理を作り終えており、茹でたそうめんをテーブルに持ってきていた。
「それじゃあ食べようか」
テーブルにそうめんが置かれ、2人で食べ始める。
外は猛暑日と言ってもいいくらい晴れ渡っており蝉も鳴き始めている。
こんな普通の日常を過ごせてよかったと思う。
「食べたら軽く休憩しようか」
「そうだね、朝から動いたから少し疲れたよ」
一通り食べ終わると雑談をしながら、今日の予定について話し合った。
「一通り片付けも終わったし、暫くはダラダラしててもいいかな…」
そういうと麻美は首を横に振る。
「私の部屋の掃除もしなきゃ寝るところがないよ」
部屋には大量のダンボールが置かれ布団を置くような場所は確かになかった。
「最低限の荷解きはしないとだね」
そういうと布団を敷くためのスペースを確保するために最低限のダンボールを開け始めた。
中からは小物などが多く入っていたがどれも見覚えがあるようなものが多かった。
「物持ちがいいね」
そんな言葉を漏らすと麻美は笑う。
「瑠依がくれたものだからね」
「相変わらず、俺に刺さる事ばっか言わないでくれる?」
不意打ちで顔を真っ赤になっているのを見られたくなく顔をそむけた。
俺たち二人の結婚ごっこが始まる。
読んでいただきありがとうございました。
少しずつ投稿頻度を上げていけたらと思います。
TAMAコミにサークル名FrRollaで参加予定です。
詳しく決まったらまた告知します。