第1話 −目覚め−
はじまり
−遥か昔、この世界で大戦争が起こった。
その大戦争は、この世界の三大種族である
『人間』『神』『悪魔』
らの間での最大の戦争となった−
「ん~...」
一人の人物が唸り声を出す。
「...どこだ、ここ」
起き上がり、周囲を見渡す。
「まじでどこだ...ここ」
まだピントがあっていないからなのか、それとも暗いからなのか、よく見えない。
「あーなんかだんだん見えてきたわー」
立ち上がって再度周囲を確認する。よく見るとここは石でできた建物のようだ。
「随分年季が入ってるようで」
壁や天井にはコケや草が生えている。天井には所々崩れているところがあり、そこから細い光が漏れている。
「何だろ、コレ。」
周囲を確認していると、あるものに目が止まった。
「なんか書いてるな」
近づいてみて見る。
−マモノ ココニ フウインス−
魔物?え?封印?しかもここに?それってやばくね?
「と、とりあえずここから出よう」
振り返って急いでその空間から出る。
「わぁ、何だここ。森か?」
出口のようなところから出てみるとそこは森のような場所だった。
「っていうか僕はなんでさっきのところで目が覚めたのだろうか、」
1つの小さな疑問が浮かび上がってきた。そしてそれは次第に膨らんでいく。
−ここは本当にどこなんだ、僕は何をしていた?−
取り留めのない疑問が自分を襲う。ただ一つ、その中で分かったことがある。それは...
「何も...思い出せない..」
そう。何も思い出せないのだ!
はぁ...なんてこった
「...森から出よう」
トボトボと道なき道を歩いていく。
暫く歩いていると、森を抜けることができた。
「おぉ、道がある」
少し遠くの方に道があるのが見える。
「あの道に沿って歩いていけば何かあるかもしれない」
淡い期待を胸に、その道に立つ。
すると遠くに複数の建物がある
「歩いてないけど何かあった!めちゃめちゃラッキーじゃん!」
その建物たちがある方に走っていく。
「おー。ここは村なのか」
近くまで来てみると人がたくさんいるのが見えた。どうやら村のようらしい。
「おう!そこの坊主!見ねぇ顔だが、どっから来たんだ?」
「えっ」
急に声をかけられて少し戸惑っていると、
「名前はなんて言うんだ?」
こっちが戸惑っていることを知ってか知らずか、再び疑問を投げかけてくる。
「えと、その...どこから来たのかは、分からないんです。」
そう言うと、目の前の男は、
「どっから来たのか分からない?」
と、オウム返しをしてきた。
「はい。」
「なら名前は?」
名前...あれ、僕の名前って何だっけ...
「..もしかして、それもわかんねぇのか?」
「い、いえ...少し待ってください」
名前、名前、名前、名前、名前.........。
自分の名前をなんとか思い出そうと考えていると突然
−あなたの名前は『リオ』。"今は"そう名乗りなさい−
「...........」
「おい、大丈夫か?」
「...リオです。」
「は?」
「名前、リオです」
突然、知らない女の人から名前を言われたことを思い出した。少し驚いたが、名前がわかったのでひとまず良しとする。
「おぉそうかそうか。あぁそうだ、俺の名前は...」
男の人が名前を言いかけたその時だった。
「キャァァァァァァァァ!!!!?」
「な、何だ!?」
突然、女性の叫び声が聞こえてきた。
女性の声が聞こえてきた方を見てみると、そこには血を流しながら倒れている女性と人がいた。
「悪魔だ!みんな逃げろ!」
人じゃなかった。
おわり