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特級精霊の主、異世界を征く ~次々生まれる特殊な精霊のおかげで、世界最強になってました~  作者: トミ井ミト(旧PN:十味飯 八甘)
第5章 僕たちが救世主ってどういうこと?

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第4話 往生せいやー!

 崖に激突した後に雷撃を浴び、完全に伸びているモンスターの近くに行く。首がちょっと変な方向に曲がってるけど、大丈夫なのかなこれ。いや、モンスターの心配しても仕方ないんだけどね。


 でもこのカラスみたいな生き物って、本当にモンスターなんだろうか。これだけダメージを受けて消えないのは異質だし、モンスター特有の嫌な感じがしない。感覚的なもので曖昧なんだけど、モンスターが近くにいると妙に落ち着かないんだよ。だけどこの黒い鳥からは、そんな感じがしないんだ。



「手加減なしで放った魔法だったが、まだ生きてるとはなかなかしぶとい。とどめを刺してやらねばならんな」


「剣を突き刺しちゃおうか?」


「あの、少しお待ちいただけませんか、シア様、カメリア様」



 スズランも違和感を覚えたのかな、とどめを刺そうとした二人を止めに入った。



「どうしたんだスズラン、こんなやつに情けは無用だと思うぞ」


「よく見たらちょっと可愛いけど、みんな迷惑してるしボクも倒したほうがいいと思うよ」


「この子の体というか存在そのものなんですが、私たち精霊に近いみたいです」



 やっぱりモンスターじゃなくて、別の存在だったのか。


 精霊を形作ってるのは感情の力だって、以前スズランが言ってたっけ。いわゆるアストラル・ボディーってやつだね。だから精神的に未熟な微精霊は小さな粒で、心が育つに従って人の形に近づいていく。その究極状態がスズランってわけ。


 契約主との関係が良くないと、力を十分に発揮できないことがあるけど、それは精霊の感情が乱れているから。こうして彼女が安定して存在していられるのは、僕のおかげだって前に言ってくれた。なんだかすごく嬉しかったよ。



「スズランたちが人を好きだからその姿をしてるのなら、この鳥は動物が好きな精霊なの?」


「そのとおりです、マスター。普通は森や山の中から出ることはないのですが、どうして迷宮の中に住み着いてしまったのでしょう……」


「私もそうした存在には覚えがあるぞ。確か精獣(せいじゅう)とか神獣(しんじゅう)と呼ばれているはずだ。伝承の類(たぐい)になるが、神格化して祀っていたなんて話もあったな」


「さすがにこんなのを崇める気にはならないわね」



 あー、うん。アイリスの意見には全面的に賛成だよ。でも動物が好きな精霊なら、どうして女性の胸に固執してたんだろう。普通の精霊だったら、スズランとかに抱きつき放題だったのに。



「そんな精霊を倒しちゃうなんて、もしかしてボクたちダメなことしちゃった?」


「相手がどんな存在であれ、迷惑をかけていた事実は変わらない。カメリアが責任を感じる必要はないぞ」


「もしこの精霊の契約主になってる動物が生きてるなら帰してあげたいけど、さすがにそれはわからないよね?」


「迷宮の中で活動していたくらいですから、恐らく元の動物と繋がりは切れているかと。消えずに存在し続けている理由は、とても強い未練があるからだと思います」



 つまり大きな胸に心残りがあって、成仏できなかったってことか! 迷宮内でセクハラしまくってるんだし、そろそろ満足してほしいなぁ……



「それならボクが、その願いを叶えてあげるよ!」



 倒れている鳥に近づくと、そっと持ち上げて胸に抱きかかえる。下着がずれるくらい触られたのに、こうやって成仏させようとしてくれるなんて、カメリアは本当に優しいな。



「私もお手伝いしますね、カメリア様」



 やっぱり同族だからかな、スズランも思うところがあるんだろう。カメリアの前に立つと、少しだけ背伸びして近づいていく。カメリアの身長は五センチくらい高いから、胸の位置を合わせてるのか……


 でもこれって、おっぱいサンドってやつだよね。僕も左右から抱きつかれたことはあるけど、挟まれたことはまだ無い。頼んだらやってくれそうだけど、やっぱりやめておこう。いくらシアがスズランやカメリアとの付き合いを認めてくれてるといっても、あんまりだらしない姿は見せたくないから。



「……けしからん、実にけしからん。あんなに挟まれると、息ができなくなるぞ」


「そのまま逝けて、いいんじゃないかしら。あの鳥もなにか幸せそうだし、体が薄くなってきたわよ」



 あっ、ホントだ。鳥だからよくわからないけど、天に召されかけっぽい笑顔の気がする。自分から抱きついていったら避けられるだけだろうし、今までこんな風にされたこと無かったんだろうな。


 だけど現世に縛り付けていた強い未練を断ち切るなんて、おっぱいサンドって凄いぞ!



 ――クアアア……ァァァ………ァ



 最後に少しだけ鳴き声を上げ、黒い鳥は完全に消えてしまった。強制的に存在を消されるんじゃなく、望みを叶えて満足に逝けたのなら、あの精霊にとって幸せだったのかもしれない。


 でも、いなくなった精霊って、どこに行くんだろう。少し前に見た、夢っぽい風景の場所なのかな。だけど、あそこには動物型の精霊はいなかった。


 この世界では精霊が身近な存在すぎて、ほとんど研究とかされてないんだよね。精霊本人と意思疎通できる僕たちが、一番詳しいくらいかも。スズランも生まれる前の記憶を持ってないし、聞いても無駄だろう。


 とりあえず依頼は達成できたし、これからどうするかだな。



「今日はこの近くで泊まっていく?」


「今から街へ戻って目立たない場所を探すのは面倒だし、それでいいんじゃないかしら」


「やったー、久しぶりのお風呂だー」


「少し向こうに崖の裂け目があった、そこから影に入ればいいと思うぞ」



 大英雄や大賢者のいる場所に行くのが遅れちゃうけど、アポ無し訪問だから問題ないかな。もし居なくても、ラムネに【転移】を覚えてもらえば、次からは山登りしなくても良くなるはず。元々予定なんてない旅なんだから、のんびりお気楽にいこう。



◇◆◇



 ゆっくり食事をとってからリビングでまったり過ごし、順番にお風呂へ入ることになった。移動中は毎日リョクのお世話になってたから、とても快適に過ごすことができている。お礼も兼ねて頭を撫でてあげよう。


 手のひらを上に向け、隣りに座ってるシアの肩に差し出すと、リョクが移動してきて腰を下ろす。手乗り精霊だよね、これ。外ではシアのローブに隠れてるけど、この家だと完全にリラックス状態だ。頭をそっと撫でると、うれしそうに甘えてくれる。


 あっ、シアもご所望ですね。昼間は我慢させちゃったし、気が済むまで撫でてあげるよ。



「どこかで一度、この屋敷を影から出したいのだけど、適当な場所はあるかしら」


「体に不調でも出ているのか?」


「使い魔たちが自由に出入りできる場所を、登録し直したいだけよ。心配には及ばないわ」



 以前はアーワイチの自然公園に設定してたけど、登録できるのは一か所だけだったな。確かアイリスの血で目印をつけるんだっけ。


 どうやらそれを設定し直すには、屋敷を一度取り出す必要があるみたい。買い物に便利な場所を目印にしておけば、使い魔の三人も楽できるだろうし、明日出かける前に忘れずやっとかないと……


 そんな話し合いをしていたら、廊下の方からバタバタと走る音が聞こえてきた。今はカメリアがお風呂に入ってる時間だけど、何かあったのかな?



 ――バァァァーン!!



「みんなー、大変だよ!」


「ちょっ!? カメリア前、前を隠して!」



 なにか不測の事態が起きたんだろうけど、どうして全裸で出てくるのさ!



「そこにつまってるのは一体なんだ!!」



 きっと夢とかロマンだと思うよ、シア。

 あと希望もあったっけ。増量キャンペーン中なパンドラの箱だね。



「カメリア様、こちらを」


「あっ、そういえば服を脱いでたんだっけ。ありがとう、イチカ」



 バスタオルを持って追いかけてきたイチカが、カメリアの体を隠してくれた。

 ファインプレーだよ、イチカ! ちょっと見えちゃったけど……



「あなたは相変わらず落ち着きが無いわね。それで、一体なにがあったのかしら?」


「あっ、うん。これなんだけど……」



 ――クァァァァァー!!






 カメリアの手から現れたのは、小鳥サイズになった黒い鳥だった。


カメリアはDカップ。


いったいなぜ黒い鳥は蘇ったのか……

第5話「生きとったんかワレ」をお楽しみに!

土日の更新予定です。

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[一言] 甦 る 変 態 鳥
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